「ぼくは右翼です」

雑感

戦争法を巡って、日本国憲法を守ろうとする人々が、立場の違いを超えて力を合わせ始めている。若いシールズのような動きも生まれて、若者の中に自分たちの頭で考えて行動する世代が育ち始めている。今年は、こういう面で新しい希望が開かれた年でもあった。
しかし、同時に民主主義を踏みにじって、いろいろなことを強行する安倍内閣が、戦争法を世論の反対を押し切って政治を悪い方向に動かした年でもあった。この動きに対して、シンパシーを感じ態度表明をし始めている人々も増えるようになってきた。まさに時代は、二つの勢力の中でのせめぎ合いというような状況になりつつある。自分たちの身近な人間関係の中でも、「ぼくは右翼です。東芝君には悪いけれど」というようなカミングアウトに出会うことが増えてきた。
安倍内閣の支持率は、低落傾向にはあるけれど、12月でいえば、支持が増え不支持が減る傾向となった(支持41.4%、不支持35.7% 時事ドットコム)。支持は3か月連続で増えている。この傾向は、どの世論調査でも同じである。

このような状況になっているのは、マスコミが安倍内閣を「ヨイショ」しているからだということだけで片付けることができないと思っている。もちろん、マスコミが安倍内閣を批判せず、自らが右翼的な傾向を強めて内閣をアシストする傾向を強めているので、それに影響を受けている人々もいるだろう。しかし、明らかに自覚的に安倍内閣を支持する人々が存在しているということを認めるべきだと思っている。自民党の派閥に力がなくなり、内閣に逆らえなくなっているので、自民党のリベラルな人々が態度を明らかにしなくなっているというだけではなく、自覚的・積極的に安倍内閣を支持し、自らも右翼的になっているのだと思う。

なぜ、日本の中に右翼的潮流が育っているのか。
これは、深く検討すべきテーマだと思われる。ついついカウンターパンチのように反対意見を述べてしまうのだけれど、彼らが何を感じ何に共感しているのか。日本の国の発展方向や経済的な展望について、何をどう考えているのか。知りたいと思っている。

以下は日本共産党が考えている改革の方向だ。
私たちは、日本国憲法と憲法9条を守り、70年間平和であった日本の土台を守って21世紀を民主的で平和な日本として発展させたいと思っている。財政的には、総合課税、累進課税、生計費非課税、直接税中心という税制の体系に戻す中で、消費税という間接税を中心とした赤字続きの税収構造を改善することによって、国家財政の立て直しを図るべきだと思っている。逆進性の強い消費税を基幹税に位置づける限り、大穴の開いている日本の税収構造は改善しない。
この方向への転換は、内需拡大、第一次産業の再建、中小企業の振興という道とともに行われる。日本経済の立て直しの主人公は主権者国民。大企業の利益中心の経済発展だけではなく、多くの国民が実際に従事している産業全体の立て直しの中で日本経済を立て直す。この方向は、自ずから地方経済の立て直しと深くつながるものになる。対外的にはアジア重視。アメリカとの関係は対等平等を実現し、日米安保廃棄、友好条約締結という形だ。もちろん、世界戦略の一環として駐留している米軍には本国に戻っていただく。こういう方向を選択するということは、TPPからは撤退するものになる。

安倍政権を支持している人々は、おそらくこれとは違うことを考えていると思われる。どのような経済発展や政治変革を考えているのか。トータルなものの見方を知りたい。
自民党が描いている国家戦略を書いておく(おそらくこう書くとこんな未来には同意していませんよという人も多いだろうけれど、これはぼくの勝手な解釈ではない)。
自民党の安倍政権を見ていると、日本における明確なビジョンは見えてこない。見えているのは、大企業が日本で活動しやすい国づくり。東京と名古屋、大阪を結ぶメガ・リージョン(巨大なネットワーク地域)作り、道州制の導入。州単位に自治権(主権?)を認め、明治以降確立した中央集権的な国家のあり方をやめて再編するというもの。
国家的には戦争のできる国づくり、憲法を改正し、国民の基本的人権に制限をかけ、自由と民主主義に制約を加えるというものだ。
はたしてこの様な戦略の先に国民の幸福追求の条件はあるのか。ぼくにはそうは見えないが、安倍政権を支持している人々は、どう考えているのだろうか。


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雑感

Posted by 東芝 弘明