労働力の再生産が破壊される社会は衰退する

雑感

河内長野の三井住友銀行に行って、新しい口座を開設してきた。この口座を開設しないと大学の授業料引き落としができないからだった。和歌山県の伊都郡と橋本市、紀の川市、岩出市には、三菱東京UFJ銀行やりそな銀行、三井住友銀行の支店がない。どの銀行からでも引き落としをしてくれるということであれば、河内長野市に行く必要もないのだが。

銀行で新しい口座を開設するというだけなのに、思った以上に長い説明と時間が必要だった。最近の通帳には、web対応で通帳発行のないもの、キャッシュカードとともにデビットカードが発行されるもの、インターネットバンキングを活用し、一定の条件に当てはまればどのATMからでも手数料が無料になるなど、さまざまなことがくっついてくるようだ。ネット時代の新しい仕組みが生み出されている。

時代とともにどんどん便利になりつつあるが、新しいビジネスモデルが開発されても、日本の産業全体は衰退し、人口はものすごいスピードで減少している。資本が、資本の最大の源泉である人間を徹底的に絞り上げて、あくなき利潤の追求を行って来た結果、自らの力で人間を破壊して、次第に労働の再生産を破壊するところまで事態が進んでいる。労働力商品は、消費される過程(つまり労働力を使用すること)で新たな価値を生み出すとともに、労働力を再生産しているが、労働力商品の消費の仕方が労働力の再生産を疎外するような過酷なものになると、再生産そのものに陰りが出てくる。賃金の低下、長時間労働、超過密労働等々が、労働力の再生産を徐々に破壊している。これが日本の衰退の最大の原因だろう。

資本のあくなき利潤の追求が、これだけの弊害を生み出しているのに、安倍政権は過労死ラインを超える残業規制を法律に盛り込もうとしている。それが100時間という上限だ。企業だけでなく政治の世界も、働く者の命や精神を破壊しかねないルールを設定しようとしている。結局は、政治も資本の魔の手に絡め取られているということだろう。

日本社会は、持続的な発展を不可能にするところまで矛盾が深まっている。この危機を乗り越えるためには、人間性の回復、8時間労働の獲得。残業の抜本的規制などを実現する必要がある。8時間の睡眠、8時間の労働、8時間の自由時間が日本国民全体のものになれば、日本人は自由な時間を文化や芸術、スポーツを始め、さまざまな活動を展開し、もっと学習し、政治的にも賢くなると思われる。人間を全面的に発展させるのは、自由な時間に他ならない。1日の内8時間という自由な時間を手に入れることによって、社会は大きく変化するだろう。自分の人生のなかで個人の幸福追求が最大の意味を持つようになり、そのことを基本にして新しい人間的なコミュニケーションと結びつきが生まれてくるだろう。
それは、豊かな地域が形成されることを意味する。人々は自由な時間を地域の中で楽しむようになる。地域が豊かになれば、地方自治体も豊かになる。ボランティアやNPO法人による活動ももっと盛んになるだろう。そこから非営利の新しい「ビジネスモデル」も生まれてくるだろう。
賃金の引き上げと長時間労働の克服。これが実現すれば、日本人の知恵が深まるのは間違いないと思われる。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

雑感

Posted by 東芝 弘明