F35戦闘機を買うな、本気でそう思う

雑感

F35A

「しんぶん赤旗」日刊紙にF35の戦闘機1機分でどれだけのものがつくれるのか、という特集記事があった。F35戦闘機には、欠陥機という指摘がある。この指摘はアメリカの政府文書でも行われている。欠陥についての指摘は、今に始まったものではない。今年の4月9日には、青森県沖にF35Aが墜落した。F35にはA、B、Cという3つの機種があるが、垂直離陸のできるBの欠陥もひどそうだ。

「欠陥機」の大量導入をやめよ
2019年4月12日(金)
赤旗日刊紙主張

F35戦闘機の墜落

 航空自衛隊の次期主力戦闘機F35Aが9日、青森県沖に墜落しました。F35Aは2018年1月に空自三沢基地(同県三沢市)に国内で初配備され、墜落のわずか2週間前(3月26日)に正規の飛行隊(第302飛行隊)として新編されたばかりでした。F35はこれまでも欠陥が指摘されてきたにもかかわらず、安倍晋三政権が「飛行の安全性に影響を及ぼすような課題はない」(岩屋毅防衛相)として配備を進めてきたことは重大です。事故原因の究明・公表はもちろんですが、F35の導入・配備計画は白紙に戻すべきです。

未解決の欠陥が966件

 F35は、米国の巨大軍事企業ロッキード・マーチン社を中心に開発した最新鋭ステルス戦闘機です。米空軍の実戦配備も16年と最近です。F35の欠陥については、今年2月15日の衆院予算委員会で日本共産党の宮本徹衆院議員が、米政府監査院(GAO)の報告書などを示して追及していました。
 F35の開発計画に関するGAO報告書(18年6月)によると、同機には966件(同年1月現在)の未解決な欠陥があり、このうち111件が「安全性や他の重要な性能を危険にさらし得る欠陥」であり、855件が「任務の遂行を妨げたり、制約したりし得る欠陥」だとしています。
 報告書はこれらの欠陥の中で「主要な技術的なリスク(危険)」の一つとして、F35のパイロットが酸欠症状を訴えた事例が17年5月~8月までに6件発生したと指摘しています。こうした事例に関わる問題として、パイロットの座席にある呼吸調節装置が頻繁に故障していることや、コックピット内の気圧変化による耳の痛みや副鼻腔(ふくびくう)の損傷がパイロットを消耗させ、複雑な作戦行動で状況認識能力が失われれば、墜落の危険があることなどを警告しています。
 GAO報告書が指摘するF35の966件の欠陥について、岩屋防衛相は宮本議員の質問に対し、「防衛省としては、そのリストは保有していない」と述べ、把握していないことを明らかにしました。パイロットの酸欠の問題でも、「(米国防総省が)原因の調査を行っている」とし、改善されていないことを認めています。
 一方で、具体的な根拠も示さず、「これらの課題について(米側に)確認したところ、わが国が導入するF35Aの機体については、運用能力や飛行の安全性等に影響を及ぼすような課題はないことが判明している」と強弁していました。
 F35は「車に例えて言えば、新車をつくったけれども毎年、毎年、リコールをし続けるようなもの」(宮本議員)です。しかも、F35は機密の塊で詳細な情報は日本側に開示されません。

1機の価格が116億円

 安倍政権は、トランプ米大統領の「バイ・アメリカン(米国製品を買え)」の要求に応え、F35の大量購入を決めています。今回墜落した空軍仕様のF35Aと、海兵隊仕様のF35Bを合わせて147機を導入する計画です。F35Aの1機当たりの価格は約116億円に上ります。
 今たたかわれている衆院大阪12区、沖縄3区の両補選、統一地方選、7月の参院選では、国民の安全を脅かし、膨大な税金を浪費するF35の“爆買い”計画にもノーの審判を下す必要があります。

上の引用記事は、4月9日にF35Aが墜落した3日後の「しんぶん赤旗」日刊紙の「主張」を引用したものだ。墜落したF35Aは、日本で組み立てられた1号機だった。この機体は、過去に何度か不具合をおこして、緊急着陸している。4月9日、墜落したF35Aに乗っていたパイロットは、4機による訓練を行っていた中の1番機だった。4機は攻撃側2機と防衛側2機に分かれて訓練していた。1番機は、「訓練中止」という通信を行った後消息不明になった。F35Aの墜落事例は今回が初めて。
下の記事は、2018年9月に米国内で発生したF35Bの墜落事故について、製造上に欠陥によって墜落したことを米政府が認定したことを伝えている。

F35B墜落 米、燃料管の欠陥認定 政府監査院 117機で交換必要

2019年5月15日(水) しんぶん赤旗日刊紙

 昨年9月に米国内で発生した米海兵隊F35Bステルス戦闘機の墜落事故について、米政府監査院(GAO)は7日付の報告書で、「製造上の欠陥」によって燃料管が破裂し、エンジンの出力を失ったことが原因だと認定しました。
 米国防総省はGAOに、全世界に配備されている機体の約40%にあたる117機で同じタイプの燃料管を使用していたと明らかにした上で、昨年末までに大部分の交換を終えたとしています。
 同事故はF35戦闘機の実戦配備開始以来、最初の墜落事故です。今年4月に発生した航空自衛隊F35Aの墜落が2件目となります。
 米海兵隊は事故原因についていまだに「調査中」として明らかにしていません。しかし、岩国基地(山口県岩国市)にも16機のF35Bが配備されており、同様の事故が発生する危険がありました。日米両政府には説明責任があります。
 報告書はさらに、F35は昨年4月28日の開発試験終了時点で900以上の欠陥を抱えており、今なお800以上の欠陥が残っていると指摘しています。
 米軍当局は在日米軍を含む航空機の墜落事故が発生するたびに「人為的なミス」だと結論づけ、日本政府もオウム返しにしていますが、GAOはF35について、これまでも繰り返し同機の機械的な欠陥を指摘してきました。安倍政権はF35Bの42機購入など、147機もの“爆買い”を計画していますが、少なくとも空自F35Aの事故原因が判明するまで、購入は白紙にすべきです。

下の動画は、2019年2月15日の宮本徹衆議院議員の国会質問。

この質問では、米政府監査院(GAO)の報告書などを示してF35戦闘機の欠陥問題を追及した。

F35の欠陥の指摘は、ネットで検索すると宮本徹衆議院議員の質問を契機として、いくつかの新聞社が記事を書いている。この質問は、爆弾級の質問だったが、日本の新聞社やテレビは、これを大々的には報道していない。日本は、このF35を147機も購入しようとしている。日本は最初国内による組み立てを重視したが、部品の輸送に莫大なコストがかかるので、アメリカからの購入に切り替えた。コストの削減が実現したが、それでもF35Aは、1機116億円もする。この1機だけでかつらぎ町の一般会計予算に匹敵する。

かなり古い記事だが、ロイター通信のコラムには、F35に対して以下の記事のような指摘がある。5年前、日本が購入するF35はまだ42機であり、追加注文することがあると指摘していた。ここから105機購入を増やしたということだ。

ロイター コラム:最新鋭ステルス戦闘機「F35」の宿命的欠陥

コラム2014年7月16日 / 12:38 / 5年前

[14日 ロイター] – 6月23日に米フロリダ州の空軍基地で出火事故を起こした最新鋭ステルス戦闘機「F35」。米国防総省は、エンジンの追加検査が完了するまで全機を飛行停止としたが、今回の事故は、数千機に上る米軍の戦闘機が確実には飛べなくなる事態さえ予感させるものだ。
公平のために記すと、米国防総省は戦闘機が事故や故障を起こした際、原因の究明と問題の解決のため、一時的な飛行停止はこれまでも通常運用として行ってきた。しかし、今回の事故には真に懸念すべき理由がある。F35が戦闘には不向きであることを示しかねない設計上の深刻な欠陥を映し出しているかもしれないからだ。
まず第一に、ロッキード・マーチン製のF35は単純に言って、あまり成功を収めているとは言えない。米国防総省は2007年以降、少なくとも13回はF35の一時飛行停止を余儀なくされた。その多くはプラット・アンド・ホイットニーが製造する「F135」エンジンが原因で、特に、エンジンのタービン翼が問題となってきた。一次飛行停止の期間は、長くても2─3週間程度だった。
オランダの航空宇宙専門家で、戦闘機情報サイトのJSFニュースの編集者であるヨハン・ベーダー氏は「エンジンの同じ個所で問題が繰り返されていることは、F135エンジンの深刻な設計上かつ構造上の問題を示しているかもしれない」と述べた。
プラット・アンド・ホイットニーは度重なる不具合に終止符を打とうと、F135エンジンの全面的な再設計をすでに行っている。しかし、エンジニアにできることは限りがある。F35の開発初期段階でエンジンの問題は議論を呼んだが、米国防総省は双発エンジンではなく単発エンジンを選んだ。単発を採用することでコスト低下には寄与するかもしれない。しかし、F35のケースでは、その決断は「自滅」だと言わざるを得ない。
なぜなら、F35は基本設計に空軍と海兵隊、海軍の要望を取り入れた結果、構造が複雑になっているからだ。航空機の設計では、複雑さは重量に直結する。F35の重量は燃料満載時は35トンと、単発戦闘機としては極めて重い。
対照的に、従来の「F15」戦闘機は重量40トンだが、エンジンは双発だ。F35は速度と操縦性を保つため、F135エンジンに戦闘機史上最大の推進力が求められる。
そうした推進力を実現すれば、エンジン部品には過度なストレスがかかるため、F35が高い頻度でエンジントラブルに見舞われるのも驚くには当たらない。そして、たとえ史上最大の推進力を生むエンジンを積んだとしても、F35は「鈍重」な戦闘機だ。ワシントンの非営利組織「政府監督プロジェクト」で軍改革について研究するウィンスロー·ウィーラー氏は、F35を「重くて動力不足の失敗作」と呼ぶ。

米軍と密接な関係があるシンクタンク「ランド研究所」のアナリスト2人は2008年、F35の戦闘能力を分析する目的で、コンピューターを使って中国との空中戦をシミュレーションした。結果は衝撃的な内容だった。
同仮想演習に関する報告書を執筆したジョン・スティリオン氏とハロルド・スコット・パーデュー氏は、「F35は二重の欠陥がある」と指摘し、「曲がれず、上昇できず、動けない」と警告していた。
とはいえ、F35は米軍史上で最も多く使われる戦闘機になるべく歩を進めている。F35は、空軍と海兵隊が使う現行戦闘機のほぼすべてを置き換え、海軍では「F/A18」戦闘機を補完する位置づけとなる。米国防総省は、向こう数十年でF35を約2400機導入する計画。その費用は総額4000億ドル(約40兆7000億円)だ。
好むと好まざるとにかかわらず、F35は米国の空軍力の未来を担う。他の選択肢も限られている。開発がスタートした1990年代以降、ロッキード・マーチンのエンジニアたちは設計に多くの時間を費やした。仮に新たな戦闘機にこれから取り掛かるとすれば、国防総省は10年以上は待たされることになるだろう。その間、他の国に戦闘機の設計で先を越されるかもしれない。ロシアと中国、日本はいずれも新型ステルス戦闘機の開発を進めている。
基本的な設計的欠陥は今後数十年にわたり、F35を苦しめる可能性がある。それはつまり、米国の国家安全保障が危機にさらされる可能性もあるということに他ならない。

<関連ニュース>
◎日本はF35を42機購入する予定。現在保有している旧型のF15戦闘機100機について新型機との交換を決定する際に、F35を追加発注する可能性がある。
◎オーストラリアと韓国は、F35の購入計画に変わりはないと表明。オーストラリアは58機、韓国は40機を購入する計画。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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「147機も購入する必要はない」という指摘は、元自衛隊員からも指摘がある。この欠陥機F35Aを1機購入しなかったらどういうことができるか。最後に赤旗の記事を引用しておく。

「爆買い」やめて待機児解消 安心の子育て・福祉の道を

2019年5月16日(木) 「しんぶん赤旗」日刊紙

F35A1機で4000人分保育所

 「子どもを預ける保育所が見つからない」「何度申し込んでも子どもが保育所に入れない親が仕事復帰をあきらめた」。解消されない待機児童問題。すべての子が豊かな保育、幼児教育を受けられる体制を整えることが求められています。欠陥が指摘される戦闘機の購入をやめることで、保育所を増設し、保育士の処遇を改善して希望する全員が保育所に入れる道が開けます。
 昨年12月、安倍政権がトランプ米大統領いいなりに105機の追加購入を決めたF35ステルス戦闘機。このうち、42機導入する短距離離陸・垂直着陸できるB型は価格未定ですが、63機導入する基本タイプのF35Aについて、防衛省は単価を約116億円と公表しています。F35Aは今後5年間で27機調達する予定です。
 ではこのF35A1機で何ができるでしょうか。
 定員90人の認可保育所1カ所あたりの国費負担が1億2000万円。F35A1機分で90カ所の認可保育所が増設できます。
 補助金も含めて、実際に保育所の建設にかかる費用でみるとどうか。独立行政法人「福祉医療機構」が2018年6月に発表した、17年度の福祉・医療施設の建設費の調査によると、保育所および認定こども園の定員1人あたりの建設費は285万1000円です。F35A1機で約4000人分の建設費が確保できることになります。
 ほかに、ユニット型特別養護老人ホームの定員1人あたりの建設費が1305万5000円。F35A1機で900人分の特養ホームができます。
 毎年、猛暑が続く中、全国の小中学校教室へのエアコンの設置が急務となっています。
 日本共産党がエアコン設置を決めた自治体の3万教室分のエアコン設置費用を調査したところ、1教室あたりの設置費用の平均額は約290万円でした。F35A1機分で4000教室にエアコンを設置することが可能です。
 自衛隊に配備されたF35Aは4月に墜落。パイロットは行方不明のままで、原因の解明も進んでいません。米政府監査院(GAO)は最新の報告書でF35の未解決の欠陥が800件以上もあるとしています。
 欠陥機であるF35の「爆買い」をやめれば、保育所、特養ホームの建設、学校の冷房化で、安心の保育・子育て・福祉政策を拡充できます。


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雑感

Posted by 東芝 弘明