安全保障法案は、自国防衛を主眼にしていない

雑感

日本が攻められたどうするのか。
そのためには、安全保障法案が必要なのではないか。
という問が出されることがある。
日本が軍事攻撃を受けたら、自衛隊の力を活用して反撃する。これは個別的自衛権なので当然のことになる。

しかし、安全保障法案が防衛のために必要なのかどうか、という点でいえば全く違う。
安全保障法案の中心的な命題は、(1)アメリカ等への後方支援(兵站活動)、(2)PKOや多国籍軍が行う停戦後の国での治安維持活動、(3)集団的自衛権行使による他国への武力攻撃という3つだ。
この3つは、自国の防衛とは関係がない。集団的自衛権行使は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に発動されるということになっているが、他国に対する武力攻撃によって、日本の国の存立が脅かされるような事態は、具体的には存在しえない。

そもそも、戦後、宣戦布告による戦争は皆無になった。なぜか。国連が設立され国際法によって、一方的な先制攻撃による戦争は、国際法違反となったからだ。中国や北朝鮮が攻めてくるという話は、戦後の歴史を知らないたぐいの話。中国と北朝鮮は何をする国か分からないから攻めてくるかも知れないというようなお話しだ。話の立て方が、戦前日本が侵略戦争をしていた時のままだ。日本もかつて大規模な戦争を仕掛けたのだから、北朝鮮や中国も日本に対し戦争を仕掛けるかも知れないということなのかも知れない。
北朝鮮の軍事力は日本の10分の1、韓国は世界第8位、日本が世界第10位、アメリカが世界第1位、中国が世界第3位。こういう状況下に北東アジアの軍事バランスがある。日本と中国、韓国には、条約があり話し合いのチャンネルが存在している。軍事よりも外交が重要だというのは自明のことではないだろうか。

日本国民の中には、戦争を求めるような機運はないと思う。情勢の動きをよく理解できていない自民党の議員の方々は、「日本が戦争に巻き込まれるなんてないですよ」というような状況だから。
しかし、安全保障関連法案の法律案そのものを読むと、明確に武器の使用と集団的自衛権による武力攻撃が明記されている。海外に出た自衛隊が武器を使用できるようになる。集団的自衛権を行使できると判断した時には、自衛隊が海外で戦争に参加する。これが明確に書かれている法案が審議されている。
国家による交戦権が否定されている憲法9条があるのに、この9条を乗りこえて、政府の判断によって戦争に参加する法案が、強行採決もやむを得ないというような状況になりつつある。日本は平和だと思っている人々の期待を思いっきり裏切るような法案が審議されている。

日本は戦争をしない。しないはずだ、というのは、この法案を前にして、単なる希望的観測、現実を直視しない思い込みになりつつある。


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雑感

Posted by 東芝 弘明