『在日米軍』

雑感

朝はもう暑くない。5時に目が醒めると朝日が昇る前の状態だった。
配達の途中でカブにガソリンを入れた。
それで少し時間がかかった。

自宅に戻ってから赤旗を読むと『在日米軍』という岩波新書の本が紹介されていた。買いたくなったが、懐具合と相談して買うのをやめた。書評を読んでその度にアマゾンに頼んでいたらお金を使いすぎる。書評を読みながら当たり前の疑問が浮かんできた。

多くの人は
「在日米軍が日本を守ってくれる」
と言う。
すごく当たり前のことだが、物事は具体的なので、アメリカの軍隊が、日本に駐留しているからといって、日本を守っているというのは、そう簡単にはいえない。
日本を守る任務を具体的にもっており、日本の要請を受ければ動くという取り決めがあってはじめて、在日米軍は日本を守るということになる。

日本を防衛する任務を負っていることに関連するのは、日米安保条約第5条だ。

第五条
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

この問題がどう具体化されるのかを追いかけないと「在日米軍が日本を守ってくれる」とはならないだろう。
この条文ではっきりしているのは、日常的にいつでも、いかなるときも、在日米軍が日本を守るために存在しているとは読めないということだ。武力攻撃が起こったときは、「共通の危険に対処するように行動する」というのが、安保条約の精神なので、在日米軍が通常、日常の業務として何を行っているのかというのは、この条文からは出てこない。

米軍が駐留できる規定は、第6条にある。

第六条
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

「日本の安全に寄与し」──こう書くのは当たり前といえば当たり前だろう。主権国家である日本の防衛は、日本に責任がある問題なので、「日本の防衛のために」などとは書けるはずがない。しかも前条にあるように、安全への寄与は、緊急事態が発生したときに限定されるということになるので、在日米軍は、通常時は、何のために日本に駐留しているのかという疑問が湧いてくる。

この本を読めば、具体的に何がどうなっているのか、かなり詳しく分かりそうだ。
アメリカ本国以外の米軍15万人の部隊の3分の1に当たる5万人の軍隊が、緊急事態の時だけ活躍するために日本に駐留しているとは考えがたい。情報のないぼくらのような国民でも、在日米軍がベトナム戦争に出撃したり、湾岸戦争やアフガニスタンへの軍事介入に出撃したことは知っている。在日米軍の日常における具体的な任務とは何か。アメリカのどのような戦略のもとで在日米軍は、配備されているのか。
アメリカの軍事戦略を調べ、在日米軍の具体的な装備や任務に迫らないと、駐留の目的や日常の任務は、見えてこない。

そういう現実を踏まえないで、在日米軍は日本を防衛しているのだとか、在日米軍がいたからこそ、日本の平和が維持されているとか、論じるのは的外れだろう。ことは、日本の国の成り立ちに深く関係している。戦後の日本の歴史は、在日米軍抜きでは語れないはずなのに、充分語られているとは、いいがたい。

ぼくのiPhoneにはAmazonの専用アプリが入っていて、いつでもクリックさえすれば、本が注文できるようになっている。ワンクリックさえすれば、本が届く仕組みが手元にある。書評欄を読みながら、紹介されている本を検索して注文したのが朝の7時半で、本が到着したのが午後5時というケースもあった。世界が手のひらに乗っかって、書評と購入が背中合わせになった。この時代は便利なのかどうか。ふとそんなことを考えた。


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雑感

Posted by 東芝 弘明