介護保険の論文を読んで質問を組み立てる

雑感

朝から文献を読んでいる。「かつらぎ町第5期介護保険事業計画及び高齢者福祉計画」と党の論文、かつらぎ町の「介護保険利用ガイド」を読んだ。介護保険は、給付の抑制のために制度が改正され、特に第5期では、地域包括ケア体制の確立(2025年が目標年度)に向けた出発の計画と位置づけられている。
2025年という年は、ぼくが65歳になる年である。介護保険が始まるときから、この年が65歳以上の人口がピークを迎え、団塊の世代が75歳になると言われ続けてきた年である。

国は、この2025年を目標に、いかに介護保険の領域をせばめて、福祉や予防でカバーして保険会計を維持するかという問題意識で事業設計を行っている。その具体化として打ち出されたのが、地域包括ケア体制という考え方だ。要支援の方々に介護予防給付という名前の介護保険サービスを提供しつつ、これらの人々を含む支援の必要な人(地域包括支援センターが判定)に対し、介護予防・日常生活支援総合事業を立ち上げて、ゆくゆくは介護サービスから切り離そうとしている。
予防的な支援が必要な人に対し、支援を行うことによって、要介護者にならないというねらいをもった事業だが、この事業が、介護が必要にある人を介護保険の事業から締め出すようになると、介護サービスを必要以上に抑制するということが生じてくる。

しかし、国の思惑が計画どおり行かず、介護予防・日常生活支援総合事業というものは、なかなか十分な展開を見せていない。介護保険のホームヘルプ事業については、1単位を「20分から45分」と「45分以上」にするという改正が行われ、介護報酬が20%も削減された。介護報酬に関わるこのような改正は、介護サービスの現場に大きな影響を与える。この改定は、実施が始まると大きな矛盾がでてきた。厚生労働省は一律に機械的に45分という単位を求めるものではないという手直しを行ったが、この手直しは、切り下げられた報酬には全く触れないもので、事業所の独自の努力にゆだねるか、時間を切り下げるかを現場に押しつけるこのだった。時間短縮してもサービスが提供できるケース、時間延長しなければサービスが提供できないケース、サービス内容の変更で対応しているケース、事業所がサービスを提供しなくなったケースなどさまざまなケースが生じている。
介護保険の現場で働く人々の給料を改善するための国の特別加算は廃止されて、保険会計の中でまかなわれることとなった。それが、保険料の引き上げに直結したのはいうまでもない。

かつらぎ町の基準月額保険料は5750円。全国的に見れば保険料は高い11%(173自治体)に属している。全国平均の保険料は、4972円だった。高齢化が進み、介護サービスが増えてきた中で本町の保険料は県内でも第7位の自治体になっている。
一番保険料が安いのは太地町の3700円だが、花園地域が合併せずに花園村のままだったら、介護保険料は太地町よりも安かったと思われる。

介護保険サービスが、民間の手にゆだねられるとともに、採算の厳しい事業になっている現在、花園地域にサービスを展開してもらうという点で、きわめて厳しい現実があると言わなければならない。無医村であった花園地域は、無医村独特の困難に見舞われていたが、合併前のこの現実は今も基本的には変わらない。
明日の質問は、この現実と向きあった質問になる。


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雑感

Posted by 東芝 弘明