福島原発、処理水の海洋放出(投棄)について考えた

雑感

一日中会議。午前中は議員の会議だった。朝から会議があったので朝の5時30分頃から昼からの会議準備を行った。

福島原発事故の汚染水(処理水だと言い始めている)の海洋放出(投棄だろう)の決定の仕方が異常だ。菅さんが独断で決めたようだ。毎日発生している汚染水の処理がどこまで進んでいて、進んでいないのか。まずそこを知りたい。
「放射性物質を含んだ水は現在、複雑なろ過プロセスで処理されている。ほとんどの放射性物質が取り除かれているものの、トリチウムなどが残存している」(2021年4月13日、BBCニュース)
「ほとんどの放射性物質が取り除かれているものの」って。ストロンチウムなどは基準値を上回って残っているという指摘があった。本当だろうか。本当のところが知りたい。
放出しても安全だ。安全なので風評被害が心配だ。と言い始めている。大丈夫か。この論理。

「放射性物質を含んだ水は現在、複雑なろ過プロセスで処理されている」──この内容が知りたい。

ということでググってみた。「安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策①「ALPS処理水」とは何?「基準を超えている」のは本当?」という記事が、経済産業省資源エネルギー庁のサイトにあった。そこから引用してみよう。

以前にもご紹介したとおり、現在タンクに保管されているALPS処理水の約7割には、トリチウム以外の放射性物質も排出時の規制基準を超える濃度で含まれています。これは、浄化処理が始まった当初は、まずは規制基準を守るため、敷地境界(原発敷地内と外の境界)における追加の被ばく線量を下げることを重視していたためです。ただし、このような十分に浄化処理がおこなわれていない水については、タンクに保管している状態では規制基準をクリアできていますが、環境中に放出される際には、ALPSなどによる浄化処理(二次処理)をおこなって、放射性物質を規制基準以下にすることとなっています。

汚染水は、原子炉の内部に残る、溶けて固まった燃料(「燃料デブリ」と呼ばれます)を冷却し続けるために水を使うことなどから発生しています。汚染水対策は ①漏らさない ②近づけない ③取り除くという3つの基本方針のもとで進められていますが(サイト内リンクを開く「現場で進む、汚染水との戦い~漏らさない・近づけない・取り除く~」参照)、そのうち「取り除く」対策としては、汚染水に含まれる放射性物質のリスクを下げるための浄化処理がおこなわれています。

汚染水は複数の設備で浄化処理がおこなわれていますが、中でもカギとなっているのは、「多核種除去設備(advanced liquid processing system、ALPS)」と呼ばれる除去設備です。ALPSは、「多核種除去設備」という名称があらわす通り、62種類の放射性物質を取り除くことができます。

実は、東日本大震災が発生してから2年後の2013年頃までは、このALPSが開発中であったため、「セシウム」以外の放射性物質を取り除くことができていませんでした。その結果、「セシウム」以外の放射性物質を含んだ高濃度の汚染水を、敷地内のタンクで貯蔵することとなっていました。

しかし、ALPSが稼動した2013年以降は、高濃度汚染水からさまざまな放射性物質を取り除くことができるようになりました。この、ALPSを使って浄化処理をおこなった水は、「ALPS処理水」と呼ばれ、敷地内のタンクに継続的に貯蔵されています。敷地内にあるALPS処理水は、貯蔵にあたって二重の堰(せき)を設け、定期的にパトロールをおこなうなどして、漏洩を防ぐように努めています。

ALPS処理水は、ALPSでも取り除くことのできない「トリチウム」を含んではいるものの、前述したように大部分の放射性物質を取り除いており、「セシウム」のみを取り除いた事故発生直後の汚染水とは、安全性の面で大きく異なるものです。なお、「トリチウム」については、今後シリーズの中で詳しく解説していきます。

原発では、「敷地境界」、つまり原発の敷地の境界における放射線量がどのくらいあるかという「敷地境界線量」が、安全管理の基準のひとつにされています。原子力規制委員会は、原発の敷地から敷地境界に追加的に放出される線量(自然界にもともとあった線量を除いて、原発施設から新たに放出されて増えたぶんの線量)を「年間1ミリシーベルト(1mSv/年)未満」という低さに抑えることを求めています。

高濃度汚染水は、たとえタンク内にあっても放射線を発し、周辺に影響を与えてしまいます。2013年にALPSが稼動する前、つまりセシウムのみを取り除いた状態の高濃度汚染水を原発敷地内で貯蔵していた頃には、敷地境界の放射線量は前述の基準を大幅に超過し、10mSv/年にも達していました。

一方、ALPSの稼動後は、ALPSによる放射性物質の浄化処理が功を奏し、2016年3月に、敷地境界線量の基準を達成することができました。これにより、敷地内で処理水をタンクに「貯蔵」する際の規制基準を満たしている状態になったのです。

ところが、この福島第一原発の敷地内で貯蔵されているALPS処理水について、「基準を満たしていない処理水が8割を超えているのではないか」という声があります。これは一体どういうことなのでしょうか。

実は、汚染水に関する「規制基準」には、

リストアイコン ①タンクにおいて貯蔵する際の基準
リストアイコン ②環境へ処分する際の基準の2つがあります。


前述したように、現在、福島第一原発の敷地内タンクに貯蔵されているALPS処理水は、そのすべてで①の基準を満たしています。一方、②については、当然、①よりもさらに厳しい基準となっています。「基準を満たしていない処理水が8割」という場合の「基準」は、この②の基準のことを指しているのです(環境へ処分する際の基準については、「告示比総和」という基準が「1を超えているか、いないか」という点がカギとなってきますが、それについては今後シリーズの中で詳しく解説していきます)。

①と②の基準を同時に満たせればベストなのですが、②の基準を達成するまで浄化するには時間がかかります。そこで、それよりもまずは①の基準を早く達成して原発敷地内のタンクに安全に貯蔵することを優先し、ALPSを運用したのです。このため、貯蔵している現段階において、ALPS処理水の8割は②の基準を満たしてはいないものになっています。

そのことは、下記の東京電力の資料でも示されています。難しい専門用語が並んでいるグラフですが、簡単に言うと、「A」は取り除くことのできないトリチウム以外で②の基準値を満たしている処理水、A以外は①の基準を満たしているものの②の基準値を満たしていない処理水のタンク貯留量を示しています。中でもBは高い濃度で放射性物質が混じっている処理水で、これはALPSが不具合を起こした際に浄化しきれなかった処理水が混じっているためです。

というのが現状だ。これは政府の公式な見解だと思われるが、この見解に対して、原子力の専門家のコメントが聞きたい。現時点では、8割が環境に放出できる基準を満たしていないまま、タンクに貯蔵されているのは間違いない。これを具体的にもう一度2次処理をしないと海洋放出はできないことになる。したがって、海洋放出の方針を決めたとしても、明日から海洋放出するということにはならない。タンクに入っている膨大な水をALPSでさらに2次処理すると簡単にいうが、それを行う場所が必要になる。今の施設が使えないのは明らかだ。毎日発生する汚染水を毎日処理する施設以外に、2次処理する施設の建設がどうしても必要だ。2次処理施設がどれだけの規模の施設になるのか、1時間当たりどれだけの処理水を2次処理できるのかという技術的なところはまだ見えない。

そういう方向が定まっていないなか、海洋放出を先にいきなり言ってしまうところに菅政権の乱暴さがある。ネットでは処理水=汚染水ではないというような言葉遊び的な議論があるけれど、そんな言い合いには意味がない。8割の基準値を超える処理水という名の汚染水をどうやって2次処理するのか。2次処理してもトリチウムは処理できないので、基準値を超えるトリチウムの処理をどうするのかも決めなければならない。

政府は、トリチウムについては、薄めて放出すると簡単に言っているが、薄めるための水をどうするのかは明らかになっていない。福島原発周辺の水で薄めるためには、原発内に入り込む前の水を確保して薄める必要がある。しかし、事故を起こした福島原発の原子炉は、大量の水で冷却しないと行けないし、冷却し続けることによって、高濃度の汚染水が発生し続けるので、政府が言うようには簡単に薄めるための水が確保できるとは言いがたい。海の水を使えばいいって?。はたして海の水で薄めて海に放出するという自家撞着のようなことをしたらいいということになるだろうか。

「ほとんどの放射性物質が取り除かれているものの」というのは、ほとんど取り除けるが、完全ではないということで、トリチウム以外の放射性物質も残るということを意味する。
扱っているのは、放射性廃棄物という小さな原子だ。フィルターで放射性廃棄物そのものを濾過することはできないだろう。放射性物質を他の物質とくっつけて吸着できるような化学反応を利用して、放射性物質を含んだ大きな分子レベルの物質にして、フィルターで除去するのだと思われる。62種類の放射性廃棄物を吸着できる物質が色々必要だろう。こうやって生成されるのは物質は高濃度放射性廃棄物だと思われる。しかし、100の物質を化学反応によって100別の物質に変化させることはできない。化学反応はA→Bという反応とともにA→B→Aというようなことが起こる。100%吸着させることが不可能なのは、こういうところに原因があるかも知れない。
こういう点についても誰か教えてほしい。

福島原発でメルトダウンを起こした原発が引き起こしたものは、途方もない諸問題だった。メルトダウンを引き起こした原子炉にはロボットさえ近づけず、根本的な解体作業もできないまま、大量の水で冷やし続けることをし、そのことによって発生する汚染水の処理に悩まされる。この問題にさえ解決する方向が見いだせない。こういう原子炉をこれからも活用して原発で電気を起こすという日本の政府は、どうもどこかしらネジが外れている。原発再稼働に一生懸命になっている姿は異常だ。道理がまかり通る国に転換しないと日本人の未来はないのではないだろうか。


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雑感

Posted by 東芝 弘明