日本共産党という名前に込められた意味

雑感,日本共産党

日本共産党という名前の中にある共産党という言葉は、共同で生産するという意味です。共同は、コミュニティという言葉と同じです。産は産業の産です。
共同で生産するためには、生産手段の社会化が必要です。生産手段というのは、工場の土地、機械、工場の建物や原料材のことです。この生産手段を働く人々によって共同で管理することを生産手段の社会化と呼びます。
生産手段の社会化とは、生産手段を個人や会社が管理するのではなく、働く人々が生産手段に対して管理者の役割を果たすということです。そのときに重要なのは、たとえ管理者が選挙で選ばれたとしても、組織の長が特権的な権限をもったような組織になってしまうと、会社の管理形態が働く者の集団に移っただけになり、意味がなくなるということです。
生産手段の社会化というのは、生産手段に対して働く人々が主人公になって民主的に生産手段を管理するということです。

共同で生産するという言葉に共産党の語源があり、産には産業という意味も込められていますが、もう少し学術的に言えば、共産党というのは、生産手段を社会化することによって、働く人々が文字どおり社会の主人公になる社会を目指すということです。つまり共産党には、生産手段を共同で管理するという意味が込められているということです。
生産手段の社会化によって、働く者が主人公になる民主的な仕組みが形成されると、極めて長い時間はかかりますが、生産が社会の発展のために行われるように変わります。おそらく生産手段の社会化への第一歩が図られると、かなり早い段階で労働時間の短縮が実現するでしょう。労働の再生産に必要な生活資料の価値どおり賃金が支払われるようになると、労働時間の短縮と同時に労働者の賃金が抜本的に引き上げられます。生活するのに十分な賃金と労働時間の短縮によって、働く人々は、自由な時間を大幅に拡大でき、人間の可能性を大きく発展させる経済的土台、時間的条件が生まれてきます。

生産手段の社会化を実現する課題は、未来社会で実現すべき課題です。私たちの生活している資本主義のもとでの生産は、生産手段が会社にあり、あくなき利潤の追求のために生産が行われているので、働く人々は生産のための部品のような扱いを受けています。日本の場合、8時間労働制が法律上は成立しているのに、残業規制に抜け道があるので、過労死するまで働かされるような現実があります。長時間労働と超過密労働が当たり前のようになると、社会全体の労働時間も長くなり、人間の社会生活にさまざまな矛盾が生じてきます。

資本主義社会の根底には、あくなき利潤の追求があります。国際的な南北問題も資本主義による植民地支配と深く結びついて起こったものです。地球温暖化の問題の根底にも利潤の追求の問題があります。原発事故が深刻な問題を日本社会に投げかけていうるにもかかわらず、政府が再稼働に舵を切り、原発の技術を海外に輸出しようとしている根底にも、利潤の追求があります。資本主義のもとでの生産は、社会に必要なものをストックも含めて生産するということではなく、あくまでもより多くの利潤を追求し、資本を蓄積するところに目的があるので、利潤の拡大を目的とした生産のための生産を行っています。

労働の生産物である商品には、使用価値と価値という2つの側面があります。使用価値というのは、商品の具体的で有用な活用を実現するための価値であり、人間の生活を便利なものに、豊かなものにする側面を持っています。商品生産に喜びがあるのは、商品生産を通じて社会のため、世のために役に立ち、貢献するという側面があるからです。
しかし、商品には、同時にもう1つの側面として、価値(交換価値)があります。商品が市場に出て貨幣と交換(=販売)されることによって、はじめてその価値を実現することができます。商品が貨幣に転化されてはじめて、手に入れた貨幣によって再び商品の生産に向かうことができます。どんなに社会に役に立つ使用価値の高い商品を作ったとしても、販売され貨幣に交換されないと企業は儲けを上げることができなくなり、再び商品を生産することができなくなります。

どうやって商品を貨幣に変化させるのか、というところに大きな飛躍があり、これを実現することと関わって、最悪の場合は、誇大広告や原材料の偽装、誤魔化し、ウソ、データの改ざん、検査の手抜き等々も起こってきます。資本主義社会の商品そのものの中に物理的に存在している使用価値と価値というのは、1つの商品の相異なる2つの側面ですが、この2つの側面は矛盾を抱えているということです。

商品の中には、5年間という耐用年数が過ぎた頃に壊れるような作り方をしているものがあります。上部で長持ちする商品を生産していると、新商品への買い換えが起こらないので、壊れるようにわざと造っているということです。日本の技術でいえば、いい車のように10年以上乗っていてもサビもこなければ、壊れもしないという物があります。毎日の使用に耐え、すごく長く使ってもほとんど壊れないという技術を日本は持っているということでしょう。しかし、同じ商品の中でも、耐用年数が過ぎると壊れるように造られているものもあるということです。

資本主義は、奴隷制社会や封建制社会と比較すると、生産力を爆発的に増大させる力をもった社会として出現しました。資本主義社会は、土地から自由になった農民を中心にして、大量の労働者を生み出すことによって、機械制大工場を出現させ、他人の労働力を商品として購入し生産する仕組みをつくり出したことによって、今までの時代とは遙かに違う生産力を獲得するに至りました。

商品生産を中心にして、企業は儲けを上げています。企業は商品の販売を通じて利潤を蓄積しますが、利潤の中心には剰余価値があります。この剰余価値の蓄積をもとにして資本が形成されます。資本主義社会は、あくなき利潤の追求によって、資本を限りなく増大させる社会ですが、資本の増大に制限をかけているのは、資本そのものだということです。
企業は、商品生産によって利潤を獲得するために、労働者の賃金を徹底的に切り下げようとします。日本の最近の10数年間は、労働者の賃金が下がり続けています。そのことによって日本は、GDPの伸びない国(伸びること=良いことではありませんが)になりました。結局資本主義は、あくなき利潤の追求によって、労働者の賃金を切り下げ、そのことによって資本の増大に自ら制限をかけているということです。

資本主義の出現によって、爆発的に生産力が発展し、世界市場が生まれ、先進資本主義国が遅れた国々を植民地化するようになり、第1次世界大戦と第2次世界大戦という人類がかつて経験したことのないような戦争を引き起こしてしまいました。しかし、1945年以降、次第に植民地が独立し、第2次世界大戦を上回るような第3次世界大戦を回避しながら現在に至っています。阻止する大きな力になったのは、植民地からの独立運動だったと思います。資本主義国の先進国が、全世界を支配するような流れを克服する形で、世界には平和を求める動きが拡大しています。この大きな流れには、歴史の進歩を感じます。

資本主義社会のもとで、自分の企業だけ、生産手段の社会化を実現しようとしても、社会全体のシステムが、利潤追求という仕組みのもとで動いている中では、うまく行きません。民主主義的な国家を建設し、国民主権の政治体制を実現したのちに、納得を通じて生産手段の社会化の方向に社会を発展させなければ、生産手段の社会化のもとでの民主位的な組織運営も実現しないと思います。会社の組織運営が生産手段の社会化によって、働く者が主人公になる土台ができた後に、何世代もの試行錯誤を通じて働く者がさまざまな組織の中で文字どおり主人公になる仕組みができるでしょう。こうやってものすごく長い時間を必要とするのが、社会主義的な建設のプロセスになります。
徹底した民主主義的な変革の先に、自由で民主的な新しい社会、社会主義があるということです。日本共産党は、未来社会をこのように展望しています。

人類史は、資本主義社会では終わりません。資本主義の矛盾を解決した先に人類の本史と呼ばれるような歴史が始まります。資本主義から社会主義への移行を実現した国はまだ存在しません。ソ連は社会主義を名乗りましたが、自由と民主主義を抑圧する国でした。ソ連は社会主義に発展しないまま、外国にソ連型の政治や経済を押しつけるという国に変質し、崩壊しました。中国は議会も資本主義も経ないまま社会主義へと移行しようとしました。日本共産党は、中国を社会主義国だとは見ていません。中国は、自由と民主主義についても極めて歪んだ問題をもち、国民の政治的自由を認めないような国です。習近平の指導性を憲法に書き込むなどという民主主義とは全く相いれないことをやってしまう国は、社会主義ではありません。

これはぼくの私見です。ここに書いた表現全ては、日本共産党のものではありません。大ざっぱに書きすぎている点もあろうかと思います。東芝議員の書いたこと全てが日本共産党の見解だと言われることは避けなければなりません。そんなに間違っているとは思いませんが。

ただし、以下の結論は日本共産党のものです。
人類の歴史の中で言えば、地球上にまだ社会主義は誕生していません。資本主義の利潤のあくなき追求という根本的な矛盾を解決し、自由と民主主義を発展させた先にこそ社会主義があります。人類は、資本主義社会の矛盾を乗り越えてさらに進歩発展する。その先に社会主義がある。これが日本共産党の展望です。


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雑感,日本共産党

Posted by 東芝 弘明