東京という街

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行きも帰りも新幹線は「のぞみ」だった。2時間半程度の時間で東京─大阪間を走る。
昨日は、品川駅から東京駅に着く間、ビルばかりの景色を眺めていた。
「何とコンクリートというのはたくさんあるんだろう」
ビルは、まさに幾重にも林立し、さまざまなデザインを形づくっていた。古い背の低いビルの後ろに大きな高いビルがそびえている。
東京駅のホームの屋根には、鉄のさびが目立っていた。
「何年に一度はサビ対策としてペンキを塗るのだろうか」
こんなことを思っていると、「のぞみ」は静かに駅のホームに滑り込んだ。
東京駅から砂防会館までタクシーに乗り会場に着いた。
2日間、同じ会場で研修を受けた。

ホテルは、会場から歩いて5分程度のところにあった。1日目の講義が終了したのは5時だったので、ホテルの部屋に着いたとき、日はまだ高かった。窓の外には、ビルが建ち並ぶ東京の景色が見えていた。遠くは少しかすんでいる。
かつらぎ町と比べると、東京は、縦の空間を積極的に活用して生きている街だった。かつらぎ町は、山に囲まれた狭い平野に家がはりつき、山の中腹にも家が点在している。山の中に見える家々も山に張り付いている感じだ。東京では、人間の思いや感情は、林立するビルの間に渦巻いているようだ。
今日は、6時に起きて、ホテルの最上階にある大浴場に行った。部屋のユニットバスは、どうも窮屈でお風呂に入るのに時間がかかる。
エレベーターで行った大浴場は、入ってる人も少なかった。外の景色も開放的だった。
洗面器に湯を張って、身体にかけたあとボディシャンプーで身体を洗った。いつもは、まずシャンプーで頭を洗う。まだ寝ぼけているのか、洗う順番を間違ってしまった。どうも順番を間違うと調子が狂う。
頭を洗い、リンスをして、顔を洗ってから湯船につかった。
身体が温まっていくとなんだか開放感が広がった。
脱衣所に戻る前にもう一度シャワーを浴びた。公衆電話のBOXのように四角いブースになっているシャワーコーナーだった。扉がないので3面だけ囲まれている。頭の上からと横からシャワーを出してお湯をかけていくと寝ぼけていた頭がすっきりしてきた。
身体を拭き、髪を乾かしてから、綿棒で耳の掃除をした。脱衣所には誰もいなくなった。右手のところにお茶などのサーバーがあったので、紙コップで暖かいお茶を飲み、そのあとで冷たい水を飲んだ。
気分がすっきりしてきたのに、頭の右側の一部が少し痛かった。2日酔い?なのかも知れないと思った。
9時から広報のクリニックが始まった。昨日よりも少し聞いている聴衆が少なかった。1日目の講義だけに参加して、次の日は違う日程で動く議員もいるということだろうか。
講師の先生は、長く広報を実際に作ってきた方で、見出しの付け方を特に強調した。この話は非常に参考になった。かつらぎ町議会の広報には、見出しが少なすぎるということを痛感した。
ぼくは、講義が終わったあと、質問のために真っ先に手を挙げた。
「議案に対して、意見が分かれ評価も分かれるときがあります。ぼくは共産党の議員なんですが、そういう場合、なかなか見出しがうまく付けられない。どうすればいいんですか」
答えは明快だった。先生は、質問が終わると間髪を入れずにしゃべり出した。
「そういう場合は、両論併記で見出しを付けるんです。住民に情報を提供して、どちらがいいのかどうか、住民に判断をゆだねればいいんですよ。それ以外に解決方法はないですね」
この手の種類の質問に何度も答えているような感じだった。
明快な回答にぼくは膝を打つような感じになった。長年の疑問が氷解した。
東京駅から大阪に向いて「のぞみ」が動き出したのは、14時だった。ぼくは宮部みゆきの「今夜は眠れない」を読んだ。中学生の主人公が事件に巻き込まれていく話。軽い語り口で一気に読ませてくれる小説だった。大阪に着く前に本を読み切ったので、ほとんど窓の外の景色を見なかった。眠たくなって寝ていたか、本を読んでいた。
新幹線から見える景色は、動きが速すぎて長く見ていると疲れてしまう。時速300キロという世界を体感しながら神経を集中するF1レーサーのストレスはものすごいんだろうな、後方にどんどん過ぎ去っていく景色を見るとそんなことを思った。
大阪に着くと帰ってきたという感じになる。
東京とは街の雰囲気、人の感じが違う。文化圏が違うということだろうか。


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Posted by 東芝 弘明