大日本帝国の亡霊
徴用工の問題に対してコメントがいくつか寄せられたので書いてみたが、その中で論点がかなり明らかになってきた。2019年9月12日の短い東京新聞の記事がよく出来ていると思っている。願わくば、ぼくにコメントを寄せてきている人たちが、ぼくの9月14日のブログに貼り付けている記事を読んでから、コメントを書いてほしいと思う。
しかし、政府の言い分を論拠に意見を述べる人が多い。この議論の中にネット右翼的なヘンテコな議論が入り混じってくるのは、やむを得ないのかも知れない。ネット上には、根拠のない言説が、根拠のある記事にくっついてくるので、何が正しいのかを見極めるのは困難な状況にある。いちいち調べながら対応するのは、かなり面倒くさい。
最近気がついたのは、ぼくへの反論の仕方が、政府の見解であることが多いということだ。歴史問題になると戦前の日本政府の見解になる。アジア・太平洋戦争のときの日本政府の見解を無批判に繰り返す人もいた。韓国に対する植民地支配について、日本は発展の遅れていた韓国に対して、経済的な投資をしたのであって、韓国を植民地にしたという認識はないというものもあった。とんでもない発言だなと思って調べていくと、それは日本政府の見解だった。書いて来た人は、当時の政府見解を根拠にして書いてきたようだ。
ぼくに対して、批判を寄せていただくのはいいとして、当時の政府の主張を何の吟味もなしに論拠として出してくるのには唖然とさせられる。負けている戦争を勝ったといい、撤退を転戦と言い放っていた政府。日中戦争のときに国会にも報告の義務はないとして、次の戦争のための戦費を積み立てていた政府。満州事変の際、満州鉄道を爆破したのは中国軍だとした政府。こういう政府の言い分を無条件で正しいとして主張してくるのは、一体何だろう。少々気味が悪い。
ぼくが向きあっているのは、大日本帝国の歪んだ亡霊なのか。それともそれは現在の幽霊なのか。
あの・・・帝国の亡霊だのネット右翼とか東京新聞、訳の分からん弁護士等々・・・徴用工問題とは関係ありません。1965年に締結された日韓基本条約違反を韓国がやろうとしているのです。
東芝さんもまともな意見を書いてほしい。個人請求権が日本の企業に及ぶという条約の文章を示してほしい。
もしかして・・・条約を読んで理解することができなの?????
なんか疑わしくなってきた。もしかして文章を読んで自分で理解することができなの?
1965年以前の話はいいのよ。植民地がどうとか、そんなことが問題になっていないのです。日韓基本条約と請求権協定です。東芝さんの場合、都合のいいように条約の解釈を変更している。その都合よく解釈した部分を示してほしい。
これ重要な問題なのです。もし徴用工の件が韓国の裁判で通りに進むとなると、韓国の裁判所が勝手に条約の解釈を変更できるということになる。つまりいくらでも日本国や日本企業に賠償を請求できることになる。これは日本国として認められないのは当然。
もし日本企業の資産が現金化されることがあると、当然日本としては経済制裁を実施することになる。
これは右翼でも何でもありません。当然なことです。東芝さんが間違っているのですよ。
トリノさんは、ぼくが書いていることを理解していないということですね。日韓請求権協定は、双方の国の外交保護権の放棄を確認したものであって、個人の請求権は消滅していないというのが、日本政府の見解で、この立場は今も変わっていません。
日韓請求権協定からは、外交保護権という文字は出てきません。それなのに日本政府が一貫して協定は外交保護権の放棄を述べているのであって、個人の請求権は消滅していないというのは、国と国との権限がどの範囲に及び、どの範囲には及ばないのかを理解していたからです。
この経緯を知りたいのであれば、山本晴太弁護士の文章をお読みください。
韓国の裁判所が勝手に日韓請求権協定の解釈を変更したのではありません。日韓請求権協定は今も当然生きています。日韓請求権協定がある中で、どのような訴えをすれば、被害者の救済ができるのかという点で、裁判は行われました。個人と日本企業との裁判は、外交保護権が放棄されても成り立ち、しかも慰謝料の請求はできるということで判決が下されました。日韓請求権協定を1ミリも侵していないというのが韓国の裁判所の見解です。25年裁判を行い、何度も請求を棄却されてきた中で争点が明らかになって、今回の裁判があります。これに異論があれば、企業が異を唱えるべきであって、いきなり日本政府が裁判に介入するのは間違っています。
中国で行われた西松建設対中国人の裁判では、こんな変なことにはなりませんでした。
ぼくの書いていることが理解できないのであれば、ぼくのブログの9月14日の東京新聞の記事をお読みください。
まぁ、日本政府や外務省の主張は理解できますが、
東芝さんの主張は、理解できません。おまけに、外交保護権なんて訳の分からない言葉出現させて説明されてもなぁ〜。
東芝さんの場合、僕とは基本的に考えかたが違うようです。
外交保護権なぁ〜、、、新しくできた言葉?
どこかの条約では出てくる?1965年にあった言葉?
理解不能です。
トリノさんへ。
日本政府の態度は以下のとおりです。資料はウキペディアです。
日本国政府は、1965年の日韓請求権協定についてその締結の当初から個人請求権は消滅していないと解釈していた[30]。日韓請求権協定締結時の外務省の内部文書には日韓請求権協定第二条の意味は外交保護権を行使しないと約束したもので、個人が相手国に請求権を持たないということではないと書かれていた[31]。このような日本政府の解釈は日韓請求権協定締結前から一貫したものであった[32]。というのも、原爆やシベリア抑留の被害者が、日韓請求権協定に先立って締結されたサンフランシスコ平和条約や日ソ共同宣言の請求権放棄条項により賠償請求の機会を奪われたと主張し、日本に補償を求める訴訟を提起したからである[33]。この訴訟において、日本はそれらの請求権放棄条項によって個人の請求権は消滅しないから、賠償請求の機会は奪われていないと主張した[34]。韓国との関係に関しても戦後韓国に残る資産を失った日本国民が韓国に対して訴訟を提起する可能性があるため、日本は当初から請求権放棄条項によっては個人の請求権は消滅しないという立場に立っていた[35]。請求権協定締結の1年後である1966年に、協定の交渉担当者の外務事務官谷田正躬は、協定で放棄されるのは外交保護権にすぎないから、日本政府は朝鮮半島に資産を残してきた日本人に補償責任を負わないと解説した[36]。
東芝さんへ
やっとまともな論議の入り口に到着です。じゃあ、1965年の日韓請求権協定に話になります。僕は個人請求権が消滅したなんて書き込んでいません。問題なのは、その日韓請求権協定で約束された内容を韓国側が順守しないことが問題だと言っているのです。
[参考]「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」(1965年12月18日発効)
第二条
1 両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が,千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて,完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
(中略)
3 2の規定に従うことを条件として,一方の締約国及びその国民の財産,権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては,いかなる主張もすることができないものとする。
第三条
1 この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争は,まず,外交上の経路を通じて解決するものとする。
2 1の規定により解決することができなかつた紛争は,いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と,こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。ただし,第三の仲裁委員は,両締約国のうちいずれかの国民であつてはならない。
3 いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかつたとき,又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかつたときは,仲裁委員会は,両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもつて構成されるものとする。
4 両締約国政府は,この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。
外務省のHPからです。
その第二条
「一方の締約国及びその国民の財産,権利及び利益」つまり今回の韓国側「徴用工賠償の請求権」のことです。
また、「一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権」というのは日本国および日本国民(法人を含む)への補償請求ことです。具体的に今回の場合に当てはめると三菱重工や日本製鉄への補償請求になります。
また「同日以前に生じた事由に基づくものに関しては,いかなる主張もすることができないものとする。」の同日は(1965年12月18日発効日)以前に生じた内容についていかなる主張もできないです。
おわかりですか?個人的請求権は消滅しませんが、その補償は日本側がするものではないのです。条約発効とともに行われた経済援助に、その補償金も上乗せして韓国側に支払われたのです。つまり徴用工の補償は韓国政府がする約束だったのです。
それを・・・韓国のバカ大統領が三権分立とか言い訳して無視するから、現在のような危機的状況になってのです。
これで万が一日本企業に実害が発生した場合、・・・国交断絶もありえる。韓国との国交における基本条約が無視されたんだから、大きな大きな問題です。