マイナンバーの誤登録は制度的欠陥

雑感

社会の変化が激しくなったのは、情報の伝達が瞬時になって世界を駆け巡るようになったからだ。固有の文化が一定の地域に留まるためには、外界と遮断されない限り難しい。全世界にインターネットのケーブルが張り巡らさせるようになり、電話であれば、音声や動画で瞬時に話ができるようになった。娘の友だちはヨーロッパの寒い方の国にいる。娘と友だちはLINEでリアルタイムに会話を楽しんでいる。この前聞くと7時間も会話のだという。無料なのが驚きだ。

AppleがiPhoneを世に出したときにスマートフォンという概念はまだなかった。そこから何年でスマートフォンというボタンなしの、タッチパネルの、全画面方式の端末が全世界に広がっただろうか。iPhoneを作ったAppleは「世界に革命を起こした」ことを深く自覚していると思われる。たった一つの会社の発明が、世界の色を塗り替えてしまった。

こういう変化に社会が翻弄され始め、日本政府は、遅れを焦りのように捉え、前のめりにデジタル化を推進している。その核になっているのがマイナンバーだ。でもマイナンバーによる情報の紐付けの誤りが毎日のように報道されている。
マイナンバーによる紐付けの誤りについて、2023年6月11日の赤旗日曜版には、健康保険(7312件の誤登録)の話として次のように書かれている。

「保険者が加入者の情報とマイナンバーを紐付ける際、なぜ誤登録が起こるのか─。
加入者は出生、就職、結婚、転職、失業、退職など人生のさまざまな場面で違う保険者に移ります。
その届け出の書類に加入者のマイナンバーが記載されていない場合、保険者は4情報(漢字またはカナ氏名、生年月日、性別、住所)で住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)にマイナンバーを照会します。
ところが厚生労働省は、加入者のマイナンバーを「特定できない場合」があるといいます。
日本共産党の伊藤岳参議院議員は、改定マイナンバー法の国会審議で、ある保険者の例を紹介しました。4情報で住基ネットに照会しても「9割は不一致だった」というのです。
住基ネットと保険者の住所情報が一字一句同じでないと一致とみなされず、大字小字、丁目、アパート名の有無などで〝不一致〟とされてしまいます。
そこで住所の照会を自治体名だけなどにすると、今度は複数の該当者が出てきます。この人が一体誰なのかを選定するのは大変な作業。もともと「選択ミス、誤登録が起きうる可能性が大いにある仕組み」なのです。

いま、戸籍にふりがなを振る作業が準備中だ。これが実施されると個人の特定が容易になるかも知れないが、この情報の付加によって、個人がさらに特定しがたくなることも増えると思われる。保険者のもっている被保険者名簿の漢字またはカナ氏名が、新しく戸籍に記入されたふりがなとが一致しないと混乱は拡大する。
「漢字またはカナ氏名」─これがくせ者。どうして現在のシステムの中にカナ氏名だけで管理されている被保険者がいるのか。このカナ氏名は、本人がふりがなを記入したものでないケースもあるだろう。まだカナでしか登録できなかった時代のコンピューターのデータが被保険者名簿の中に生きている。新しいふりがなと古いカナ氏名の不一致がでてきたら特定はさらに困難になる。

誰も責任を取らないよね──そう思う。
かつらぎ町も取得を推進しているが、紐付けのミスはかつらぎ町による可能性もあるけれど、自治体の外で起こる可能性も大きい。

このリスクを説明する責任は、国と地方自治体が果たすべきだろう。推進している責任がある。


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雑感

Posted by 東芝 弘明