平成28年度かつらぎ町一般会計予算に対する反対討論

議員の活動

平成28年度かつらぎ町一般会計予算に対する反対討論を載せておきます。

日本共産党かつらぎ町議団を代表して、議案第41号、平成28年度かつらぎ町一般会計予算に対する反対討論を行います。
今年度の予算は、地方創生のための総合戦略が具体化される中での最初の予算となりました。本町が長期総合計画の具体化である地方創生の柱として掲げたのは、
「産業振興により雇用の場を創出する」
「地域経済・地域活力につながる交流人口を拡大する」
「安心して子どもを生み育てていくことのできる環境をつくる」
「安全・安心な定住環境をつくる」
「時代にあった地域をつくる」
という5点にあります。目標の達成年度は平成31年度、今年度の計画は5か年計画の2年目という地点にあります。地方創生の事業というのは、長期総合計画の具体化ですから現在進行形の事業であり、総合戦略が確定した今年1月を起点にするものではないということです。
この関係から見ても、地方創生事業がどう具体化されているかが、予算上の最大の焦点であることは間違いありません。
1年前、一般会計予算の反対討論の中で宮井議員は、20億円を超えた建設事業がハコモノに集中していることを指摘し、本町のハコモノ事業についての失敗事例を紹介しました。この上にたって、事業内容、工程表、町民への経済波及効果などの基本的な計画が議会に明らかにされなかったこと、町長によるトップダウンでことが進められている中で、過去のハコモノ事業のように破たんさえ懸念されることを指摘しました。今年度の予算は、この指摘も踏まえた上で、どうなっているかを具体的に見る必要があります。
町長は、「地方創生の事業をどう具体化しているのか」という質疑に対して、観光と物産販売店の事業、振興交流事業、西部公園の建設、ふるさとセンターの宿泊施設整備などの事業が具体化だと答弁しました。しかし、この答弁は、地方創生の5つの目標の具体化という点では、すごくあいまいなものでした。

出生率の向上にむけた努力という点でなるほどと思うのは、特定不妊治療への助成ぐらいしか見あたりませんでした。
雇用問題で若者の雇用を増やすためには、かつらぎ町の企業との協議は欠かせません。若手職員の町プロが打ち出しているように、職業紹介所の活動を強め高校生の就職先を広げる努力や全国に散らばっているかつらぎ町に実家のある大学生への就職情報の提供など、具体的に努力するべき方向はあると思います。起業関係でもっともインパクトを与えているのは、新規就農者支援の事業だと思います。しかし、この分野では、支援の仕組みを充実させる取り組みはありませんでした。
移住・定住対策では、移住促進の体制を強化することは、喫緊の課題です。しかし、この分野での具体化はまったくなされていません。
物産販売所の事業において必要なのは、事業評価を的確におこない、農業への影響と商業への影響がどのような形で具体化さているのかを把握し、変化を追求することだと思います。しかし、このような事業把握がなされるのかどうかは、よく分かりません。
雇用の拡大、人口増、子育て支援、安心安全な定住環境の充実、交流と自治の活性化について、事業を具体化することなしには、総合戦略の事業を具体化したとは言えません。質疑を通して見えてきたのは、極めて底の浅い思いつきのような計画と改革への情熱のなさでした。昨年の予算の反対討論で指摘した計画のあいまいさは、今年も同じように存在しています。これが本当に総合戦略を打ち出した後の予算なのか、極めて残念な予算編成だと言わなければなりません。

私たちは、健康寿命日本一の事業の推進や子どもの医療費の無料化の年齢引き上げ、精神障がい者への医療費助成事業、特定不妊治療への助成、子どもの居場所づくり事業など住民の福祉の増進につながる施策には賛成し、パーキングエリアの物産販売の事業などの産業振興や農・林業の振興のさまざまな施策には賛成しています。しかし、活性化に資するはずの事業でさえ変化を起こせない状況にあることには、懸念を表命ぜざるを得ないということです。

イノベーションという言葉が、かつらぎ町の総合戦略の具体化として使われていますが、この言葉を定義づけた経済学者のシュンペーターは、イノベーションを「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」だと定義しました。日常の事業を見つめ直し結合することによって改革が生まれてくるということをもっと重視する必要があります。
「どうやって活性化をめざすのか」というテーマを明確にするためには、現在進行形の事業や施策のブラッシュアップが必要です。事業や施策の「見つめ直し」と「改善」、「結合」なしにイノベーションは起こせません。

地方自治体は、住民の福祉を増進するために、法律を駆使する必要があります。しかし、総務課の指示に従って条例の改正案を提出したのは、上下水道課だけでした。予算質疑の準備で私は、改善すべき条例をいくつか発見しました。これ以外にも改善すべき条例や規則はまだまだ残されていると思われます。条例や規則を事業と照らし合わせ、見つめ直すだけでも、事務や事業の改善は図れるし、この問題に真剣に取り組むだけでも、イノベーションを起こすことは可能だと思います。
本町の行政水準は、年々低下していると言わざるを得ません。なぜこういう状態に陥っているのか、自己分析と自己検討が必要だと思います。現在のような状況を放置したままでは、改善や改革は起こらないといわなければなりません。

かつらぎ町の長期総合計画と総合戦略は、住民の福祉の増進という自治体の基本的使命を具体化するものだと思っています。打ち出されている方向性は正しいと思います。この計画の具体化するためにも、事業の「見つめ直し」と「改善」、「結合」を実現し、イノベーションを起こすとともに、新しい事業を積極的に展開し活力あるまちづくりへの取り組みが起こることを願って、私の反対討論と致します。


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Posted by 東芝 弘明