『エール』の戦争の描き方

雑感

NHKの朝ドラの主人公は、戦争に批判的だった人物を配置して描いてきたことが多かった。しかし、最近は、戦争に協力した人物を描くようになった。たとえば、『花子とアン』のヒロインのモデルは、戦争に積極的に協力した人物だった。このときは戦争への協力をどう描くのか興味があった。しかし、描き方でいえば及び腰だった。『まんぷく』のときは、モデルの生い立ちを変更して描いていた。連続テレビ小説は、フィクションなので設定を変えてもいいと思うが、何をどう描くのかは、色々な要因が働くのだと思われる。

今描かれている『エール』は、戦争に積極的に協力した人物を真正面から描いた。戦争に協力したがゆえに、戦後どう苦しんだか、そこからどう立ち直ったかが描かれた。特高警察が少し描かれ、キリスト教の信者として戦争に批判的な人を描き、主人公と向き合わせて議論させ、軍人を家族に持つ妹夫婦を描くことによって、戦争の実相を立体的に捉えるようにしていた。主人公と親しく関わった少年が戦死したことも描かれた。壊れたハーモニカが痛々しかった。

戦争に協力したことによって戦後苦しんだ人は多い。その中からどう立ち直ったかを描く意味は深いと思われる。私たちの世代は戦争を知らない。知らないからこそ、戦争のことを学ぶことが求められる。人間の弱さととともに、人間の苦しみからも学んで、今の時代が戦争前夜にならないように、どう生きるかを自分に問いかけなければと思っている。

自衛隊が災害救助でよく頑張っていることをもって、自衛隊員に感謝をしめすという気持ちが増えている。それはその通りだとして、自衛隊のもう一つの側面を事実に基づいてみる必要がある。自衛隊に関する正確な情報は、なかなか伝わらない。赤旗は、敵基地攻撃への準備が進められていることを正確に報道して、現在の戦闘機が相手の国に行って攻撃して帰ってくることができるようになっていることも報道している。専守防衛の枠をはるかに超える実力をすでに自衛隊が持っていて、その延長線上に敵基地攻撃能力をもてるよう具体化が進められている。これが自衛隊のもう一つの実態だ。

憲法9条を超えて戦闘能力を高めつつある自衛隊のことを把握して、自衛隊のことについては考えるべきときにきている。


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雑感

Posted by 東芝 弘明