長期総合計画素案に対する議会の提言

雑感

長期総合計画調査検討特別委員会(委員長は東芝)を開催し、3時間かけて議員個人の責任で提出いただいた「第5次長期総合計画素案」(以下「総合計画素案」)についての意見や質問について、議員間の協議を行い、議会による提言をまとめることになった。
今回の長期総合計画素案には、「めざそう値」という名で、12年後の数値目標を示すようになっている。議員による質疑でも、「めざそう値」については、いくつかの疑問や訂正が必要ではないかという意見が出されていた。この件については、審議会からも同じような意見があったようだ。
企画公室は、今日の委員会に対して、12月末に改めて町長による「めざそう値」について、ヒアリングが行われたことを報告した。このヒアリングに基づいて「めざそう値」を中心にした各課による再検討が行われ、この変更に伴って総合計画素案の文章の変更も行うことになる。変更点、改善点のとりまとめは1月9日を〆切として集められた。企画公室による総合計画素案の文書の修正作業は10日以降ということだった。
議会による事務調査は、第5次長期総合計画策定審議会の議論を経てから行うことになる。「めざそう値」の訂正を含む総合計画素案の委員会による調査の時期は、2月の初旬となるかどうかだろう。

現在の総合計画素案に対する修正意見等(議会は提言という形)の提出期限は審議会が1月9日、議会が1月10日だった。こういう事態になったので、今日の委員会の議論をどう進めるのかを議員全員で協議して、とりあえず今の総合計画素案に対する提言を出そうという確認が行われ、「めざそう値」についての議論は、町による訂正がなされたときに改めて事務調査をし、その調査に基づいて、もう一度議会から提言を出すことが確認された。

議員から出された質問や疑問、修正案を含む意見の協議は10時から12時までの2時間という中で行われた。この協議によって議員が合意したものを提言(修正意見)としてとりまとめ、町長宛に議長名で提出する(委員会は議会の内審査機関なので議会を代表する権限がない、対外的に議会を代表するのは議長なので、委員長名による提言という形にはならない)。委員会では、この作業を10日中に終えることも確認した。

午後2時から町と商工会共催の新年賀詞交歓会が開催された。ぼくは挨拶だけお聞きして、会場を出て、長期総合計画素案に対する議会からの提言をまとめる作業を行った。作業に従事したのは、ぼくと委員会の副委員長、議会事務局長の3人だった。文書は5章に分かれているので手分けして作業を行った。作業が終わったのは6時過ぎだった。3人による作業だったので、あとは文体の統一と提言文書の表記の統一作業が残った。この作業が次の日への持ち越しとなったので、企画公室にその旨を伝えて提出期日を伸ばしてもらった。

賀詞交歓会の挨拶には、いくつか面白いものがあった。町長の挨拶は、率直に直面している人口減少が働く者の不足を生み出し、とくに飲食を中心とするサービス業の人手不足が深刻になり、2030年にはその規模が400万人(産業界全体は600数十万人)に達するというものだった。これに対する対策を講じる話が報告された。人口減少はまさに「今ここにある危機」だといわなければならない。町の長期総合計画素案には、まだ総論部分が何もないので、ぼくはそれを書くべきだという意見を上げているが、今後12年間の計画に横たわるのはこの人口減少問題だと思っている。定量的にこの危機を見極めるのは困難だが、長期総合計画は当然、この難しい問題に直面しつつ、対応するものにならざるを得ないし、この問題を真正面から捉えないと現実からかけ離れた絵に描いた計画にならざるを得ない。

日本の資本主義は、国民への搾取と収奪を強めてきた結果、衰退局面に入っている。資本主義=衰退ということではないが、資本と労働の関係に横たわる搾取、国家による税の再配分(大企業に配分を多くし、国民への配分を小さくしてきた。消費税による国民への負担増と法人税の減税がその典型)による国民への負担増によって、国民生活の困難が増大したことを原因として、日本資本主義は持続可能性を失いつつある。この危機を、国民生活を守り向上させ、国民の所得の向上、非正規雇用の改善と解消、労働時間の抜本的な短縮によって解決しないと日本の未来はない。

もちろん、町長とここまで認識の共有はできていないが、人口減少が何を引き起こすのかという現実の困難については、認識が共有されているのを強く感じた。

石田真敏衆議院議員の挨拶は、日本がこの20年、30年間デフレが続いたことにより、経済が沈滞したことを述べ、先進国が毎年2〜3%の経済成長を続けてきたのに日本は経済成長しなかったので、ワニが口を開いたようにその差が大きくなっていると述べた。そして結論として、今年の春闘で賃上げが実現することに期待するというものだった。自民党の現職の衆議院議員が、労働組合の春闘に期待を託したのは興味深い。これは珍しい。賃上げが日本を救うという認識は一致しているのが面白かった。


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雑感

Posted by 東芝 弘明