「自民党、増えすぎ」 2005年10月12日(水)

雑感

火曜日に決算委員会があった。質疑の中で、今予定されている増税のすさまじさや、社会の中に格差が広がっていること、医療の負担が増え、介護の負担が増え、貧富の差が拡大し、障害者が障害の重いほど差別される社会になりつつあることを具体的に指摘した。
「これでも、日本はいい方向に向かっていると思いますか」
自民党の親分肌の議員に休憩のたびにそう問いかけた。
「憲法改正はいいなあ、あれはいい」
こう言っていた議員も、帰りがけには、こんな会話になった。
「自民党はちょっと増えすぎた」
「暴走しているみたいですよね」
「なんや、そんな感じや」
自民・公明で衆議院の議席の3分の2を占める。
この現実が、審議のスピードアップと制度の改悪をスピードアップさせている。
熱暴走したコンピューターはストップしてしまうが、政治の熱暴走は、有頂天×2のような状態だ。
自民党の選挙勝利の背景の1つに意識的なメディア戦略があった。
ぼくは、2つの流れがあったように感じる。
1つは、小泉総理の周辺、つまり首相官邸を中心としたメディア戦略だ。
こちらの方は、昨年の参議院選挙の自民敗北の教訓から出発した。この戦略に至るまでには数々の伏線があったように思う。
小泉首相とマスコミの関係は、前総理であった森喜朗氏とマスコミの関係とは、まさに正反対の関係にあるように見える。
小泉首相誕生当時からマスコミの活用の仕方については、実にうまかった。離れて暮らしていたと思われる息子とホテルでキャッチボールをして見せたり、息子が芸能界にデビューしたことを大いに宣伝したりした。あれだけ森総理を批判していたマスコミは、手のひらを返したように小泉総理を持ち上げた。
小泉総理の誕生は、自民党の深刻な危機のなかでの出来事だった。
「自民党をぶっ壊す」といった総理に人気が集まること自体、危機の表れだった。
自民党が危機になったときに、マスコミは自民党の側につき自民党を天まで持ち上げる。
これが小泉ブームを作り出したのかも知れない。
マスコミは小泉総理を批判しないという態度をとり続けた。こう言う流れの中で、小泉総理周辺からメディア戦略が生まれてきたのかも知れない。
「国債発行を30兆円以下に抑える」という就任当時の公約は、不良債権処理の過程の中でいとも簡単に踏みにじられた。しかし、その時にもマスコミは批判を強めなかった。
1つの画期になったのは、イラク人質事件だったように思う。
今回の「郵政民営化の是非を問う」、「改革を止めるな」というキャンペーンは実によく考え抜かれた戦略だった。刺客の人選も小泉さんの側近から生まれた。
この戦略をコーディネートした集団がいるような感じがする。これには財界も一役買っているのではなかろうか。
もう1つは、世耕弘成参議院議員を中心とする「コミュニケーション戦略チーム」だ。雑誌「現代」の特集スクープレポートによると、このチームは、解散直後に世耕氏の直訴のよって誕生した。したがってこの「チーム」は、解散を1年前から準備し、刺客を送り込む戦略を練り上げ、郵政民営化一本で選挙を戦い、「改革を止めるな」というスローガンを絶叫したこの流れを作る役割は果たしていない。
しかし、この「チーム」は、送り込まれた刺客を地域にも支持される候補者に仕立て上げる点では大きな役割を果たした。また、選挙戦の修羅場に情報を送り続け、細かな選挙区ごとにアドバイスをおこない競り勝たせていく点でも重要な役割を果たしたようだ。
このスクープによると、
この「チーム」は8月30日を前後して、方針にぶれが生まれた。郵政民営化1本で闘ってきたが世論調査に年金が浮上してきてのだ。この「チーム」はこの情勢変化を踏まえて、「幻の年金改革」マニュフェストを作った。
この揺れは、結局、「チーム」自身によってお蔵入りとなった。しかし、この方針の揺れ・同様ぶりは、首相周辺とは違ったものだったのではなかろうか。
小泉総理は、直感で今回のような戦略をとったわけではないと思う。
首相官邸にメディア戦略を検討し、日常的にマスコミ対策をおこなっているというぼくの話は、全くの仮説である。しかし、首相の周辺にこのようなチームがなかったら今回の戦略は生まれなかったのではないだろうか。小泉総理は、ごく少人数で今回の戦略を打ち立てたのではないと思う。
竹中大臣の友人の会社と随意契約をおこなって作ったメディア戦略論は、今回の首相側の政策宣伝の仕方と類似している。
いずれにしても、マスコミ対策、メディア戦略は自民党の戦略の柱になっていくだろう。
これは、国民監視を強めている現在の流れとも歩調が合う。また世論操作という道にもつながるものだろう。
今日は朝から会議、午後も会議、夕方、資料作り。
会議がなくなったので7時40分過ぎに自宅に帰った。


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雑感

Posted by 東芝 弘明