42年ぶりの探索

出来事

和歌山市の高松のメッサ(MESA)オークワのスターバックスで昼食を食べる機会があった。食べながら『女帝 小池百合子』を読みはじめた。作者の石井妙子さんの筆力は高いと思った。文章力のある人の本を読むのは面白い。久しぶりに良い作家に出会ったと思った。サンドイッチとドーナツを食べホットコーヒーのちょっとロングサイズを飲んで外を見たら、どう見ても知った人が外のスタバのテーブルに座って同じように昼食を食べていた。ドーナツの蜜が手についたので店員の前に立って、もう一つお手拭きをもらった。

このメッサオークワの裏に道路を挟んで県立図書館の敷地がある。ここは元和歌山大学経済学部のキャンパスだった。ここにやってくると大学時代のことが思い出される。2008年11月、この県立図書館で娘が入選した紙芝居の第15回最終選考コンクールが行われた。そのときも、元和歌山大学経済学部の敷地のまわりを少し歩いたが、今回は昼食を採る前に時間を掛けて歩いてみた。目的は、自分が42年前に住んでいたアパートがまだ存在しているかどうかを確かめたいと思ったからだ。
天気は晴れ。梅雨の合間の晴れだったので気温はそんなに高くなかった。それでも歩き回ると汗が出てきた。
和歌山大学の西側の道路から路地を入ったところにアパートがあった。大学のキャンパス内まで1分。ぼくは18歳の秋から20歳の終わり頃までこのアパートに住んでいた。
しかし、42年前の町の姿はすっかり変わっていて、記憶に残っていたのはN医院だけだった。医院の右側か左側かにアパートに至る通路があったと思うが、はっきりしない。和大のキャンパスのまわりを囲むように道があるのでこの道をずっと北に向かって歩いて行き、元キャンパスの端で右に回って国道に向かって歩いてみた。大学に敷地の半分ぐらいは住宅地になっている。景色がまるで違う。敷地面積の小さい大学だったが、それでも歩いてみるとかなり時間がかかる。一旦国道の近くまで歩いて、もう一度来た道を戻ってみた。最初に歩いたときには気がつかなかったが、N医院を過ぎたところに入っていけるスペースがあったので歩いて行くと、古いアパートに突き当たった。しかし、そのアパートはフェンスで囲われていたので、行くことができなかった。
「もしかしたらここ?」
昔は、ここからアパートに行けたのにと思うと確信は湧いてこなかった。昔と違って西側に向かって入っていく道路が増えている。広い道を歩いて行くとアパートの西側に行けるのではと思って、歩いて行くとアパートの西側に立つことができた。アパートは道路に面していた。少しアパートの感じを見るためにいくつかの玄関前に立ってみた。両側にドアがあり真ん中に窓があるので、「もしかしたらここかも」という感じが湧いてきた。

夜自宅に帰って、iPhoneの地図ソフトで場所を検索してみた。住所が表示される。1丁目○○番地だった。住所には見覚えのある感じだった。地図ソフトの画面を航空写真に切り替えると、住宅の北側に空き地があるのを確認できた。部屋の窓を開けて空き地を見ていた記憶があったので、「やっぱりここやで」と思ったが、最終的な確信にまでは至らなかった。
過去の自分のノートを見れば、和歌山で住んでいた住所が書かれているかも。そう思って10冊ほどあるノートを本棚から引っ張り出して見てみたが、手元にあるノートには住所の記載はなかった。
「そうだ、住民票の住所変更の履歴を見たら正確に確認できる」
考えているとこのことに思い至った。

「住民票を取って確認してみよう」
そういう気持ちになった。


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出来事

Posted by 東芝 弘明