ポスター貼り

雑感

秋。小春日和だなと感じた。空気が澄んでいる。秋のこういう日の気配が、子どもの頃から好きだった。秋に何となく寂しさがあるのは、静かに音もなく冷たい冬に向かうからだろうか。葉の色づきの変化には静けさが似合う。
知事選挙の告示だったので、公営掲示場のポスター貼りに出た。2人1組で組を組んで、ぼくたちのコースは合計29箇所のポスター貼りだった。
平沼田から渋田、そこから480号を山手に登り、御所、天野、日高、志賀、新城の地域に行った。天野に登ったとき、トイレ休憩によって、3枚目のポスターを貼ったあと、同乗していたMさんが、人に会いに行こうと言ったので、会いに行った。その方は家の前の空き地で草を燃やしていた。
「こんにちは」
ここから会話が始まって、コーヒーをよばれることになった。1時間ほどお話をして、日高、志賀、新城に行った。12時を回ったので食事を取ることになって、「たまゆら」にお邪魔した。990円のロコモコランチを食べた。

「新城の美術館に行ったことはありますか」
Mさんにそう声をかけて、元新城小学校跡に整備された地域交流センター「すぎのこ」を訪問した。入り口でKさんが歓待してくれ、作品の説明のために同行して下さった。飾られている絵がずいぶん増えていた。説明されて初めて分かるものがたくさんある。
光を表現した2人の女の子の絵は、何度見ても驚かされる。女の子の顔に光が当たっているように描かれている。実際の照明と描かれた光の区別がつかない。
絵には、描いた人が時間をかけて込めた思いがある。その思いがどこにあるのか、なんだか伝わってくる絵があるし、自分には伝わってこない絵もある。自分の人生と描いた人の、言葉を通じないコミュニケーション。たくさんの絵をじっと見て、何を感じるのかに思いをめぐらせる時間はいい。そういう向き合い方をしていると、忘れられない絵が記憶の中に残っていく。
絵と自分とのコミュニケーションは、しかし、絵を生活の場において、毎日見ることによって深まるだろうとも思う。買って手元に置く絵というものは、人生の伴奏者になりうるだろうと思う。
天野も新城もイチョウの葉から葉緑素が抜けて黄色に染まりはじめていた。葉緑素は、ぼくの中では煙のように空に立ち上って消えていくものだ。なんだか印象深い、ポスター貼りの行動となった。


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雑感

Posted by 東芝 弘明