議会は議事機関

雑感,かつらぎ町議会

昨日の予算質疑の中で、ベテラン議員は、自宅で予算質疑の準備をし、前年度の予算と今年度の予算を比較し、その差異に着目して質疑を行っていた。これには拍手を送りたい。予算質疑で深い議論をするためには、少なくとも自分で予算書とにらめっこして質疑の準備をしないと質疑はできない。準備の過程の中で質問形式で本質に迫っていく質疑が組み立てられていく。
この準備をどれだけするのかというのが、議員の「いの一番」の仕事だろう。議員報酬は、一般質問のために用意されているものではなく、議案の審議を通じた行政の監視と政策立案のために出されているものだと考える。

ぼくは、総務費のところで16項目の質問を一度に行って休憩となった。ここに問題があるという意見もあるが、そんなところに質疑の問題点があるとは思わない。答弁しきれないのであれば、休憩をして質問項目を把握して質疑に対応すればいい。実施にそうなった。問題は、どのようにして議員の質疑を保障するのかであって、議員の発言の制限などに議論が行くのは間違っている。
質疑をする議員に対して問題点を指摘するよりも、全議員が活発に質疑を行う議会をどう構築するのか。大切なのはここにある。その結果として、質疑の日程がさらに必要になるのであれば、3月会議の中で日程を確保するように努力するのが本筋だろう。
1年間の予算質疑は、時間を確保して審議を行うだけの必要性がある。

地方議会は、議事機関なので議員の発言は十二分に保障されなければならない。9時から5時までと日程は一応なっているが、時間延長もできるので審議時間を徹底的に保障するというのが基本だろう。地方議会の審議の時間は本当に少ない。当局の側は8月ぐらいから予算のヒアリングを行いはじめ、他の業務をしつつ予算を編成していく。予算の中には自治体が行っている仕事のほとんどが何らかの形で反映している。もちろん、予算にはまだ現れない仕事もあるし、繰り越しという形で前年度の仕事を行っている部分もある。こうやって、長時間にわたって作られた予算書を議員が読み説いていくのは至難の業だ。どだい、内容の濃い予算書を議員がすべて理解するというのは不可能に近い。

予算審議では、議員の調査には限界はあるものの、自分で調べたことを踏まえて質疑をすることになる。深く調べれば調べるほど本質は見えてくる。議員の調査によって、本質が明らかになって、当局の姿勢が変わるケースが出てくる。それは住民の利益につながる。

今回、「メディア戦略アドバイザー業務委託料」について、ワンスポットではあったが1期目のT議員の新規事業の調査は奥が深かった。ぼくはそこまで調査はできていなかった。この事業は、東京の株式会社「情通コミュニケーション」に随意契約で事業を委託し、年間12回SNSも含む情報発信に対しアドバイスを受けるとともに、年間24回(月にして2誌)、さまざまな雑誌の紙面1ページを活用したかつらぎ町の広告を掲載するというものだった。予算は660万円。この中に東京からの交通費、宿泊費、メディアへの掲載料のすべてが含まれている。とくに費用が必要になるのは、雑誌への1ページ広告だ。どうしてさまざまな雑誌への広告がこれだけの委託料の中でまかなえるのかは今もよく分からない。かつらぎ町出身の会社を経営している方が、かつらぎ町のためにこういう努力をしてくれるというものだということだ。

T議員は、事前に随契になること、及び何という会社への業務委託なのかを把握し、どのような広告を行うのかを把握した上で質疑を行った。ぼくはそこまで踏み込んだ準備はできていなかった。内容に踏み込むのであれば、そこまで準備をした上で質疑をすべきだなと改めて思わされた。

もちろん、議員がすべての気になっている事業に対して具体的に深く把握することは不可能に近い。しかし、関心をもって議場に籍を置く12人の議員が、しっかり準備すれば、内容の濃い、ときには当局が姿勢を変えざるを得ない領域まで質疑をすることができる。建設的な質疑が増えれば、住民の福祉の増進にも自治体の発展にもつながる。

予算書を綺麗なままにして、何の準備もしてこないと、質疑なんてできない。自分で準備をして、手を上げ質疑をするような議会に向かって前進してほしい。議運の委員長が課題にすべきなのはここだろう。


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Posted by 東芝 弘明