24回党大会に参加して 2006年1月15日(日)

雑感

党大会に参加した代議員967人、大会要員336人(議決権のない評議員が何人参加していたのか記録しなかったので分からなかった)、宿泊料や昼食代、交通費、外国代表団の招待費などを概算すると大会運営費は2億円を超えたかも知れない。
日本共産党は、政党助成金を受け取らず、しんぶん赤旗の収益と党員が納める党費、個人からの寄付、書籍販売などの事業活動で財政が成り立っている。党大会が開催されるときは、すべての党員が大会分担金を納める。
今回の党大会は4日間の日程でおこなわれた。
日本の政党の中で、決議案を2か月ないし3か月前に発表し、支部総会、地区・都道府県の各党会議(代議員による大会)で討議を重ねるとともに、個人でも意見を文書で中央委員会に上げ、全党に公表して討議している政党は存在しない。自民党の党大会は1時間あまり。
組織政党を名乗るなら、日本共産党のような組織運営が必要だと思うが、他の政党はこういう運営をおこなわない。
党大会に参加された外国代表は、17か国、20政党、31人。外国大使館からの参加者(外交官もしくは大使)は16か国におよんだ。他の政党は党大会に外国代表を招待しないし、外国との交流もほとんどない。
日本共産党綱領は、国内の歴史と国内情勢、国際情勢をふまえて書かれている。さらに日々、諸外国との間で外交をおこない、関係を発展させる努力をおこなっている。
国際的な視野で情勢を見ると、ヨーロッパでは、新自由主義の破綻が目に見えるようになり、この路線に対する反対の運動が強まっている。EU内にも新自由主義の流れはあるが、この流れに対する批判も強まり、EU憲法が否決されるという事態も起こっている。ラテンアメリカでは、新自由主義は破綻して、アメリカの支配を打ち破る左翼の流れが本流になっている。
東アジアでも、平和を求める共同体への運動が強まり、アメリカもこの流れを認めざるを得ないところまで来ている。
日本は、いま米軍基地が再編されようとしており、自衛隊が目下の同盟者となって、このアメリカの戦略に組み込まれようとしている。しかし、この基地再編の動きは、住民生活との矛盾を深め、自治体ぐるみの強い反対に直面している。憲法第9条の改変の動きは、このアメリカの戦略から出てきたものである。日米安保条約は、NATOの機能不全など軍事同盟が解体の聞きにあるなかで、アメリカの唯一の拠り所として比重を高めている。
アメリカが世界から孤立しつつある流れの中で、日本だけがアメリカによりいっそう深く組み込まれようとしている。
アジアの一員として平和の流れに参加せず、アメリカと一緒に先制攻撃も辞さないという戦略を採用して日本が動くことは、日本国民とアジア諸国民の平和と安全を脅かすものである。
日本政府が現在採用している方針は、世界の流れに合致しているものだろうか。
アメリカ=全世界=国際問題だというのが小泉首相のスタンスだが、日本が今後重視しなければならないのはアジアに他ならない。アメリカとの間で、本当の対等平等の関係を打ち立て、アジアと信頼関係を築くことが本当の意味で日本の国益に合致する。
日本共産党は、こういう見解を内外に示しているが、これは世界史の流れに著しく逆行したものの見方だろうか。
世界の流れから大きく孤立しているのは、日本政府、自公政権のスタンスではなかろうか。
新自由主義の経済路線は、ケインズ経済学以後巻き起こってきたものだ。すべてを市場経済にまかせ何もしない。金持ちは金持ちに、貧乏人は貧乏に。これが新自由主義の考え方だから、社会保障などは、どんどん縮小すればいいということになる。賃金の絶対的な引き下げ、雇用の不安定化、社会保障の切り下げによる住民負担の増大。小泉改革は、構造改革を推進し、この路線をひた走ってきた。国民の中に貧困が増大し、自殺者が増え、ホームレスが増えている。これは統計の数値にくっきり表れている。
都市再生と地方切りすても極めて意識的に追及されている構造改革だ。族議員の切り捨てと地方切り捨てとは深く連動している。
マルクスは、資本主義の矛盾は、一方の極に富が増大し、一方の極に貧困が増大すると喝破した。資本主義のセーフティーネットを破壊していき、社会保障を打ち砕いていけば、資本主義の矛盾は当然激化する。
日本共産党は、この新自由主義の流れに真正面から対峙して、もう一つの日本は可能だという展望を示している。それは、人間の連帯に基礎をおく社会的連帯による日本の再生でもある。巨大な資本に対する民主的な規制。これをおこなわないと、資本主義の矛盾は、国民を大規模に傷つけてしまう。儲けさえすればいいという資本の思想は、お金がお金を生み出すという金融の世界でもっとも荒れ狂う。株式を中心とした資本主義は、投機によって巨万の富を得るごく一握りの勢力によって実現するが、それは経済の実態とはかけ離れた錬金術のような世界だ。
日本共産党の綱領は、国民に日本の現状を変えて豊かな未来をつくろうという呼びかけになっている。日本の民主的な変革によって、国民が、政治の本当の主人公になろうという呼びかけだ。希望の見えない、展望の見えない日本社会の中で、日本共産党が示している方向は、国民的な希望になりうると思う。
新自由主義の経済路線は、近い将来、こういう経済路線そのものが誤りだったという根本的な反省に直面するだろう。郵便局の民営化が、ニュージーランドで国営に戻されたように、国鉄の民営化がイギリスで見直されつつあるように。
日本共産党は、新自由主義の経済路線と対決して、人間を分断するこの流れに立ち向かい、社会的連帯で未来を開こうと呼びかけた。この呼びかけは、心ある人々の胸をたたき、魂をゆさぶる力を持つように思う。
大会では、社会的連帯の力で新自由主義に立ち向かい、人間性を取り戻している実践に彩られていた。ぼくもこの党の一員として全力をつくしたい。


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雑感

Posted by 東芝 弘明