かつらぎ町における保険料減免の歴史

議員の活動

介護保険の減免制度の確立のために何度質問をして、その結果どのように制度が変化してきたのかを資料をもとに明らかにする努力をはじめていくと、かなり骨のおれる調べ物になってきた。
明日の内に原稿を仕上げて、「議会の自治体」宛てにメールしなければならない。
調べてみると、ぼくは、介護保険が導入される2年前から介護保険について質問をしていた。
減免規定の導入については、導入の1年前から提起していた。
これは、日本共産党地方議員団が介護保険導入を重視して対応を求めてきた結果でもあった。
重視する中心にぼくはいたのだが、その取り組みが質問に反映していた。

かつらぎ町議会で介護保険の保険料減免について質問をしてきたのは、ぼく一人だった。これは日本共産党議員団の仕事として、ぼくがこれを引き受けたことを意味している。
保守系議員の方々は、この問題には全くノータッチだった。
質問には、節目があった。
介護保険導入前の論戦は、まだ介護保険を十分理解していない町長に対し、介護保険とは何か、医療保険とどう違うのかという基本を明らかにして、本腰を入れた取り組みを行うことを求めるところから始まった。
根本的な仕組みから始まった質問の成果は、導入時に現れた。それが介護保険料の減免制度を作るという答弁だった。

しかし、減免制度はできたもののそれは極めて曖昧なものだった。制度があっても全く軽減制度が適用されないまま、5年が経過した。
介護保険についてのぼくの質問の柱の一つは、介護保険料の減免制度の充実が中心だった。
前進を切り拓くきっかけになった質問は、2005年6月議会の一般質問だった。この時の質問では、国が示している減免する際の3基準に強制力がないことを明らかにした。
さらに、2005年9月議会では、足立区の経験を紹介した。質問準備のためにぼくは、「議会と自治体」に掲載された足立区の取り組みを読んだ上で、足立区の担当者に電話を入れた。この時の取材相手は女性の担当者だったが、電話による取材は大いに盛り上がった。当時足立区は介護保険の減免制度を予算を組まずに保険会計の範囲内で行っていた。ぼくはこの取り組みを紹介し、国の3原則を守っても減免制度は十分実施できることを訴えた。

この2つの質問が力になって、曖昧だった減免制度が明確な基準をもつ制度へと発展した。しかし、これで問題は解決しなかった。かつらぎ町は、減免制度を作っても、この制度は活用しないで周知徹底もしないという態度をとり続けた。介護保険の減免制度は、全国的にみても申請減免制度が圧倒的に多い。これは、法定減免制度を国が実施していないのが大きな原因だと思われる。
一方、かつらぎ町は、年金額の極めて少ない方々の保険料の滞納を執行停止処分にするという態度を何年も続け、減免は認めない、減免制度は使わないという態度を取っていたことがある。これはある年の決算委員会で判明した。介護保険は、過去に1年間保険料の未納がある被保険者に対しては、介護サービスを必要とする段階になると、利用料の全額自己負担させ、後日9割を償還するなどのペナルティーを科すようになっている。1年6か月滞納があると9割の償還がされなくなり、2年以上滞納すると3割負担などが適用される。執行停止処分は、被保険者の権利を奪うものだったので、ぼくはかなりきつく批判した。

その結果、ようやく制度の周知徹底が始まり2009年になって数人の保険料軽減が実現することとなった。
しかし、話はまだここで終わらなかった。減免規定が極めて過酷なものになっていた。制度は、1人暮らしの場合、年間の年金収入などの合計が48万円以下で資産も48万円以下、さらに税の扶養にも各健康保険の扶養にも入ってないという規定だった。しかも軽減してもらえるのは、保険料の3分の1というものだった。
ぼくは、この規定は一体何だろうと思い、怒りが湧いてきた。年間わずか48万円でしかも誰からも援助を受けていない人という規定は、一体何だろう。わずか48万円で1人で生きている人というのは、極めて稀な状態ではないだろうか。ありえないような想定を行って、軽減する額はわずか4分の1という規定だ。軽減後も48万円の年金だけしかない方からほぼ1か月分の年金に匹敵する保険料を納めさせるというのは、どんな感覚だろうか。
ぼくは、一般質問でこの認識を町当局に示し、減免規定の見直しを求めた。その結果ようやく実現した規定が、「1人世帯で90万円以下、世帯員が1人増すごとに48万円を加算した額」となった。軽減額は4分の1にとどまったが、今年の3月、町長が支払いが困難な人については全額免除することを表明したので、この基準に合致する方々が申請減免を申し出たときには、全額免除されることとなった。
4月以降、3人の申請があり3人とも全額免除が実現した。基準の拡大が対象者を広げ、全額免除されるようになったのは、画期的なことだった。
介護保険導入前から始めて14年がたつ。制度発足から保険料減免の制度が確立するまでに12年が経過した。ふり返ってみると感慨深い。
ざっと書いてみて2000字をこえた。
明日書き上げる介護保険減免の経過は、この文章とは違ったものになる。


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Posted by 東芝 弘明