町村議長会研修会 2005年7月15日(金)

かつらぎ町議会

午後2時から町村議長会主催の研修会が岩出町総合体育館であったので、午前中に役場の日曜版を配達に行った。配達の途中、幼稚園の統廃合の問題で課長に話を聞いた。近く保育所運営協議会を開催するようだ。いよいよどうするかという議論が始まることになる。
どんな議論が始まっていくのか、注目していきたいと思う。
次世代育成支援の関係についても、協議会を立ち上げたいと課長は話していた。

町村議長会の全議員研修会の講師は、中央大学の教授で小林信夫さんという方だった。
議員が地方と国の予算135兆円(年間の経済活動の4分の1)の使い道に対して決定権があるという話から講演は始まった。
なぜ、いま民間活力の導入という流れが起こってきているかについては、こう説明した。
以下は簡単な要約である。

戦後、民間に任せられない部門については、公が担ってきたが公の部門が大きくなりすぎたので、この部門を見直して、民間にできることは民間にという方向をとっている。
ある自治体で、公的な部門の仕事を分解していくと1600に上った。この1600の仕事を公がどうしても担わなければならない部門とそうでない、民間が担ってもいい部門とに分けていくと800対800ということになった。
民間といっても、NPOもあれば、NGOもある、株式会社もあるしボランティアもある。公が担っていた分野をこのように分担していくことは、一つは、新たな市場として民間に渡すということ、もう一つは、住民の行政への参加ということ、もう一つは、市場原理を公的な部門に持ち込んで効率の良い運営をおこなうということだ。


なるほどと思いつつ、違和感も感じた。綺麗にいえばこういう風に表現できるだろう。しかし、新自由主義という観点からいえば、公的部門を解体して、民間のもうけの対象にし、民間企業のために新たな市場を作り出すということで、これが最大の目的になる。
たとえば国鉄の分割民営化──負の遺産は民間企業に担わせないで、国民の税金で処理し設けられる部門だけをJRに渡していった。
NTTは儲けをあげることのできる巨大な民間企業を作り出した。しかし、地方の局を次々に閉鎖して住民サービスは明らかに低下した。
郵政民営化──国会答弁では、「民営化すれば大きな赤字が産まれる。公社のままなら黒字を維持できる」と答弁した。民営化したら赤字になるのになぜ民営化に踏み切るのだろう。
郵政民営化によって郵便事業は維持できなくなるし、金融部門である貯金と簡保は、アメリカへの市場開放と民間への儲けの譲渡を作り出すだろう。また郵貯の解体によって日本の金融独占資本によるメガコンペティションへの参加の条件作りが完成する。
一言で言って、郵政民営化は、国民の財産で成り立っていた郵貯などを金融資本の自由にまかすことに他ならない。郵便貯金があるままでは、競争できない──これが民営化の一つの理由だ。山間部から簡易郵便局や特定郵便局がなくなることは目に見える。
公的な部門が大きくなったから、民間活力を導入して、公的な部門を小さくする。民間活力で公的部門を効率の良いサービスに再編し、住民参加も実現する。なんという綺麗な話だろう。しかし、こういうきれい事が民営化の中心なのではない。
こういう側面も部分的にはあるにちがいないという話だ。
民間活力の導入で忘れてはならないことがある。それは、所得に応じた負担をおこなっていた福祉部門を解体して、商品を買うがごとくサービスを買わせ、対価を支払いましょうというものだ。今日の講演では、この分野の負担増の話がまったく欠落していた。民間活力の導入と市場原理の導入は、すべての公的サービスに一律負担を導入することでもあるのだ。
結論──
公的な部門への民間活力の導入には、いい側面と良くない側面がある。
是々非々の判断が求められる。
営利目的の企業の参入は、全体として懸念を感じる。公的なサービスを必要とする部門に株式会社が入ることによって良くなる例があればぜひ知りたいと思う。評価は、5年、10年というスパンでおこなわなければならない。コスト削減論などは特にそうだ。
国鉄の例でいえば、最悪な結果に国民は苦しめられている。北海道の鉄路はズタズタになり、安全は軽視された。和歌山線も廃線の危機がささやかれている。
今日の講演で、議会が政策能力を高め、問題提起をおこない、意思決定をし、行政施策を評価するという点は傾聴に値した。
保守系議員の方々は、「そんなんできないよ」という受け止めだった。「われわれには仕事もある」──こう言った議員もいた。
夜は事務所で会議があった。
娘は妻といっしょに河内長野のお風呂に行ったので夕食はウエストコーストでリッチなセットメニューを食べた。河内長野のお風呂にはバラの花を浮かべていたらしい。お湯は赤い色をして色々な色の花が湯船に浮いていたという。
「お風呂楽しかった」
「うん」
そういって娘と妻は2階に眠りにいった。
ぼくもシャワーを浴びて、ビールでも飲んで眠るとしよう。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明