NHKへの政治介入事件4 2005年2月13日(日)

雑感

今日は朝から一日会議があり、夜は九度山の母子寮のことで2回目の会合がある。こういう日程なので、今一度NHKへの政治介入事件についてコメントしたい。
読売新聞は、NHKへの政治介入事件について、2月11日「番組改変」NHK対朝日…何が解明されていないか」 と題する検証記事を特集した(読売は「政治介入」という言葉は使わず「番組改変」で通している)。この特集は、今回の事件が朝日新聞とNHKとの間の争いであるかのように報道している。朝日新聞の記事が正確だったのかどうかは、問われるべき問題ではある。だが、これは問題の核心ではないと思う。最大の問題は、NHKが自民党との関係で“癒着”しているかどうかだ。
この事件で重要な事実は、安倍晋三副官房長官にNHKが放映前の1月29日に会い、番組の内容を説明し、それ以降編集が加速されたということだろう。44分の番組を編集する場合、番組の時間枠を変えないというのが普通だ。それを放映前日に1分削り、さらに当日、放送直前まで編集して3分削って40分に縮め、そのまま放映するのは、秒刻みで番組を編成し、時間調整している基本姿勢からかけ離れている。
読売新聞は、検証記事といいながら、このような事実には触れず、朝日の報道が正確であったかどうかに集中している。WEB版では確認できなかったが、この記事の解説では、朝日新聞の分が悪いかのように説明している。これで果たして検証しているといえるだろうか。双方の言い分を取材するとともに、明らかになってきた事実を重視し、ことの本質がどこにあるかを追究しないのでは、ジャーナリストの名が泣く。
客観的な事実を重視し、ことの本質を見極めるために筆を進めたい。
重要だと思うのは、NHKと自民党が認めている点だ。
1つは番組の放映前に会い、番組の内容を報告したということ、
2つは、安倍晋三氏が「政治的な圧力はかけていない」といい、NHKがこれは「通常業務の範囲内」といったことだ。
これは、NHKが日常的に自民党幹部と会い、事前に番組内容を報告し協議しているということを示すものだ。
「通常業務の範囲内」という認識の方が、「圧力を受けた」という認識よりも恐ろしい。自民党の幹部に問題になっている番組内容を事前に説明し、友好的な関係のもとで協議するというようなことが、公然とまかり通っているとすれば、番組の制作・著作は、「自民党・NHK」ということになる。
NHK新会長に就任した橋本氏は、2月3日の定例記者会見で「一般論として、個々の番組について事前に説明することが当然とは思っていない」と語った。しかし、毎日新聞は、この発言の後日談として2月4日、「自民党総務会でNHKが釈明」と報道した。自民党総務会に橋本会長が参加して「説明自体が悪いことではないが、お伺いを立てるようなやり方は問題だという意味だ」と釈明したというのだ。なぜ、当たり前のことを言ったのにNHK会長が自民党総務会に出向き釈明しなければならないのか。自民党とNHKの関係はここまできていると言うことではないのか。政治と報道機関の距離というが、自民党とNHKの距離は、限りなくゼロに近い。距離を置かねばならない関係があるのに、距離がなくなることを日本語では“癒着”というのではなかろうか。
2月13日付の「赤旗」日曜版は2面で、「NHK政界“お庭番”」という特集記事を組んでいる。少し紹介したい(以下のブロックは記事にもとづいて東芝がまとめたもの)。


NHKの中には「総合企画室」という100人ほどのセクションがあり、NHKの内部文書によれば、「総合企画室」の中には「経営計画」「デジタル放送推進室」などの4グループがあるが、このグループに属さない「部長」「業務主幹」「副部長」の7人の幹部がいる。
「赤旗日曜版」の取材に対してNHK経営広報部は、「総合企画室は、国会議員からの問い合わせなどの窓口業務をおこない、これは総合企画室の中の企画グループが担当する」と回答している。7人のグループが企画グループだ。
鍵を握る人物は、野島直樹氏だと「日曜版」は書いている。番組への政治介入がおこなわれた99年1月末、野島直樹氏は総合企画室の7人のグループの上に「名前があった」。
長井暁チーフ・プロデューサーは記者会見でこう述べている。
「2001年1月下旬、衆議院議員の中川昭一氏と安倍晋三氏らが、NHKで国会・政治家対応を担当していた総合企画室の野島直樹担当局長らを呼び出し『女性国際戦犯法廷』を取り上げたETV2001の放送を中止するよう強く求めました」
「日曜版」のこの記事は、野島氏が、NHKに関わる他の問題で、国会議員の質問についても質問しないように立ち働いたことをリアルに紹介し、働きかけは、自民党議員、民主党議員、共産党議員(3つとも違う問題で)にあったと書いている。


まさに、国会対策として総合企画室が積極的に動き、野島氏がこの重要な位置にあったということだ。
この総合企画室が、現在焦点になっている事件でどういう役割を果たしたのかをNHKは明らかにする責任がある。「通常業務の範囲」というのなら、自民党を始めとする国会議員対策がこのセクションを通じてどのようにおこなわれているのか。情報公開すればことの本質が鮮明になるのではないだろうか。
注)今回、中川昭一氏について長井氏のコメントをそのまま掲載した。中川氏とNHKによれば、中川氏は、2月2日にNHKと会って番組について事後報告を聞いたということになっている。しかし、このような正式コメント以後、中川氏は報道2001に出席し、この事件について問われることに答えたが、事前に説明があったかのように語り、この矛盾を指摘されるとしどろもどろになったという経緯がある(「赤旗日曜版」はこれも記事にした)。朝日新聞の第一報では、中川氏の発言が突出しており、これを認めると政治介入意外の何者でもないので、NHKと中川氏は苦慮して2月2日に会ったということにした可能性がある。これも解明されなければならない。
さて、妻と娘がスキーから戻ってきた。夜11時過ぎに妙寺駅の近くまで迎えに行った。


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雑感NHK

Posted by 東芝 弘明