このままでは日本は終わる

雑感

コメント欄に書いた意見をここに載せておきます。コメント欄でのやり取りは、ぼくにとって考えを深める絶好の機会です。問われたことに対して答える努力をすることによって、思考が深まるという点で、コメントを寄せていただいている人々には感謝しています。掲載するにあたり、かなり加筆しました。

自民党は、発言も含めて数多くの人が失脚して総理大臣としては辞任に追い込まれてきました。その度に急速に新しい人物が歴史の前面に押し出されてきました。小泉純一郎氏は、森喜朗さんの失脚の後、浮上してきた人物です。歴史的に果たした役割という点で、小泉さんは積極的な役割を果たしたとは思っていませんが、時代の舵を新自由主義の方向に切ってしまった人物としては、歴史に残ると思います。
ヒットラーが台頭して、ファシズムを体現したように、歴史は個人を通じて反動化したり、決定的に進歩の側に舵を切ったりします。安倍政権の崩壊後、紆余曲折はあると思いますが、進歩の方向に大きな舵を切る人物が近い将来現れる可能性がある。そういう時代に私たちは生きていると思います。

自民党は、不祥事が生じたらできるだけ早い段階で、内閣を辞任させて新しい人物を総理大臣に選んできました。安倍内閣は、こういう自民党の自浄作用が働かなくなった中で長期政権を維持してきたと言えます。安倍総理が失脚し、野党が勝利をおさめるような激変が起こったら、そのときは新しい人物が歴史の表舞台に押し出されてきます。もしかりに枝野さんが野党統一の中で押し出され、新しい政権を組み、野党の統一政策を守って奮闘するのであれば、そのときは、枝野さんが歴史的に重要な役割を果たす人物になると思われます。

このような未来のことは、今からきめられません。歴史的に社会の進歩の側に立つ人物が、それまでの経緯を乗り越えて、極めて重要な役割を果たすことはたくさんありました。時代というものは、そういうものだと思います。
安倍さんに代わる指導者はいないなどというのは、マスコミが描いている皮相な見方であって意識的につくられたものです。安倍さんを超える人物は、日本の中にたくさんいます。マスコミが描いている政治状況に振り回されてはなりません。
出来の悪い安倍さん以外にないというのは、小泉時代から行われていた政治主導の体制が完成し、マスメディアの牙を抜いて大臣も失脚しない、総理大臣は当然辞めないという仕組みを作り上げたからです。その結果、「韓国との外交や北朝鮮拉致問題など大きな問題に安倍政権以外強く対抗できる個人や党が見当たらないからしかたなく安倍首相が支持されているんだと思いますよ。」(ぼくにコメントを寄せてくれた方の文章の引用)という状況が作られたのだと思います。
安倍内閣の終焉は、かなり大きな反発と変化を伴うものになると思います。安倍さんに変わる人物がいないのではなくて、安倍さんが失脚しないので次の人物が生まれないだけです。悪臭漂うたこつぼの中で蓋のような役割を果たしている。この蓋は一体誰なのか。ということだと思います。

国民は、醜悪な長期政権の破綻ぶりをG20で見せつけられました。韓国は蚊帳の外だと言われていましたが、アメリカと北朝鮮との関係で韓国はしっかり仕事をしました。蚊帳の外だったのは日本でした。
自民党の支持者の中にも安倍さんを嫌っている人が増大しています。ポスターを貼らしてほしいと言うと「安倍さんと一緒の写真ならおことわりだ」という支持者が増えているようです。北朝鮮の拉致問題については、安倍さんは何もしていません。外交的手腕も地に落ちています。それは、原発の誘致の大失敗に端的に表れています。韓国に対する今回の経済措置は、先進国としてはしてはならないやり方だと思います。シェアナンバーワンの材料は、多くの国に存在し、それをストップしたら世界経済に巨大な影響が出るというものはたくさんあると思います。それを切り札にするような外交と経済政策は、世界の常識から外れているのではないでしょうか。安倍内閣は、こういうことに対してブレーキのかからない政権になったんだと思います。

社会保障が諸悪の根源であるかのように、社会保障の経費の増大が最大の問題であるかのように日本ではなっていますが、最大の問題は大企業に減税をし、消費税を増税した結果、日本の税収が全く伸びなくなったことにあります。先進国は、国民の所得が増え、当然の事として税収が増える中で、社会保障の財源を確保して、経済も伸びています。もはや日本は先進国でなくなったし、このまま行ったら「日本は終わる」可能性があると思います。社会保障の財源を攻撃する論路は、突き詰めれば高齢化に対する攻撃であり、国民に対する攻撃だと思います。社会保障を攻撃し、国民の負担を増やして、定年を引きあげ、年金の受給資格を伸ばし、若者に非正規を広げ、挙げ句の果てに労働者不足に陥っている国、長期政権による6年間でこういう問題が吹き出すようになった国の内閣に対して、どうして擁護できるでしょうか。

年金に対する国民の怒りは、もっともだと思います。老後、誰もが若い時代のように働けなくなります。「お年寄りは死んでいただければ日本は助かる」という80年代の政治家の言葉を踏襲するような考え方が経済界から出てくるような国は、先進国ではありません。先進国は、国民や企業から税を納めさせて、その税の力で所得の再配分を行います。その結果として老後、安心して生活のできる仕組みをつくるのです。それが人生100年の国家戦略でしょう。
国のこのような最大の使命を見失って、国民に負担を押しつけ、労働法制を破壊して資本の自由な競争に任せれば経済は発展するといってやって来た結果、経済が発展しなくなりました。国民に負担をかけて、国民生活の中に格差と貧困を広げ、企業にとっては活動しやすい国をつくった結果、経済が回転しなくなり、企業の側に富が蓄積し、国民の側に貧困が蓄積しました。小泉改革以降の新自由主義の改革によってGDPが伸びなくなり、伸びない中で国民の側の所得が大企業に移転した。これが日本における新自由主義的改革の結果でした。失われた30年という状況はこういう中で生まれました。

国民の中に差別と分断を持ち込んで、国民の階層ごとの差異を徹底的に利用して、国民同士が対立しあうように仕向け、この対立を利用する政党が生まれました。しかし、こんなことをして、没落した中間層が溜飲を下げても日本はよくなりません。
オリンピックと万博とカジノが日本の最後の打ち上げ花火になる可能性があります。
資本の側の利益は内部留保という形で蓄積されています。それは、働く者が生み出した富でもあります。利益を資本の側がしがまえて、国民を徹底的に攻撃してという国は、北朝鮮に似ていませんか。今の日本、巨大企業のスローガンは、「わが亡き後に洪水は来たれ」になっていると思います。
国民生活に対して、希望を開かないと日本社会の発展はありません。減らない年金、8時間働いてふつうにくらせる国、安心して子育てと教育のできる国へ転換を図ることが、経済を成長させる道だと思います。国民生活に展望が持てない時代、全ての国民に希望が開ける方向への転換こそが、日本の未来を救う道だと思います。


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雑感

Posted by 東芝 弘明