石垣りんさんの『朝のあかり』

雑感

石垣りんさんのエッセイ集『朝のあかり』が出版されていることを「しんぶん赤旗」の書評欄で見つけた。生誕103年目にしてエッセイの中から編集し直されて文庫本になり、この2月に出版されていた。書評欄では赤旗日刊紙に掲載されたエッセイも4本入っていると書かれていた。書評を読みながらiPhoneで本を検索して注文すると、次の日かその次の日かというような間隔で本が手元に届く。こんな時代に生きている。石垣さんが書いていた生活と生活の間のうるおいと静謐な感覚は、スマートフォンで検索して注文するような暮らしとはなんだかあわない。

あらためて石垣りんさんのことを調べてみると、ぼくよりも40年も先に生まれた人だった。そんなに歳が離れているとは思っていなかった。10数年ほど年上だと勝手に思っていたのは、この人の書く詩の力だったのかも知れない。
石垣りんさんのことを知ったのは「詩人会議」に載った詩だったような気がする。25歳以降、ぼくは毎月のように「詩人会議」という雑誌を買い、現代詩を読み、民青新聞というところに自分でも詩を投稿していた。
ぼくがそういうことをしていた頃、石垣さんの年齢は60半ばを過ぎていたと思われる。石垣さんの詩には澄んだ水のような感じがあった。短い詩は深い世界へ扉を開くような感じがした。自宅の本棚には『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』という題の本がある。

母が亡くなって46年が経った。母の死は遠い昔の出来事になった。このぼくの母よりも石垣さんはさらに6歳も年上だった。ネットで石垣りんさんを検索すると、NHKのアーカイブスの「あのひとに会いたい」というところがあって、ベレー帽をかぶった柔らかいやさしい石垣さんの笑顔が出てきた。写真の△印を押すと映像が動き出した。声も優しかった。映像の中で石垣さんは自分の詩「表札」を朗読していた。

石垣りん 
それでよい

詩の最後のところが胸にしみた。


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雑感

Posted by 東芝 弘明