フルアニメーションとは?

雑感

WOWOWプライムでアニメーションを観ている。新海誠の過去のアニメを数本観た後、『ブレイブストーリー』と『イブの時間』を観た。日本のアニメーションの細かさが、それぞれの作品にはよく描かれていた。それでフルアニメーションを検索してみた。新海誠さんのアニメーションが毎秒24枚を基本にして作られているかどうかは、確認できなかった。

フルアニメーションは、フイルムと同じように毎秒24コマに対して、24枚の絵でアニメーションを作画するというところから出発した。しかし、人間の手で毎秒24枚の絵を描くということになると、2時間の作品で172,800枚の絵を描くことになる。しかも人物の動きと背景の動きを合わせると作成する枚数は、1.5倍だとしても259,200枚ということになる。

ここから出発したアニメーションは、24コマに対して同じ絵を2回使うことによって、12枚で済ませるように変化し、毎秒24コマに対して12枚以上作画するアニメーションをフルアニメーションと呼ぶようになったという説もある。調べると12枚以上の作画を行っているという点で、スタジオジブリだけが東映動画のフルアニメーションを引き継いでいるという文章に出会った。本当にスタジオジブリだけなのか。というのは分からない。新海誠監督をフルアニメーションという言葉で検索しても、新海さんの描く世界がフルアニメーションであるのかどうかは確認できなかった。

実写フイルムは毎秒24枚の写真が重なって動きを捉えている。もちろんスローモーションで観たら速い動きは、静止画としては捉え切れていないので映像が流れている。実際24枚の絵を描いて動かしていた作品は、残像が見えるシーンがある。必ずしもどんなシーンでも24枚描けばいいのかどうか。それは素人にはよく分からない。スタジオジブリは、長い歴史の中での積み重ねによって、シーンによって枚数を描き分け、どう描けば違和感なく動いているように見えるのかという点で、膨大な技術的蓄積を持っているという指摘がある。

スタジオジブリの作品がどれだけの枚数の絵を描いて仕上げられていたのか。紹介しておこう。

ナウシカ 116分、56000枚 
ラピュタ 124分、69000枚 
トトロ 86分、48000枚 
魔女宅 102分、67000枚 
紅の豚 93分、58000枚 
もののけ姫 133分、144000枚 
千尋 124分、112000枚 
ハウル 119分、148000枚 
ポニョ 100分、170000枚

東映動画の『西遊記』は、文字どおり毎秒24枚描いて30余万枚描かれている。『白蛇伝』もこのようにして描かれている。これらと比べるとジブリ作品が24コマをフルに描いていないことは読み取れる。24コマをフルに描くのがいいのかどうかは、素人のぼくにはよく分からないが、何をどう描けばリアルに描けるのかという点でいえば、毎秒12コマを基本にして、必要なところには多くの絵を活用し、緩急を付けながら描くというジブリの描き方がいいのかも知れない。

アニメーションは実写と違い、何でも描けるという点がある。アニメーションで描けば、飛びそうもない宇宙戦艦ヤマトが空中に浮いて、空を飛んでいく。銀河鉄道999が空を飛んでもいいことになる。しかし、なぜSLが空を飛ぶのか。銀河鉄道999は、そのことを見事に描けているのかどうか。果たしてリアリティがあるのかどうか。
たとえば『魔女の宅急便』では魔女のキキがホウキにまたがって空を飛ぶ。実際には、人間はホウキにまたがって空を飛べないという現実がある。それを100%分かった上で、ホウキにまたがった魔女が空を飛ぶシーンを、リアリティを感じさせるように描くためには、アニメーターとして努力が必要になる。『魔女の宅急便』では、魔女はどうして空を飛べるのかを真剣に考えて、徹底的に描くことが必要だった。

こういう捉え方は、高畑勲さんによって生み出されたのかも知れない。NHKの連続テレビ小説で高畑さんがモデルである酒場一久が、「自由に描けるからこそ、リアリティを徹底的に追求する」という意味のことをなっちゃんに語るシーンがあった。この考え方が、『魔女の宅急便』にも貫かれていた。

新海誠さんのアニメーションは、何枚ぐらい描かれたものなのか。ぜひ知りたくなった。


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雑感

Posted by 東芝 弘明