新しい政治様式への転換を

雑感

毎日何かに追われている。それでいて十分なことができない。そういう思いに陥っている人は多いのではないだろうか。それが日本という国なのかもしれない。
日本の社会の最大の問題は、労働時間の長さにあるだろう。この問題が抜本的に解決し、残業のほとんどない社会に移行すれば、時間あたりの生産性が向上して、人間全体の資質が高まるのではないかと思っている。地域社会の再生と人間的な交流の復活、地域における文化やスポーツの発展。人間の自由な時間の拡大が、多くの問題に変化を生み出し、人間としての生きる意味も生きる目的も大きく変化するのではないだろうか。

8時間働いて普通に暮らせる社会。同じ資本主義社会でもこれが基本的に実現している社会がある。そういう国の国民の意識、国民の中にある幸福度は高い。仕事のために生きるのではなくて、自由な時間を豊かに生きるために人生がある。それぞれの人の中に自分なりの目的があって、互いにそれが尊重される社会。日本共産党は、こういう社会を目指している。そういう社会に向けて根本的な変化を生み出すのは、労働時間の短縮にあるという考え方が日本共産党の考えの根本に座っている。

ウィズコロナとかポストコロナという言葉が生まれた。新しい生活様式という言葉が政府から提案された。しかし、新しい政治様式、新しい社会様式という言葉はまだ生まれていない。コロナ対策によって弱められた社会的分野が明確になった。医療と介護の体制強化と安心してケアの受けられる社会という問題がクローズアップしたのだから、ウィズコロナの中心に、ケアに手厚い社会を据えるべきだろう。そのためには、税制のあり方、社会保障のあり方について、転換を実現しなければならない。この転換は、公的助成とは何かの問い返しでもある。

医療負担を増やし、介護の制度を細く小さくする改革を重ねてきたことが、正しくなかったことを踏まえた転換が求められる。日本は、福祉国家を目指して社会を再建しなければならない。この方向によって社会を活性化することを考えるべきだろう。新しい生活様式とともに新しい政治様式、新しい社会様式を打ち出すべきだ。野党連合政権の中心命題もここにある。自公政権は、医療負担を増やし介護の制度を縮小し負担を増やす政策をさらに進めようとしている。これは、財政支出の抑制だけを見て、この分野における経済波及効果を全く度外視したものだ。医療と介護の分野におけるマンパワーによる経済波及効果。ここに目を向ければ、高福祉と経済の両立への展望が開てくる。

そういう点では、同じ資本主義国であってもこういう方向に向かってきた国から学ぶことは多いだろう。日本が1980年代以降たどってきた政治や社会のあり方を見直す時期に来ている。新しい生活様式とともに新しい政治様式、新しい社会様式を。そのために労働時間の短縮を。競争よりも人間的な連帯を。


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雑感

Posted by 東芝 弘明