副町長の選任に賛成した

雑感

12月会議の初日、南典昌氏が、かつらぎ町の副町長に選任された。この議案に対して、ぼくも賛成した。この人との付き合いは長い。職員として今まで条例関係や法的な理解について、信頼を置いてきた。南氏は、ぼくが条例を深く理解する上で一番信頼してきた人だった。

彼が39歳でぼくが42歳のときの12月、情報公開条例が議会に提出された。ぼくは、この条例をもっといいものにしたいと思い、条例に向き合い、かなり全面的に条例案を改正するための「新旧」(新条例だったので当局の案を旧とし、自分の案を新とした)対照表を作成し、担当職員だった南君(南氏よりもしっくりくる)のもとにもって行った。
「議員さん、ここまで作ってくれていたら、議案にするのは簡単です。議案はこちらで作りますわ」
彼は、そう言ってくれた。「議案の書き方には、癖があって、これは書き慣れてないと難しいですよ」
ということだった。

そのときに、第1条の目的の文言を書き改めたいと思って、いろいろ文言を変えようとしたが、うまくいかなかったので、なかなか読み下せない規定を変更できなかったことが記憶に残っている。試しに最近、この部分の改正案を作ってみた。62歳になったぼくは、なかなか変えることができなかったこの第1条に対して、2,3種類の改正案を作ることができた。わりと簡単だった。42歳の頃から比べると少しは、文章力が高まっているようだ。そう、ブログの力が大きい。

話を戻そう。
南君が総務課長になったときに、役場の職員の残業代について、町長が払うことを約束して決着していたはずなのに、揺り戻しが起こって、残業代の支払いを渋ったことがあった。このときにぼくは、法律に違反していることを指摘し、残業代を支払うべきだと迫ったが、町長の答弁はあいまいだった(議会の追及が中途半端に終わる原因は質疑は3回までという制限があるからだ)。しかし、その後、すぐに変化が起こったのは、南君が、町長に「残業代のことについては東芝議員のいうとおりです」と進言したからだ。
こういう職員が存在する意義は大きい。彼が、彼のもっている力を存分に発揮して、言うべきことをきちんと町長に伝えるようになれば、かつらぎ町はいい方向に向かうと思う。南君には、そういう力を期待したい。

行政の職員のスキルの高さから言えば議員は素人。
結局議員になって、ほぼ独学で一知半解の知識を積み重ねてきた。議会は年に4回。毎回膨大な資料を手渡されて、その資料と向き合って、付け焼き刃的に調査をして向き合っていく。32年間積み重ねても、議案については、分からないことの方が多く、分かるように十分説明してくれることはないので、職員の話を聞き、自分で調べ、本質に迫ることを繰り返す。
聞き学問だけでは、どうしても議員としては成長しない。それは、判断の基準を他人の言葉にゆだねるからだ。職員の言葉を出発にして自分で調べて、これが大事というものをわしづかみにしないと議員の血肉にはならない。職員の言葉の根拠はここにあるというところまでたどり着いてはじめて、見えるものがある。これを議会ごとに付け焼き刃的に繰り返すと、自分の中に残るものが出てくる。

付け焼き刃になるのは、必要性に追いかけられるからだ。議案が出ないと調査も始まらないという関係が、付け焼き刃発生の原因だ。議員は、毎回この付け焼き刃的調査からは逃れられない。しかも、ここを手抜きすると、議員としては成長しない。人の話を鵜呑みにする議員になると、「あの人がこう言っていたから正しい」みたいな、大地に根を張ることのできないフワフワした議員になる。

今後の議会改革の方向は、議員による政策提案だというのは、今後議会の中で一致すべき認識だと思われる。今までぼくは、議案として出される新旧対照表を精査するようなことは、ほとんどしてこなかった。いつも説明を聞き、提案説明用の参考資料をみて理解して質疑にのぞむという形をとってきた。しかし、こういう活動スタイルでは、政策立案能力は高まらない。条例に精通する努力をはじめる必要がある。

議会に個人情報保護条例を提出する責任が発生したので、いま議会運営委員会に審議が委ねられている。ぼくは議会運営委員会の委員長なので、この議案を細部にわたるまで理解をしたいと思っている。
全国町村議会議長会の示した案のまま条例を提出して、「はい、一件落着」という道はある。難しい内容の条例を理解が十分できないまま、全国町村議会議長会の案だからいいだろうというレベルで、議会に提出して、何の質疑もなしに可決するという道だ。これなら今でもできる。
そうではなく、議員として条例案に向き合って、意見を言い、改善を求めるのが、今後の議会改革の方向なのであれば、議員は、条例案を理解する必要がある。そういうことが求められているのに、自分たちの出す議案について十分な理解をしないままでいいのか、ということが問われている。
ぼくには、個人情報保護条例を賛成できるところまで作り変えることができるかどうかが求められている。ぼくの案は、個人の案になる可能性も強い。委員会として、所管事務調査で議案の精査をおこなっている状態なので、元々の案とぼくの案をどう扱うのかも詰めないといけない。そういう作業もあるが、今回の機会を大事にして、個人情報保護条例と格闘したいと考える。

一知半解の議員が、素人のまま、未知の航海に足を踏み出す。この未知の航海に進むためにも、南君のような優れた力をもった職員の力を借りたい。


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雑感

Posted by 東芝 弘明