権力者に甘い日本社会

雑感

議会だよりの委員長と副委員長、事務局との最終校正を9時30分から始めた。今回も若干、手直しが必要なところがあった。精査というのは、ある意味、きりがない。それでも間違ったまま印刷してしまうことがある。ぼくたちが作る広報でさえこういう状態なので、毎日発行されている新聞や雑誌も、事実誤認や不十分さというのは絶えずつきまとっているだろう。気がつかないまま情報発信していることは、実際、すごく多いと思われる。

厳格な校正から考えたことは以下のとおり。
日本社会は、誤りに対して、非常に手厳しくなっている。この手厳しさは、競争が激化し、83%を超えている労働者が、余裕のない厳しい労働を強いられている裏返しとして発生していることでもあるだろう。
「こんなミス、うちの会社だったら許されないよ」
という状況からのリアクションもあるだろう。しかし、極めて意図的に徹底的に攻撃を行う傾向は、この厳しい社会の反応を土台に、政治的な分断を一つの目的にして「攻撃を仕掛ける」便乗型の傾向もあるのではないだろうか。便乗型の中には、実際に組織されているものと、個人が積極的にそう信じて行っているというものもあるだろう。

ゆるゆるの反応の頂点には、政府や自民党に対する甘さがある。旧統一協会への批判は極めて強いのに、旧統一協会と深い関係にあった国会議員たちは、国会議員を辞任するまでには至っていない。
この中で亡くなった安倍元首相に対する甘さは、甘さの頂点にあると感じる。安倍さんが亡くなった直後、統一協会による記者会見によって安倍さんと統一協会の関係が一つの焦点として浮上した。この中には、自民党の国会議員だった人の証言によって安倍さんが統一協会を選挙に活用してきた疑惑まであったし、旧統一教会及びその関連団体による安倍さんへの敬意の払い方によって、この組織と安倍さんの関係が極めて深いものだったことも白日の下にさらされた。
そういう疑惑や事実が出てきたのに国葬についての見直しは起こらず、国葬と統一協会問題とは別であるかのような扱い方がまかり通り、国葬が強行された。芸能人が反社会的な団体との関係が明らかになると、ただちに降板されたりイベントが中止されたという事件があった。しかし、安倍さんに対しては、そういうことは起こらなかった。
桜を見る会について、安倍さんは国会で118回も虚偽答弁をしたことが、立憲民主党の調査によって指摘されている。そのことを報じた新聞記事を引用しておこう。

 安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会を巡り、立憲民主党は21日、安倍氏が首相在任中に国会質疑の中で行った虚偽答弁が118回に上るとする調査結果を発表した。
 立民は衆院調査局に依頼し、安倍氏が(1)夕食会の収入と支出に関する政治団体などの関与(2)夕食会を開いたホテルの明細書などの発行(3)政治団体による不足分の補填(ほてん)―について答弁した回数を数えた。疑惑が発覚した昨年11月から退任した今年9月までの間、衆参両院の本会議や予算委員会で(1)は70回、(2)は20回、(3)は28回あった。
安倍氏は3点について、いずれも答弁で否定していた。だが、東京地検特捜部の捜査で、事実と異なる答弁だった公算が大きくなっている。
 立民の黒岩宇洋国対委員長代理は記者団に「虚偽答弁を繰り返したことを陳謝するなら、公開の証人喚問か参考人招致が筋だ」と強調した。自民党は、安倍氏が応じる意向を示している国会招致に関し、非公開の議院運営委員会理事会などで行うことを検討している。(横山大輔)
(2020年12月21日 東京新聞)

この衆議院調査局がカウントし、それを東京地検捜査部が追及した事実との関係で矛盾をついた指摘は、安倍さん(この時点では前首相)が不起訴になった後、2020年12月26日、国会で追及され、安倍さん自身が発言の誤りを認める形になった。しかし、不起訴という社会的事実をもとに、安倍さんは国会議員を辞任しないという態度を取った(不起訴事態が異常だと思う)。野党はこの問題を重視し証人喚問を求めたが実現していない。自民党が証人喚問を拒否したからだ。地方自治体ならば、議会で118回もウソの答弁をしたら辞任に発展していただろう。こういう人物がどうして国葬に値したのか。ぼくには分からない。

野党がだらしないから証人喚問が実現しなかったのではない。マスメディアに守られ、自民党が証人喚問を拒否してこの問題は幕引きとなった。地方自治体で常識になっている問題が、国会では曖昧にされてきた。この曖昧さを擁護してきた中には、ネットで形成されている世論にもある。権力者には甘く、権力のない者には手厳しく。日本はこういう構造の中にある。
統一協会問題が解決できないような日本であれば、日本の政権はもう終わっていると思う。自浄作用が働かない権力というのは、国民にとって害悪でしかない。

最終校正から、こんな枝葉のことを考えてしまった。
議会だよりの最終校正が終わった後、企画公室長から話を聞き、議運での対応を協議し、そのあと海南市への視察についても局長と打ち合わせを行った。海南市への視察では、議会事務局を相手して視察を行い、終わった後ノビノスという施設に行くことにしている。

午後、現地調査を建設課の方々と行った後、宣伝カーの屋根に乗っている看板を下に下ろす作業をした。ボルトを外すだけで下に下ろせる。最後は看板を下ろすのを手伝ってもらった。2人あれば看板は下に下ろすことができた。新しい宣伝カーは、新しいスピーカーでと思い始めている。看板も新調すればいくらかかるだろうか。


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雑感

Posted by 東芝 弘明