奨学金についての読売新聞の記事に寄せて

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読売の記事
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読売新聞を購読している。8月25日、今日は奨学金の記事が載っていた。
”奨学金 借りすぎご注意” ”滞納957億円 ※ 「借金」認識を”という見出しになっている。この新聞記事は、奨学金を借りている学生の実態には、全く触れていない。つまり学生に対しては、1ミリも取材していない。借りている側の実態を全く把握しないで、「借りすぎご注意」「『借金』認識を」というのは、おかしくないだろうか。
記事の中には、日本学生支援機構(旧日本育英会)の人の「借りる前に本当に必要な額かどうか、将来設計も見すえながらきちんと考えて」というコメントが載っている。読売新聞は、機構の人の声を借りて、「本当に必要な額なのかどうか」と言おうとしている、ように見える。
でも、おそらく「読売新聞は、若者の借り方が悪いとでも言いたいのか」と迫ると、
「奨学金について現状を紹介している、読売新聞社としては、そんな風には思っていない。事実、新聞社としては中立の立場で状況を報告し、返済の減額や猶予の方法、給付制の奨学金の存在も示した記事にしている」
というような答えを返しそうだ。

世界一の学費に苦しみ、学費が払えない状況に追い込まれて大学を中退する若者が後を絶たない。ほとんど給付制の奨学金がないために、134万人が奨学金を借りる事態になっている。大学進学率が50%を超え、大学を出ても正規職員になかなかなれない現状の下で、卒業時に240万円もの借金を抱える若者が増えている。奨学金を借りている学生たちは、どのような生活をしているのか。なぜ奨学金を借りているのか。卒業後、彼らはいったいどうなっているのか。取材の視点は、いくらでも存在する。こういう実態に迫って、安易に借りているというのであれば、はじめて「借りすぎご注意」という見出しを付けられるのではないだろうか。

読売新聞にもの申したい。
新聞社がこんな表面的な、貸し付けている側への取材だけで記事を書くのはいかがなものか。
国会では、日本共産党の宮本岳志議員が、奨学金の貸し付け問題をえぐった生々しい質問を行っている。この国会の議論が視野に入っていれば、記事の視点は変わったはずだ。このような表面的な新聞記事を読むと、読売新聞社の精神の衰えを感じる。

情けないという感情が湧いてきた。


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Posted by 東芝 弘明