素晴らしい国にした方が遙かに素晴らしい

雑感

アマゾンプライムでマイケル・ムーアの『世界侵略のススメ』を見た。痛快だった。日本やアメリカの社会制度がいかに遅れているのか、痛感させられた。国民の幸福のために税金が使われているという点で、フランスとアメリカの税金負担のグラフが面白かった。フランスはアメリカよりも税金が少し高いが、その結果、医療費や保育料、学費が無料になっていて、国民の負担は、アメリカと比較するとはるかに安い。
死刑廃止を行った国は、徹底的に個人の尊厳を尊重する国になっていて、刑務所の囚人にも健康的で文化的な生活を保障していた。囚人を足蹴にして暴力を振るっているアメリカとは雲泥の差があった。国民を支配する対象として捉えている国なのか、それとも国民のために国家があり、国民の幸福追求権と国民の尊厳を徹底的に保障しようとしている国なのかの違いは歴然としていた。

こういう実態を見ていると、日本がいかに国民に冷たい国なのか、身にしみて分かってくる。大学までの授業料を無料にして給付制の奨学金を保障するだけで、どれだけ国民の幸福度が上がるのか。労働時間を短縮して、国民に自由な時間を与えることによって、どれだけ生産性が向上するのか。この方向とは、真逆の方向に国をすすめ、そのことによって不幸な事件を再生産している国との差は歴然としていた。
日本の現実から見ると、信じがたいような姿が諸外国にはあった。しかし、この歪んだ現実を改めていけば、どのような展望が開けてくるのかが見えてきて楽しかった。

マイケル・ムーア監督は、死刑が廃止された国に行って、息子が銃乱射で殺されたという父親に対して、しつっこく「犯人に対して復讐はしたくないのか」「殺してやりたいと思わないのか」聞いていたが、その父親は、「報復は望まない」「彼にも人権がある」「私には彼を殺す権利はない」ということを繰り返し返答した。心底そう思うか聞かれて、心底そう思うと答えるシーンには驚かされた。犯罪を犯した囚人が、「政治について学んでいる」といい、「将来は政治家になりたい」と言っていたのも印象に残った。
日本の力が相対的に低下している中で、「日本こそすばらしい」というトーンで自画自賛している国は、まさに「井の中の蛙大海を知らず」という状況に陥っている。自画自賛するよりも、医療や介護、福祉が充実し、労働条件が改善している国に光を当てて日本を見つめ直すべきだと思う。日本の素晴らしさを強調して、やせ我慢するのではなく、素晴らしい日本の制度をつくって、素晴らしい国にする方が遙かに素晴らしいのではないだろうか。


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雑感

Posted by 東芝 弘明