中学校、高校卒業まで医療費無料化へ

かつらぎ町議会

学生5

本日、かつらぎ町議会は、平成28年4月1日から中学校卒業(15歳になった年の3月31日)まで医療費を無料にする議案を可決した。その際、議員全員でこの議案を修正し、平成31年4月1日からは高校を卒業する(18歳になった年の3月31日)まで医療費を無料にするようにした。

井本町長は、3月3日から始まった3月会議に中学校卒業まで医療費を無料にする議案を提出したが、議会は、3月会議が始まる前の3月1日に全議員の意志として「子どもの医療費給付に伴う年齢引き上げについての申し出書」を提出していた。
この「申し出書」は次のことを求めていた。
「1、子どもの医療費をさらに「18歳」に引き上げる意思表示をすること
2、実施時期を明確にすること
3、実施に至るまでの取り組みを明らかにすること
以上のことを本定例会3月会議において明確にすることを強く求めます。」

しかし、町長の所信表明の挨拶は、「医療費の無償化年齢の拡大は、子育て支援における重要施策の一つとして認識しております。今後は高校生までの医療費無償化を目標として、町の財政状況を注視しながら、実施時期・助成内容等を検討し、実現に向けて考えてまいります」となっていた。今回の議案の修正は、町長が高校卒業までを目標にして考えることを評価しつつも、実施時期が明らかにならなかったので、実施時期を明確に決めるために行ったものだ。
この問題をどのように取り扱うかという点について、議会全員協議会は、かなりの時間をさいて意見交換を行った。
ぼくは、会議における議論というのは、みんなの頭をかりてものを考えて深めるというところに非常に大切な点があると思っている。会議の中では、自分以外の方の意見を聞いて、考え方や認識を深め、ときには自分の認識を変えることができるかどうか。そういう柔軟性が発揮できるかどうかが、非常に大切だと思っている。今回の議論の中で議員歴の長い議員の一人が、意見の不一致を前にして、「ちょっと待ってくれ、大事な問題だからもう少し議論をしよう」と言い、さらに自分の考え方を改めて「せっかく意見が一致して今まで一緒にやって来たのだから、最後までいっしょにやろう」という発言を行ったが、この発言には感動した。多くの人は、自分の意見に固執して態度を改めることがなかなかできない。意見を一度表明したらその意見にしがみついてしまう。そういう態度で議論を行ったら議論は平行線になる。議論を通じて認識が深まり、集団としての考え方が発展し方向が決まる。かつらぎ町議会にはこういう気運が生まれてきているということだ。

このような動きが強まってきてほぼ10年ぐらいになると思われる。市町村合併という大問題を通じて、かつらぎ町議会は、何度か全員一致で事態を動かして来た。不本意な合併協議から離脱するときも、全員一致で意志を確認したことがあるが、10年以上前のあの一致が、一致点での共同を広げる出発になったように改めて感じる。
小泉構造改革による三位一体の改革で交付税が削減され、市町村財政が厳しい状況におかれ、合併への動きが加速したとき、地方における少子化、高齢化、過疎化、地域経済の衰退などの状況について共通認識が徐々に広がってきた。共通認識が広がってきた根底には、住民目線で物事を見るという視点がある。その頃から議員の多くは、かつらぎ町の活性化に向けて提案型の質問を行うように変化した。議会は、かつらぎ町が直面している問題に対し、共通の認識をもち「何とかしなければならない」という意識を持つようになってきた。現状に対する共通認識が、政策についての共通認識につながり、一致してことにあたる傾向を生み出す土台になってきたと思われる。
かつて学校へのクーラー設置を予算を修正して実施させたことや雇用促進住宅を購入した際の家賃設定について、条例を修正して減額したことなども一致点での共同だった。国への意見書提出では、意見が一致しないこともあるが、和歌山県内の議会でかつらぎ町議会が唯一意見書を可決して提出したりすることも多い。
デマンドタクシーやデマンドバスの導入という課題についても、議員の中に共通認識が広がりつつある。この問題でも議員による政策提案が実現する可能性があるかも知れない。

かつらぎ町議会には、議会活性化委員会が設置され、議会基本条例の制定への努力が積みかさねられてきている。議員が分担して基本条例を作る努力は、まさに共同の取り組みであり、基本条例制定に先立つ通年議会の実施は、議会による一致点での議会改革の具体化だった。
議会広報の紙面改善も、議員のフランクな意見交換と共同作業に支えられている。

地方自治体。二元代表制。議会は住民の代表。住民こそが主人公だということについては、保守も革新もない。住民が直面している事態に対して、住民の代表である議会が意見を一致させて行動を起こせば、自治体は大きく変化する。議会とは何か、住民の代表とは何か。ここには探究すべきテーマがある。


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かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明