デジタル法案、参議院で審議中

雑感

議員にデジタル法案の説明を行ったが、デジタルになれていない人には、意味がよく伝わらなかったようだ。持ち時間は30分、少しオーバー気味だったが、資料を活用して説明した。ぼくが一般質問をした以降、国会での審議が進んだが、赤旗では、デジタル庁の作り方の異様さにさらにメスが入って、専門家が言及するようになってきた。

デジタル庁は、内閣総理大臣に官僚の人事権を与えた後につくられるもので、首相に地方自治体の情報も含め、大きな権限を与えるものになっている。人事と情報を首相が握るので、発達した資本主義なのに中国のように監視社会に向かうだろう。赤旗では、専門家が、デジタル庁は、内閣総理大臣による大統領化、首相独裁のような機能をもつという指摘に至っている。

日本社会の中国化がデジタル庁の目的なのかも知れない。マイナンバーは、情報を一元化せずバラバラになっている情報をマイナンバーで串刺しにするだけなので、一カ所に情報を集める訳ではないと現時点では説明している。しかし、これは現時点での話。マイナンバーは、今後もバラバラに存在してる情報を12桁の番号で串刺しにして見られるという点は変わらないが、その一方で、国がクラウドを作って膨大な自治体の情報をバックアップ機能も含め一カ所で管理しようとしている。現時点で17の自治体情報をクラウド化するというのは、情報を一元的に管理するものだ。この点では、マイナンバーの説明を変更せざるを得なくなっている。

Appleは、iCloudで世界のユーザーの情報を一元管理している。データセンターはアメリカ合衆国の砂漠の中にある。AppleにはiPhoneを探すというソフトがあって、このソフトがあれば自分のiPhoneやiPad、Macがどこにあるのか一目瞭然になる。しかもこのソフトに表示されているデバイスを削除したら、直ちに削除されたデバイスはフォーマットされ専用コードがなければ立ち上げられなくなる。ぼくは以前、間違って事務所にあるMacをこのiPhoneを探すというソフトで削除したことがある。
この機能は、盗難防止のためのものだ。この機能でデバイスを削除したら、盗まれたMacやiPhone、iPadが、かりに飛行機に搭載され全世界を駆けめぐっていたとしても、アメリカやヨーロッパで、もしくは世界のどこでも、そのデバイスをインターネットに接続したとたん、フォーマットされる。デバイスを盗んだ人はデータを一切活用できない。システムを再インストールするためには、購入した本人が、アップルの専属代理店に行ってデバイスを購入した証拠を提示し、修復を依頼しなければならない。システムの再インストールのための専用コード取得に5000円以上の手数料も必要になる。

MacをiPhoneで探す機能で削除した後、Appleに調べてもらったら、「アメリカ時間になりますが、○年○月の○時○分に削除された痕跡があります」という返事が返ってきた。これは、アメリカにあるiCloudのデータセンターに残っている削除の痕跡を確認できたということだった。クラウド管理では、こういうことが可能になる。
地方自治体の17事業を一つのクラウドで管理するようになると、国は1700を越える膨大な自治体のもつ個人情報をビッグデータとして自由に検索し、自由に分析できるようになる。今は17事業だが、事業数はもっと増えるだろう。統計の必要性のない社会が出現するかも知れない。この仕組みとマイナンバーカードによる民間を含めた情報の管理が行われると、国は、居ながらにして国民の個人情報の分析と管理を実現できる。

しかも、このようにして集められた情報を民間が利活用できるという点にデジタル化法案の肝がある。名前だけ伏せて個人情報を民間に渡せるという議論が国会で行われている。名前を伏せた個人情報が民間に渡ったら、民間が持っている顧客情報と照合して個人を特定できるだろう。企業は自治体の健康診断の情報をほしがっている。膨大な会員をもつ企業がこういう「秘匿された」情報に手を出すのは目に見えている。

経済発展の起爆剤は情報化だ。という話が、国民の知らないところで具体的に進んでいる。


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雑感

Posted by 東芝 弘明