かつらぎ町のプラスチックごみ、悪戦苦闘

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自宅の仏壇の間に置いてあったソファーを車に乗せて、中間処理場まで運んだ。
中間処理場は、笠田地域の山田という在所にある。
「行くときは広域農道を通っていって下さい」
そう言われたので大藪から広域農道に入り、北から中間処理場に車を走らせた。
処理場は、作業中だったのであわただしく動いていた。
まずは、カンカンに乗り重さを量る。ごみの重さを正確に割り出すためだ。指定された場所までソファーを運ぶ。
自分の仕事を終えたあと、7〜8人が集団で作業しているブースに足を運んだ。
課長がマスクをして歩いてきた。
「プラスチックごみの分別をしている。日本リサイクル協会からかつらぎ町のごみは臭いと言われた。このままだと来年からは取れない。今までAランクだったのにBランクに落とされた」
課長はいきなり切り出した。
見ていると、ごみ袋一つ一つを割いて中身を取り出し、スーパーの袋に入っているごみは、スーパーの袋を割き、さらに、汚れているもの、混入してはならないもの、洗うもの、ペットボトル(別収集しているがプラスチックごみの中にも入っている)、紙類、発泡スチロール(これは固めて商品化する)、硬質プラスチックなどを仕分けていく。
プラスチックごみには、食品関係のものも多い。プラスチックにさまざまなものが付着していると再生利用に障害がでる。見ていると、ずるずるに汚れたラップ類、中身を抜いていないシャンプー、トンカツソース、洗っていないトレイ、混入してはならない紙類がたくさん出てくる。
「プラスチックは洗って出して下さい」
役場はこう啓発している。洗わないまま出せば、最終の仕分け段階でものすごい労力が必要になる。この「洗って出して下さい」という言葉の背景には、悲鳴に似た「懇願」が入っている。
「あ、これはあかんわ。うん、これはいける」
課長が目の前で、少し分けて見せてくれた。
「なぜ、そんな判断ができるん?」
「なんべんもやってるから分かるんよ」
そう言って説明したのは、「プラ」と書かれたマークだった。

このマークこそが、「容器包装リサイクル法」で指定されたリサイクルプラスチックだ。
「容器包装リサイクル法」──この法律にもとづいてプラスチックの収集はおこなわれている。プラスチックごみの中で、容器包装のプラスチックだけをリサイクルの対象にしている。これが、この法律の目的だ。厳密に言えば、容器包装でないプラスチックは、リサイクルの対象ではなく「峻別」が必要になる。そう、「峻別」─厳しく分けるということだ。
分別の現場では、「プラ」と書かれたリサイクルマークのプラスチックかどうかが、分別の一つの大きな基準になる。「プラ」と書かれていないものについては、場合によって、リサイクルに回せないのだ。
どのプラスチックが容器包装リサイクル法の対象で、どのプラスチックが対象外なのか、たった一度現場に立ち会っただけでは判断できない。
「去年までは、ここまでチェックが厳しくなかった」
課長がそう言った。
「日本容器包装リサイクル協会」──これが日本リサイクル協会の正式名称だ。容器包装とは何か、「協会」のホームページにその規定が紹介されている。
容器包装リサイクル法の対象となる容器包装
容器包装リサイクル法とは
容器包装の定義は、4つに分類され、(4)としては、次のように書かれている。
「社会通念上、容器包装であると概ね判断可能なもの」
4つの規定の中でこの4番目が一番難しい。
説明書きは次のようになっている。

「(4)については広範囲に及ぶ本法の関係者が、当該物が「容器包装」であることを容易に判断できることが求められることから、容器包装であるか否かは基本的に社会の通念に沿って判断されるべきとの考え方に基づくものです。
なお社会通念によっても、容器包装であるか否かが不分明であり、一律に整理することの困難なケース(中仕切り、台紙、緩衝材等) については、容器包装と位置付けられなかった他のものとの関係で不公平が生じないか、法目的の一つであるごみの減量や制度の円滑な運用を図る上で不都合が無いかなどの観点を考慮して主務省が判断の基準を示します」


すごい。容器包装かどうか、その基準は環境省が判断の基準を示すというのだ。
今年になって「日本容器包装リサイクル協会」は、容器包装リサイクルにお金を出している業界を重視し、「プラ」と書いていないプラスチックで、容器包装でないものについては、「分けろ」という指導を強めているらしい。やり方は、抜き打ち検査。ごみを実際に開いてみて、混入がひどい場合にはランクを落とすということになる。容器包装の形をとっていないプラスチックでも、容器包装の材質と同じプラスチックは、ものすごく多い。しかし、それらのプラスチックは、法律でいうリサイクルの対象外で、「リサイクル協会」の立場からいえば、受け取ってはならないプラスチックになる。
結論からいえば、住民は、こんな出来損ないの法律を理解して分別することはできない、ということだろう。
なんだか、おかしな日本の構造と政府の外郭団体のゆがんだ体質をかいま見た気がした。この資源ごみの受け取り先である企業は、プラスチックを再生利用している。現場の再生処理で問われるのは、プラスチックの種類であって、「プラ」というマークではない。したがって、いま、かつらぎ町が「プラ」マークを意識して峻別することに本当はあんまり意味がない。再生にとって問題なのは汚れの方である。
「日本容器包装リサイクル協会」は、「プラ」マークを管理しているようだ。このマークが入っているプラスチックは、「日本容器包装リサイクル協会」に処理の資金を拠出しているのだ。この処理のための資金で成り立っているのが「協会」なので、「プラ」表示のないプラスチックが大量に混入するのは、好ましくないということなのだ。これが本当の分別リサイクルなのかどうか。考えさせられる問題だろう。
「リサイクル協会」の指導を受けて、本日から中間処理場では、徹底的な分別作業が始まった、ぼくはたまたまその現場に居合わせた。この事実を知ったことは、有意義だった。
やはり、仕事の現場には、刮目すべき事実がある。
ちなみにリサイクルsystemについても、「リサイクル協会」に図が示されてあるので紹介しておきたい。プラスチック製容器包装再商品化の流れ
以下は、本日撮った現場での写真である。最近の携帯カメラの画質はいい。普通のデジカメで撮ったような写真が撮れる。
まずは、ごみの山

作業風景
ごみ袋を割いて中身を取り出し、仕分けしているところ。

分かるかな?。この汚でアウト。洗う必要あり。

「洗いましょう」といいたくなる。ごみ出した人は、洗われていることを知らないだろうなあ。

これなんか、まったく洗わないで出している。

コンテナに入れて、水で洗っている。
夏場は、生ものが腐るので臭い。
ごみは出せば終わりではなく、リサイクルに回されているので、最終段階でも、分けて資源にするために涙ぐましい努力がおこなわれている。


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Posted by 東芝 弘明