令和5年度かつらぎ町一般会計予算に対する反対討論

雑感

議場ではブーイングが発せられた(笑)2023年度の一般会計に対する反対討論を掲載しておく。ブーイングが出たのは、一般会計に対する反対討論なのに、それと関係がないかのように聞こえる、43兆円の軍事費の拡大と戦争準備の話を大きく展開したからだ。しかし、ぼくは、あえてこういう討論を準備した。途中で異論が出るのは覚悟の上だった。たとえブーイングが出ても、地方自治体の政治や国民のくらしを破壊する戦争準備について、語っておくことが自分の義務だと思っていた。以下がその全文。

令和5年度かつらぎ町一般会計予算に対する反対討論

議案第30号、令和5年度かつらぎ町一般会計予算に対する反対討論を行います。
令和5年度は、国の大軍拡予算の最初の年度となりました。岸田内閣は、5年間で防衛費を43兆円にするために、昨年12月16日、安保3文書を閣議決定し、これに基づいて予算を作成しました。今年度の防衛費は、予算額にして6兆8219億円に上ります。この予算は対前年度比で1兆4214億円、26.2%もの増額となるものです。防衛費予算の中には、装備品の調達や施設整備などの契約があり、契約金額は9兆5768億円にのぼります。これが防衛費総額を大きく超えるのは、契約の中に初年度の負担額が小さいものがあるからです。こういう契約によって、今後の軍拡が固定化し拡大されるということです。

しかも、令和5年度の予算には、令和6年度以降の防衛費に活用するため、各会計からの繰入金をかき集めた3.4兆円もの財源を防衛力強化資金に積み立てることも行われました。この分も合わせると防衛費関係の予算は、10兆2025億円に上ります。

政府は、安保3文書に先立って財源を明らかにする責任があったので、12月13日、軍拡の財源見通しを発表しました。しかし、この計画は穴だらけで実現不可能なものです。計画では令和9年度に実施する増税額を1兆円強としていますが、他の分野の財源確保は不可能なので、全く根拠のないものになっています。このまま軍拡に突き進めば際限のない増税に陥ることは明らかです。

今回の軍拡は、前年度の予算の伸び6兆8000億円の実に70%、4.8兆円を占めています。なぜ今年度の予算で物価高騰対策や少子化対策、肥料や飼料の高騰対策、賃金引き上げ対策がほとんど具体化されないのか。それは軍拡が予算の伸びを食い潰しているからに他なりません。

私たち地方自治体は、こういう国の政治のもとで自治体を運営しなければならない事態に直面しています。
しかも今回の超軍拡路線の中心は敵基地攻撃能力の保有にあり、鹿児島から与那国までの南西諸島は、ミサイル基地化し戦争に巻き込まれる危険が現実のものになっています。日本政府は、アメリカと一体となった敵基地攻撃をも想定し、それに対する反撃に備え、和歌山県の3箇所を含む日本の自衛隊基地293を強靱化する計画を立て、司令部の地下化などを進めています。想定には日本に対する核攻撃が入っています。
私たち地方自治体を運営する住民は、この国の動きに対し、戦争準備反対の声を上げなければなりません。そうしなければ、近い将来、住民の生命も財産も守れなくなります。
戦争準備に対して、地方自治体は、忖度しないでコミットし、戦争を止める責任があります。この責任は今後次第に大きくなるし、自治体として根源的な姿勢が問われる問題になると思います。

このことを前提にして、今回の討論を行います。
かつらぎ町は、少子化対策と高齢化対策の両方にとりくみ、とりわけ「若者が住みやすいと思える町とは、すべての世代が住みやすいと感じる町」という理念を軸に町政を運営しています。今年度は、0歳から2歳児の保育料を完全に無料化する施策を実施しました。子どもに直接届く対策は、現物給付中心、所得制限なしというのが基本です。子どもには当然ながら収入はありません。子ども中心の施策はすべての子どもに分け隔てなく行う。現町政が、ここに着目して施策を実施していることは素晴らしいと感じています。今後もこの視点で子どもへの対策が講じられることを期待します。

また公民館が天野・志賀・新城に新たに設置され、公民館活動が行われることは喜ばしいことだと思います。公民館が地域住民の大切な居場所になり、地域課題の解決のために大きな役割を果たすとともに、生涯学習課の重点施策が公民館を通じて展開され、そのことによって住民自治がさらに活性化されることを期待します。

生き生きサロンが、名称も変更されて出発することも喜ばしいことだと思います。生き生きサロンが高齢者の居場所となり、地域住民の交流の場所となることを期待します。

歴史民俗資料館が、文化財の拠点施設として整備されることは、蓄積されてきた文化財の保存や管理の画期となるものであり、この分野が充実されて地域の文化が大切にされることを期待します。

議員のさまざまな提案に対し、現町政は、率直に答弁し議員の提案を生かす姿勢を鮮明にしています。これもまちづくりを具体的に進めるものだと思います。

財政については、町の方針として公共事業の総額抑制を打ち出し、バランスをとりながら運営している点をいいと思っています。もちろん、必要な公共投資は今後もたくさん発生します。すべきことは山積しています。しかし、それらを見極めつつ何が町民にとって重要なのかを打ち出して運営されることを期待します。
以上が賛成の部分です。

私が懸念しているのは、行政運営の在り方です。
庁舎建設については、現時点では職員の英智が結集されているとは言いがたい。サウンディング調査には反対しませんが、それよりも前に検討すべき課題は数多く存在します。どうして職員の英智を結集するものになっていないのか。この点では疑問が解けません。
個人情報保護と深く関わるマイナンバーについて、町は積極的に推進する態度を示し、自治体DXについても前のめりです。
自治体DXには、メリットとデメリットがあります。はっきりしているのは、デジタル田園都市構想なるものが、自治体の懸案事項を大きく解決するものにはならないということです。現状の改善にはつながる分野はあるが、バラ色の夢は描けないというものです。

マイナンバーは今国会で法案が可決すれば、自治体の条例化によって3分野を超えて活用が可能になります。民間との利活用も始まり、医療機関においては患者の情報の共有が始まります。指摘したとおり、マイナンバー制度は、マイナンバーカードを軸にすることによって、個人の基本的人権を守らない、守れないものとして拡大します。地方自治体がこの問題に対して真摯に向き合わないと、いずれ大きな問題に直面するのは明らかです。

日本の問題は、個人情報を守る仕組みが極めて貧弱であり、個人情報は個人のものという基本が弱い上、個人には削除を求める権利を認めず、その一方で利活用の最大化を積極的に進めるところにあります。この分野でどうやって個人情報を守るのか。それは自治体固有の使命です。メリットとデメリットでこの問題を語るのは間違っています。
以上をもって、私の反対討論を終わります。

反対の部分よりも賛成の方が多い反対討論となった。


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雑感

Posted by 東芝 弘明