日本共産党の財源論

雑感

日本共産党は、いつも財源を明らかにしながら経済提言を打ち出してきた。アベノミクスによる量的金融緩和によって、危険水域に達していた日本の借金がさらに増大し、1000兆円を超えてしまった。日本経済が破壊されないで、日本の円が暴落しないのは、国民全体で保有している資産が日本国の借金を大きく上回っているからに他ならない。紙幣は、紙幣自らが価値を生み出すのではなく、交換できるだけの社会の富があるから紙幣として機能するのであって、社会の交換可能な富以上に紙幣が市場に出回ったら、紙幣の価値が下がってしまう。こういう悪性のインフレは、歴史上幾度となく発生してきた。

財政再建は、どうしても必要な政策であり、誰が負担して解決するのかという問題を避けて通れない。ただし、日本国の赤字をただ単に返済するのではなく、日本経済が発展していけば、社会全体の富が増大するので、借金の返済にも展望が開けてくる。日本政府がすべきなのは、日本経済を衰退・停滞から発展の軌道に乗せることだ。

そのために必要なのは、消費税の増税中止と大企業、富裕層への増税だ。ただし、大企業の法人税への増税は、真っ先に行うべき政策ではない。まずは、大企業に中小企業なみの税金を納めてもらう。これを実現するためには、大企業の優遇税制をなくす必要がある。これを行えば4兆円の財源が生まれる。

次に行うべき財源の確保は、証券税制への課税と富裕層の所得税への課税だ。証券税制では、税率を20%から30%に引き上げ、欧米並みの課税にする。これで1.2兆円。所得税については最高税率を元に戻す。これで1.9兆円。富裕層への課税を合計すると3.1兆円。

もう一つは、米軍への思いやり予算予算と沖縄の辺野古基地建設費などの米軍再編経費の全額削減。これで0.4兆円が確保できる。合わせて7.5兆円の財源を確保する。

この財源確保の政策は、そうなったらいいなという程度の問題ではない。日本経済が本当に再生の軌道にのるかどうか。日本社会が今後発展していくか、それとも衰退していくかの分かれ道をなす問題だと思っている。政府は消費税しかないとして10%増税をおこない5兆円を確保しようとしている。しかし、この対策を実行すると所得税が減少して日本の税収は増えないという結果を生み出す可能性がある。自分の財布の中にある1万円は、お店で使わなかったら1万円だが、いったん財布から出して商品を買って支払うと値打ちは9000円しかない。これが消費税10%によって引き起こされる。国民の購買力を10%も奪ばうと、商品が売れなくなって、結局産業全体の所得税収を引き下げてしまう。消費税によって税収は増えるが、所得税の減少によって税収が減ってしまう。さらに日本政府は、今までは消費税増税分で法人税の減税を行ってきた。その結果、日本はバブル経済時の税収60兆円を頂点にして、この税収を超えない国になった。

国債の発行によって、税収不足を穴埋めし、さらに日銀による量的金融緩和を実行して、株価をつり上げた結果、日本の借金がどんどん増えていった。こういうやり方を転換して、国民の懐を暖めて、購買力を生み出すことによって、国内市場を活性化させ、国内市場の拡大を図らないと税収は増えないし、日本の借金も返せない。

日本共産党の財源論は、現実可能な対案になっているし、経済学者にも同じ考え方が広がっている。政治の世界で日本共産党が躍進するかどうか。それは日本経済を再建できるかどうかという問題とも結びついている。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

雑感

Posted by 東芝 弘明