演説にサプライズを

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演説について、あらためて書いてみよう。
ぼくは街頭で訴えるとき、サプライズが演説の中にあるかどうかを一番大切にしている。サプライズと言っても、ぼくしか知らない事実を話すということではない。そんなことはほとんどできない。
ぼくのいうサプライズというのは、次のような流れの中で出てくるものだ。
たとえば、庶民大増税の話の場合、なぜ国は、庶民大増税を実施するに至ったのか、そこに働いている構造的な問題はなにか。こういうことが浮き彫りになるような組み立てを考えるということだ。
調べていくと、庶民大増税と対をなすように大企業に対する大減税が見えてくる。政府の考え方の中に近年、増減税同額というような考え方が出てきている。
しかも、これがホントに綺麗に、如実に現れている。
今年の庶民増税は、定率減税の廃止だった。これによる増税は、1兆7000億円。かたや企業・お金持ち減税は、減価償却費の法改正と証券優遇税制の延長で1兆7000億円という具合だ。
消費税の3%から5%への税率引き上げは、橋本内閣の下でおこなわれた。これは構造改革路線の具体化の一つだったが、この増税に合わせるようにして、数年かけて法人税が42%から30%まで減税された。
いま、日本経団連は、法人3税の実効税率を40%から30%に下げるよう要求し、その財源として消費税増税を求めている。話は非常に分かりやすい。
安倍総理は、この流れを受けて秋以降消費税増税を含めた抜本的な税制改正に着手すると言い始めている。
小泉総理は、構造改革が必要だといい、「痛みのともなう改革」を叫び、「痛みの先に未来はある」と訴えた。構造改革は実行に移され、「痛みのともなう改革」は実施された。
大企業は、あのバブル期の収益の1.5倍の利益を上げているという。
以上のようなこの数年間の日本の政治を、庶民大増税というテーマに沿って解きほぐし、なぜという問いに答えるように話を組み立てていく。不破さん流にいえば、演説の中で証明(数学的な証明だ)するということだ。ここにサプライズが生まれる。
サプライズという場合、何よりも大切なのは、自分が情報を収集する中で、「発見」し「驚いた」ことを、その感覚を大切にして語るということだ。自分の中に驚いたという感覚がなければ、サプライズは生まれない。
これは、議会の質問でも同じことが言える。質問の過程で、聞いている人にも、なるほどそういうことかということがなければ、質問は面白くない。質問や演説準備の調査研究は、発見と驚きのくり返しなので、それを話の中に盛り込んでいく。そこにおもしろさが出てくる。
ポーズやはりぼてのパフォーマンスで人の気持ちはひきつけられないと思う。自分が一生懸命訴えたいこと、驚いたこと、発見したこと、腹が立ったこと、情熱を込めて訴えたいこと、そういうものがなければ、聞いてもらえる演説にはならない。
街頭演説の場合、その場所でその時間に聞いていただけることは、偶然である場合も多い。その意味では一期一会であるかも知れない。一生懸命、心を込めて訴えないと思いは届かない。
もちろん、演説には、ものすごく出来・不出来がある。聞いてくださる方の反応もあるので、波に乗れる場合と乗れない場合がある。
生き物のように難しい。それが演説だ。
不破さんの話にも志位さんの話にもサプライズがある。だからこそ印象に残るし面白いのだ。
このテーマにもう少し付け足して書いておこう。
ポッドキャストで「ラジオ版学問のススメ」を聞いている。作家にしても研究者にしても、たえず発見と驚きの中で自分の問題意識を追及している。こういう方々の話には、常識を覆すような発見と驚きがある。こういう方々の世界は実に面白い。
知的な好奇心を失ったら、演説も面白くなくなるだろうなあと思う。
日本共産党の寄って立つスタンスは、科学的な真理に立脚するということだ。科学的真理と政治的真理は一致する。研究によってどのような結論が導き出されようと、それが真理ならば、私たちは真理擁護の立場に立たねばならない。
利害が分裂している社会の中にあっては、科学的真理は党派性をおびる。この命題もおもしろい。科学的な真理を追究しようと思えば、経済界や政界の利害から自由になる必要がある。この自由を手に入れるためには、利害で動く関係から自由になる必要がある。
日本共産党の立脚点は、科学的な真理を根拠に、それをもっとも大切な運動の柱にして組み立てるところにある。科学的な真理を追究しようと思えば、利害で動くものと対峙する必要がでてくる。真理が党派性をおびるというのは、こういう関係のもとで生じるということだ。
純粋であるはずの自然科学上の真理が、社会の中でねじ曲がり、否定されたりもする。人間社会を扱う社会科学の分野になると、利害の対立がどんどん入り込み、真理が歪められる。これは自然科学の比ではないだろう。


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Posted by 東芝 弘明