2000万円足らない話はメガトンパンチだった

雑感

191880円という厚生年金(夫65歳、妻60歳以上の夫婦2人の無職の世帯)だけでは、2000万円不足するという厚生労働省の試算(金融庁の報告書、もとは厚生労働省が試算したもの)が、表に出てきて、大問題になっている。問題のグラフは、上のとおり(映像が鮮明ではなかったので作り直してみた)。老夫婦2人で食料として6万4444円は大きい。このモデルケース自体が、国民の生活レベルを超えている。平均値を出せばこういうことになるのかも知れない。国の審議会に集まって来る善意の人々、厚生労働省の官僚の感覚でいえば、この支出に対して何の疑問ももたないのかも知れない。それだけ裕福な方々が議論した結果なのだと思う。国民の実感からすると、このグラフによる実支出は、大きすぎるかも知れないが、老後、命に関わる病気になることが避けられない年齢になること、介護の費用も必要になってくることを考えると、お金が全く足らないというのは、そのとおりだと思われる。実際、この平均的な実収入と実支出のグラフには、「特別な支出(例えば老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用など)を含んでいないことに留意が必要である。」と書かれている(「金融審議会市場ワーキング・グループ「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)」令和元年5月22 日)。もちろん医療費の膨大な支出は視野の外にある。このグラフが視野の外に置いている問題の支出が、実はものすごく大きい。

今回の試算を現実と照らし合わせるとものすごく深刻だ。貯蓄ゼロの世帯がものすごく増えてきて、年金だけが頼りという世帯が増えている。金融広報中央委員会による「家計の金融動向に関する世論調査」によると、50代の無貯蓄世帯は31.8%にも上る。こういう現実がある中で、国が2000万円の貯蓄が必要だということを打ち出したのだ。衝撃が走るのは当たりまえだ。安倍さんは平均値で議論するのはおかしいとも言ったらしいが、それはそのとおりだ。国民の多数が占める貧しい実態から論じると、2000万円不足というのは、圧倒的多数の人々の現実だということになる。国が明らかにすべきなのは、2000万円以上不足する高齢者世帯がいったいどれだけ存在するのかという実態を明らかにすることだろう。高齢者世帯の平均的貯蓄額は、2480万円ということになっている。わがかつらぎ町で、このような貯蓄のある高齢者世帯がどれだけあるだろうか。葬儀を公表しないで、ひっそり家族葬で行う傾向が年々多くなっている現実の背景には、お金がない問題が横たわっている。こういう現実に対して、2000万円不足するという数値は、メガトン級の破壊力をもつものだった。

年金だけで老後は安心だといえる社会を日本で構築しないと、国民生活は守れないことを自覚している政党はどれだけいるだろうか。金融資産の運用のすすめ?。バカな話をするなといいたい。G─G’によって金融資産が増えるためには、銀行が人様から借りたお金に対して、年利5%とか6%とかの金利を付けるような時代でなければうまく行かない。マイナス金利だとか0.0何%の金利しかつけない時代の中で金融資産を増やすことをすすめる政府は、現実を全く見ない人々によって構成されているのではないだろうか。

株?、日本銀行に大量に国債を買わせて、その力で株価をつり上げてきたやり方が、近く破綻するのは目に見えている。人為的につくりだした株の釣り上げ政策が未来永劫うまく行くという保証は全くない。

安倍内閣は、日本社会を破壊してきた。この破壊の先に消費税増税をすえようとしている。この政策を実行したら、日本はバブル崩壊以後、失われた30年という経済状況を引き起こす。この状況下で自公政権を支持するのは、自殺行為だといいたい。


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雑感

Posted by 東芝 弘明