入党のおすすめのために橋本市に

思い出

入党のおすすめ会があったので橋本市に行った。結果は、「真剣に考えてみます」ということだった。よい返事が返ってきたらうれしい。
橋本市からの帰り、入党の話について考えていると母のことを思い出した。
ぼくは、27歳の頃、民主青年同盟が出している「民青新聞」という新聞に詩を投稿していた。当時の習作ノートが何冊も残っている。新聞に何度も掲載され、書くことが楽しくなっていたので、推敲に推敲を重ねながら詩を書いていた。習作ノートには、作品にならなかった詩の断片が多く残されているが、掲載された作品は、選者の方の選評といっしょに切り抜かれてノートに貼り付けられている。
自宅に帰ってから、母のことを書いたノートを引っ張り出して眺めてみた。
切り抜きの新聞は、みごとに変色して黄土色になっており、貼り付けていたのりが所々はがれている。当時の活字は随分小さい。
このノートを書いていた頃から20年という歳月が過ぎている。
詩を書くためには、自分を見つめる時間や作品の対象となるテーマを静かに見つめる時間が必要になる。それは、書きたいテーマの世界に自分の意識を集中させ、言葉を選ぶ時間である。
最近は、1人になる時間がなかなかとれないこともあって、こんな時間を持たなくなった。しかし、そういう時間を持ったとしても、果たして自分の体の中から詩が沸いてくるのかどうか。その辺のことには自信がない。
党への入党と母のことを書いた詩を書き写してみたい。27歳の若さゆえの気負いなどもみえて、恥ずかしいが、この作品の中には、感傷的になっていた若い自分がある。

    墓前にて

高野山の奥ノ院の西の端にある
あなたのお墓
太い槙の木の下の墓石には
落葉が積もっているでしょうね

時がすぎて
十年目の命日が来ようとしています
木々に囲まれた
ひっそりとした地面の下は
寒くはないですか
あなたが亡くなった日のように
雪が積もっているでしょうか

ガンが
あなたの命を奪ってから
随分になるのに
ぼくはあなたの人生を
振り返ろうとしています

あなたも
白い紙に名を書いたのですね
二人の婦人に祝福されて
書いたのが入院の少し前だと聞いて
驚きました

あなたはベッドの上で
共産党のことを考えたでしょうか
考えたでしょうね
あなたの青春の原点には
侵略戦争への怒りがあったから

恋人の戦死や
疎開してきた子どもたちや
空襲のことを思い出し
党への入党のことも思い出したでしょうね

ぼくは
あなたの息子ですよね

かあさん
かあさんが歩めなかった
党の道を
ぼくは歩いて九年がたちました

今年は墓の前で
あなたを
「同志」と呼んでもいいのですね。

今年は
落葉をひとつひとつていねいにとりのぞいて
かあさんの墓の前に立つことにします
清めた墓の前に立ち
背筋を伸ばして
職業革命家となったぼくの
党員としての九年を
報告したいと思います


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思い出

Posted by 東芝 弘明