令和5年度予算の特別会計の反対討論3本

議員の活動,かつらぎ町議会

令和5年度予算の特別会計の反対討論は、国民健康保険事業会計予算、後期高齢者医療事業特別会計予算、介護保険事業特別会計予算の3本。これも掲載しておきたい。

令和5年度国民健康保険事業特別会計に対する反対討論

議案第32号、令和5年度国民健康保険事業特別会計に対する反対討論を行います。令和5年度の保険税は前年度比で一人当たり8100円負担が増えるものになりました。その中で医療分が400円、後期高齢者支援分が3800円、介護分が3900円もの負担増となりました。後期高齢者支援分と介護分が増えたのは、社会保障をめぐるこれらの制度が、国民の負担を増やす方向を推し進めているからに他なりません。
こういう中で、和歌山県は、国民健康保険税の統一を図ろうとしています。しかし、統一を図るべき必然性はどこにもありません。もともと国民健康保険事業は、地域の医療状況及び医療費の給付に見合う保険税の設定という仕組みをもっており、都道府県が保険者となったときにも、この制度は基本的に維持されました。県内で保険税を統一するという方針は、和歌山県が任意に進めているものであり、統一を進めることの方が矛盾をより一層拡大することになります。
和歌山県には、医療体制の弱い地域があり一人当たりの医療費給付も少ない地域があります。これはゆきとどいた医療体制を構築するという点では大きな課題ですが、逆に給付体制の脆弱化に直結する病院のベッド数の削減を推進しながら、保険税を統一しようというのは、極めて無茶なことだと思います。県は、医療の分野でも重い保険税負担と給付の貧困をつくることがいいと本気で思っているのでしょうか。
県は、結局令和9年度の保険税統一を先延ばしにし、さらに統一の年度さえ明らかにできない状況に陥りました。しかも統一するために必要な推計もできない状況にあります。その中でかつらぎ町は、前年度との比較で納付金の伸びを見て、その伸び率だけを頼りに保険税統一の推計を行って基金の取崩額を調整しています。どの年度で保険税を統一するのかさえ明らかになっていないので、このやり方にも根拠はありません。
国保税の一人当たりの税額が13万7900円だというのは、明らかに負担が重すぎます。せめて協会けんぽ並みの保険料と同じ程度にならなければ、それこそ国民間の公平はないと言わなければなりません。
かつらぎ町は、この高すぎる保険税と向き合って、住民に対して保険税の軽減を検討するために、均等割や世帯割りの軽減を考えるべきだということを訴えて、私の反対討論を終わります。

かつらぎ町後期高齢者医療事業特別会計予算にたいする反対討論

議案第34号、かつらぎ町後期高齢者医療事業特別会計予算にたいする反対討論を行います。この制度は、75歳以上の高齢者を年齢で区分して、保険料とともに医療の一部負担を担わせることにより、医療費の負担が上がっていく痛みを高齢者に実感してもらうために制度設計されたものです。
後期高齢者医療には最初、保険料の9割軽減、8.5割軽減という制度がありました。導入の最初の医療費の一部負担は1割でした。このような仕組みからスタートしたのは、国民の強い反対があったからです。しかし、保険料の9割軽減、8.5割軽減は廃止され、しかも、令和4年10月1日から医療費の2割負担を導入しました。本町の10月1日時点の2割負担の被保険者は441人で12.4%に上りました。
日本医師会は、令和3年度、2割負担が導入されるとき、明確に反対の態度を取りました。反対理由は、高齢者になればなるほど、所得に占める医療費の負担が大きいからでした。加齢によって病気を抱え、医療機関を受診したり入院したりして、命を繋いでいる現実があるからです。
国は世代間の負担の公平を言い、全世代型社会保障改革を推進していますが、現実は、90歳を超える親の医療費を60代から70代の子どもの世代が負担していることが多く、老老介護、老老医療の中で高齢者の負担増は現役世代や引退世代の負担になっている例は多いというのが実体です。
私は昨年の決算の反対討論で、「後期高齢者医療制度は、どんなに長く存在しようが、定着しようが、年齢で区別するという点で、諸外国には全く例のない、究極の差別医療制度だという現実は変わりません。この制度の廃止と介護保険制度の改善なしに、日本の高齢者は安心して生きられないと思います」と訴えました。
今回もこのことを重ねて訴えて私の反対討論と致します。

令和5年度かつらぎ町介護保険事業特別会計予算に対する反対討論

議案第35号、令和5年度かつらぎ町介護保険事業特別会計予算に対する反対討論を行います。介護保険事業特別会計に対しては、3年ごとの保険料見直しごとに反対の態度を表明してきました。しかし、今後は高すぎる介護保険料の独自軽減の制度の拡充、減免制度の徹底を求め、さらに利用料の軽減制度を研究・検討することを求めつつ反対することにします。
誰が考えても80万円の年金収入に対し、8万2200円もの保険料を負担させ、しかも年金から天引きする介護保険制度は、制度として間違っています。
介護保険料の負担は重く、高齢者の生活を圧迫しています。サービスを受けている人は2割に満たないので、負担だけを強いられる制度になっています。こんなことになっているのは、介護認定によってサービスの受給範囲を狭めてきたからに他なりません。受給範囲をさらに狭める動き、負担を増やす動きは止まりません。
この制度は、保険制度はあるのに介護なしというような状況に近づきつつあります。介護保険によって、介護が必要な状況になれば保険を活用できる、社会的な介護によって家族の負担を大きく軽減できるという制度に作り替えなければなりません。そのためには全国知事会が求めているように国庫負担を増やす必要があります。全国知事会の訴えに背を向けるような政府は話になりません。
最近政府は、18歳までの医療費無料化の質問に背を向けました。多数の自治体が当たり前のようにやっている制度を簡単にはねのける、私たちはこういう政府と向き合っています。その一方で財源の見通しもなしに43兆円もの巨額の軍事費をつぎ込もうとしています。戦争による破滅よりも高齢者の介護問題を解決してほしい。これは当たり前のことだということを訴えて、反対討論を終わります。


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Posted by 東芝 弘明