菅政権の高い支持率

雑感,政治

世論調査は、菅政権に対して非常に高い支持率を示している。安倍政権の初期の支持率を超えているというような報道が盛んに行われている。しかし、同じ世論調査で「森友問題」や「加計問題」、「桜を見る会」などの疑惑については追及を求める声が過半数を超えている。世論調査の中に矛盾的な傾向が混在している。どうしてこういう結果が生まれるのか。追求することは面白いかも知れない。客観的であるはずの世論調査が、調査するメディアと政権との位置によって大きく違うことも目立ちはじめている。朝日と毎日、東京新聞、読売新聞、産経新聞など世論調査の結果に違いがある。

世論調査は、読者に対して行われるのではなく、無作為に抽出した人1000人ぐらいに対して行われることが多い。世論調査が行われたときに、質問され調査の当事者になった人々がいる。それらの方が世論調査への違和感を語ることがある。どうも最近の世論調査の問い方が、客観性に問題を持つ傾向が生まれているのではないだろうか。

菅政権誕生に向けたテレビの演出は異常だった。テレビ局のほとんどは、菅さんや自民党総裁候補の人柄にスポットを当て、趣味にフォーカスしたり好物の食べ物にフォーカスしたりした。安倍政権とは何だったのか、安倍政権の継承とは何なのかという一番肝心な政治の中心点について、テレビはほとんど分析しなかった。この報道姿勢が世論調査に反映した。

テレビによる同じトーンの大合唱は、安倍総理の辞任から始まっている。安倍さんは辞任後1か月経って、新薬が効いているので体調はいいと言っている。どうして病気による辞任にはじまり、総裁選の自分物評価一色と言っていいほどの報道(キャンペーンの方が正しいか?)が行われたのだろうか。どうも一斉報道の仕掛け人がいて、綿密な計画の下に菅さんへの持ち上げが行われたのを感じてしまう。現時点では証拠はない。しかし、一連の一斉報道のような傾向はメディア論として具体的に追求されるべきだと思われる。

その問題を踏まえても、安倍政権の継承者である菅総理に対して高い支持を示しているのは事実だ。しかし、安倍政権を継承すると言っている人に対して、高い支持率を示す=安倍政権が行ってきた政治を支持するということではない可能性がある。菅さんは支持するが、安倍政治が抱えた問題はきちんと解決してほしい。これが世論調査から読み取れる。

日本共産党は、国民を信頼して政治を変えるために努力してきた。時の政権への支持が7割を超えたり8割を示したりしても、具体的な政治の事実に着目して、国民の利益と相容れない政治の具体的な姿を示し、政権の打倒を掲げてきた。安倍内閣に対しては、一言で言うならば、「戦後最悪の内閣」だと宣言して安倍政治の転換を訴えてきた。それは支持率がどんなに変化しても変わらなかった。

国民の根本的な利益を守る立場に立っているかどうか。これが日本共産党が示してきた姿勢の最大の尺度だった。アメリカに従属した日本の政権が、一体誰のために、誰の利益のために政治を動かしているのか。どうして社会保障や働き方が改悪されて、労働者の賃金が低下し続け、日本の経済全体が成長しなくなって、地方の衰退が止まらなくなって、人口減少が引き起こされているのか。日本共産党は、この原因を綱領の中で明らかにして、日本国憲法を守り、国民生活を守って内需拡大と累進課税中心の改革を行えば日本の経済を再生し、日本経済を発展の軌道に乗せ、社会保障の充実にも展望が開けることを明らかにしてきた。

こういう根本的な視点から歴代政権を分析し、国民世論の支持が高い時期も含め、政権を批判し政治の転換を求めてきた。圧倒的な支持によって進められた郵政民営化のときも、日本共産党は郵政民営化が国民の利益にはならないことを明らかにして運動した。

この姿勢はこれからも変わらない。菅政権は高い支持率と破綻した安倍政権の具体的政治の中で、次第に本当の姿を現すだろう。この姿が現実になると世論も動くと思われる。
「これからたたかいがいのある数字だと思ってみております」──これは、志位委員長のBS日テレ「深層NEWS」で世論調査の数字に対して語った言葉だ。もちろんたたかいの相手は菅政権だ。
厚化粧を洗い落とすことは、そんなに難しいことではない。具体的な政治の具体的姿を明らかにし、積極的な提案で政治を変える努力をすれば真実は見えてくる。


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Posted by 東芝 弘明