福島原発事故と日本人

未分類

一般質問の準備のために、原発事故の関係の論文を「前衛」や「経済」誌で集めてみると、事故発生後毎号で何本かの論文が掲載されている。読み始めるとどれも必要な情報が、冷静に書かれている。
学ぶ気になれば、正確な知識を得られる。「恐れて、怖がるな」と書いている論文もあった。
ウランやプルトニウムが核分裂を引き起こすときに放出される放射線は、非常に強いものであるが、Aという地点で起こった核分裂による放射線は、距離の2乗に反比例して弱まるという。
しかし、核分裂によって生じた核分裂生成物(死の灰)は、ウラン235が、核分裂によって別の物質であるヨウ素やセシウムに変化したものだから、これは距離に関係なしに影響を与える。
風に吹かれて飛んできたセシウムが、かつらぎ町に降り注ぐと、セシウムが放射線を放出しながら半減し他の物質に転化するまで放射線を出し続けることになる。
距離が離れているから大丈夫というのではなく、距離が離れていても飛散してくれば汚染されるということだ。ただし、高濃度で放出された核分裂生成物が、拡散されて日本列島や諸外国に散らばっていくので、高濃度のまま遠くまで飛んでくるということではない。しかし、ある意味では、確実に飛来してくるというのは、間違いがないだろう。
高濃度というのは、1立方メートルあたりにどれだけの放射性物質(核分裂生成物)があるかということである。原子なので薄まるということはない。原子そのものは、薄まらないで飛んでくる。遠くに飛んでくる原子の数は、高濃度の状態で大気にあったものが、すべてかつらぎ町に飛んでくる訳ではないので、1立方メートルあたりの放射性物質の数が少なくなるので、人体に与える影響が、確率的に小さくなるという話になる。
遠く離れているから全然大丈夫という風に単純には言えない。1つの核分裂生成物が体に入り、細胞を傷つけてがん化する確率はゼロではない。大量に摂取して内部被曝量が高まれば、がんになる確率が高まる。恐れつつ、怖がらないというのは、こういう具体的な事実を知ることによって、身につけようという呼びかけだろう。
全ての日本人が、福島原発の事故について、具体的な事実にもとづいて冷静に考える必要がある。日本人は、あの事故を通じて被曝から逃れられない。福島原発の事故はそういう性格をもった事故である。
食品の汚染も避けられない。そのことを理解した上で事故とどう向きあうのかが問われている。
海の汚染について、ほとんどの情報が伝わってこない。伝わったのは、最初のヨウ素の話だけだった。今もなお、海には核分裂生成物が入った汚染水が流れ込んでいる可能性が極めて高い。セシウムが検出されてもおかしくない状態だが、海の生物の話が全く伝わってこないのは、少々気持ちが悪い。
こういう状況下でも、できるだけ子どもたちには、被曝の機会を少なくする努力が必要になる。日本政府が、被曝の暫定基準を設けたとしても、それを鵜呑みにして子どもが摂取しても安全という態度を取るのは、間違いだろう。
明日は、できる限りこれらの文献を読んで、質問を組み立てたい。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

未分類

Posted by 東芝 弘明