決算委員会、産業観光課の質疑

かつらぎ町議会

決算委員会の質疑3日目。今日の質疑は、建設課と産業観光課の2つの課で5時までかかった。
産業観光課の質疑は、人・農地プランと青年就農給付金とフルーツ王国振興公社に集中した。
人・農地プランは、今後のかつらぎ町における農業の発展の設計図にあたる。どれだけ農業の現状を把握し、具体的な計画を作成できるかにかかっている。
農林水産省の説明を見るとこう書いている。
「農業が厳しい状況に直面している中で、持続可能な力強い農業を実現するためには、基本となる人と農地の問題を一体的に解決していく必要があります。
このため、それぞれの集落・地域において徹底的な話し合いを行い、集落・地域が抱える人と農地の問題を解決するための『未来の設計図』となる『人・農地プラン(地域農業マスタープラン)』を作成しましょう」

さらりと書かれているが、「それぞれの集落・地域において徹底的な話し合いを行い、集落・地域が抱える人と農地の問題を解決するための」というような取り組みにはなっていない。話し合いができる条件があるのかどうか。これが問題になる。
答弁では「天野地域」で話し合いをおこなったという話があった。かつらぎ町内を見てみると、天野地域のように話し合いができやすい地域とななかなそうなりにくい地域とがある。
プランを作るために話し合いを行うということでは、うまく行かない。プラン作成を目的に話して合うのではなく、本気でかつらぎ町の農業をどうしていくのか、話し合いを組織して行くことが大事になる。
農業の未来を展望する=設計図ということになるが、展望を描けない苦しみの中にあるのだから、どのようにして展望を切りひらくのか、現状を把握しながら模索せざるを得ない。
ただし、事業としてすでに動いているので、国の事業を活用しながら発展方向を探ることになる。
今日の質疑では、「人・農地プラン」の考え方を深く把握するということにはならなかった。

もう一つ集中的な質疑になったのは、「フルーツ王国振興公社」の設立の経緯についてだった。フルーツ王国振興公社は、平成24年度の11月30日に設立され、今年度から本格稼働したものだ。昨年度は、1700万円以上の予算が費やされて、NPO法人が設立された。2月に設立のための準備会がスタートし、8月10日に設立総会が開催されている。不思議なのは、8月10日の設立総会では、NPO法人の申請には至らず、さらに11月まで設立の準備を行っていることだった。準備から設立まで10か月かかり、のこり2か月間で1700万円を使ったことになる。1700万円のうち、200数十万円は、観光協会の仕事を行っている。物産販売の仕事が始まりつつあったので、1500万円は、この物産販売事業と設立準備につぎ込まれたことになる。
なぜNPO法人(特定非営利活動法人)を選択したのかを問いただしても、非営利の法人を作るということだったというような曖昧な答えだった。しかも、非営利法人は、収益活動について制限を受けるかのような答弁だった。

少しウキペディアを引用しておこう。
特定非営利活動法人は、

「特定の公益的・非営利活動を行うこと」(内容は特定非営利活動促進法#法における定義を参照)を目的とする法人である。「非営利」とは、団体の構成員に収益を分配せず、主たる事業活動に充てることを意味し、収益を上げることを制限するものではない[1]。
特定非営利活動促進法の制定時、非営利法人制度の一般法としては民法(改正前)が存在し、日本で非営利かつ公益の活動を行う団体は、民法34条(当時)に規定された公益法人(社団法人・財団法人)となる方法が存在した。しかし、同規定に基づいて法人格を取得する際に行政機関の許可が必要であり、法人格取得後も主務官庁による指導を受けることがあるなど活動に制限が多く、市民による自由で自発的な活動に適した法人格が求められていた[2]。

NPO法人は、社団法人と財団法人が行政機関の許可と法人格取得後も主務官庁による指導を受けるのに対し、「市民による自由で自発的な活動に適した法人格」が必要だという認識の下で作られた。かつらぎ町が、補助金を出し関与していくという点でいえば、設立する法人は、社団法人でよかったはずだ。NPO法人を選択する必要はなかった。
NPO法人にすると地方自治体が関与できないという制限が発生するので、むしろ社団法人を作る方がよかったともいえる。ウキペディアの説明にあるように、「『非営利』とは、団体の構成員に収益を分配せず、主たる事業活動に充てることを意味し、収益を上げることを制限するものではない」。これは法人設立のイロハのイに当たる。しかし、課長は、NPO法人については、営利活動に制限があるかのような答弁を行った。

質疑の中では、1700万円程度の補助金は、物産販売を行いながら収入を上げて5年間で次第に減らしていくと答弁した。補助金を減らすことが計画に中に入っていたのであれば、町としての補助金を減らす計画とそれに見合う事業計画を資料として出すよう要求した。
フルーツ王国振興公社は、かつらぎ町佐野にある八風の湯と和歌山駅の近くのミオに出店し物産販売を行っている。しかし、補助金を少なくできるような収益を上げているのかどうかは、かなり心もとない。
いったいどのような見通しをもってNPO法人を立ち上げたのか、なぜ設立に10か月もの時間がかかったのか。この基本的な疑問は解消できなかった。


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かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明