読売新聞連載の『奔流デジタル』

雑感

読売新聞に5回連載で『奔流デジタル』という国際部取材班の記事が組まれた。大型連載だった。タイムリーな企画だと言える。今日本の国会ではまさにデジタル法案が審議中だ。今回の連載の観点もデジタル化が徹底的な国民監視につながっている国への取材から始まった。中国や中東の国の中には、国民への監視と支配をデジタル化を進める中で強めている国がある。

ぼくの関心ごとの一つは、日本の現状をどう書くかだった。後半の4回目は、巨大な民間企業であるツイッターやFacebookが情報の開示を巡って逡巡している様が描かれ、5回目がデジタル化と民主的国家の在り方を巡るもので、先進的な取り組みを進めている国として、エストニアが紹介された。

しかし、日本の社会と国家への言及は一切ないまま連載は終了した。ここに読売新聞の特長があると思った。外国に対しては、冷静に客観的に分析を進めるが、肝心の日本のことには一切触れない。日本に触れないで連載を終わるのが、読売新聞だ。
『奔流デジタル』の連載記事は、日本のデジタル法案が、今まさに国会で審議されているときに、世界ではデジタル化を巡って2つの流れが起こっていることを積極的に紹介したものだ。日本の現実を踏まえ、まさに今このタイミングでデジタル化について記事を書いて、問題提起をしたいという記者たちの気持ちを感じる。しかし、同時に日本に全く触れられないという編集の壁も感じる。
勝手なことを言えば、日本の動きはぜひ「しんぶん赤旗」で補っていただきたいということなのかと、思いたくなる。実際、読売新聞の5回連載を読み、赤旗の記事を読めば、世界の動きと日本の動きがつかめるだろう。「読売新聞の連載」を補完する「赤旗」というところだろうか。

デジタル化と民主化が問題となっていることに言及した読売新聞は、5月3日、「編集手帳」で憲法改正の投票法案の審議が進まなかった問題に触れて「手続き論に手間取り、立法府の憲法論議がおろそかになっているとはプリンシプル(原則)を欠いた姿勢だろう。9寸の結晶とはならないまま、74回目の憲法記念日を迎えた。」と書いている。

一方では、デジタル化への深刻な問題意識を書き、一方で憲法改正試案をもつ新聞社として憲法改正を求める。おそらく読売新聞社内でもNHKでも、国民に寄り添う報道をしたい人と自民党と一緒に独裁的な政治を推進したい人が混在している。

新聞社の中にあるジャーナリスト精神。それが自由に発揮される日本へ。そのためにも政権交代が求められている。


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雑感

Posted by 東芝 弘明