知らないことが圧倒的に多い

雑感

日本語を日常の母語として使い、書き、話しているが、知らないことが圧倒的に多い。しかし、知らないまま、ほとんど無意識のうちに何も考えないで使っている言葉郡は、多くの人々が日常の中で使ってきたものであり、言葉には多かれ少なかれ、発展の歴史がある。その歴史を垣間見ることが、自分の考え方や生き方にも影響を与えることがあるだろう。

知らないことが圧倒的に多いことを認めることは、自分の無力を思い知らせてくれるだけではなく、傲慢になることに対するブレーキにもなる。自分が万能感をもたず、上から目線にもならず、学ぶことができる位置に自分を置き続けるためには、知らないことが多いという事実を胸に抱き続けることが大切だろう。光をともせば、その光は闇を照らすが、さらに闇が深いことをより一層認識するというように。

日曜日にジストシネマの中にあるWAYで本の森を歩いた。知識が本という形になって本棚に並んでいる。圧倒的に自分の知らない知見が森のように存在している。この森の中に分け入って、2冊の本を選んで、セルフレジで決済をした。

同時並行で10冊ぐらいの本を読む。その間に一般質問用の資料に目を通す。能登半島の震災関係では、「議会と自治体」に載っている国会議員を含む共産党の議員のレポートが役に立った。地震が起こって何が問題になっているのかを現場感覚である程度つかめるようになった。

それと並行して、「かつらぎ町地域防災計画」を読んでいる。そういうことなので、問題意識が防災の方に偏り始めている。
町の地域防災計画は課題が羅列されていて、いったい何をどう具体化しようとしているのかという点が見えにくい。
今回は、避難場所の確保の問題をテーマに質問をするようにしている。本町には避難場所(及び建物)は65箇所ある。このうち20の施設は、昭和56年以前の建物なので耐震基準を満たしていない。45か所の中にある建物は耐震基準をクリアしているが、肝心なのは耐震診断を行って、実際の建物が耐震の強度を持っているのかを見極めることにある。
ぼくは、そういう作業ができているのかという点を課題にして、自分の住む地域で避難場所になっている施設が、本当に避難場所に使えるのかどうかを見極める質問をしたいと思っている。これは、かつらぎ町の防災計画をさらに具体化する上で必要な課題だと思う。
震災関連死をなくすためには、避難場所に収容できる人数を把握する必要がある。いったいその施設で、個人のプライバシーを守りながら何人の人を受け入れることができるのか。この点を見極めておく必要がある。ぼくの住む地域では、笠田高校が避難場所になっている。この笠田高校に何人の住民が避難できるのか。グラウンドにテントを張り、敷地での車中泊も含めて対応することを前提に、受け入れることのできる人数を計算しておく必要がある。

風水害との決定的違いは、地震の場合、建物の全壊、半壊によって住む場所を失う人が大量に生まれる可能性があるということだ。もちろん風水害でも紀ノ川の堤防が決壊すると、すさまじい戸数が浸水し避難生活を余儀なくされるが、紀ノ川の堤防が決壊しない場合、避難生活は、水が引くに従って解消されていくケースが多い。しかし、地震は、いったん家屋が倒壊すると、長期にわたって避難生活を余儀なくされる。このことを前提に考えると、避難場所には、生活する上で必要な水と食料、炊き出しの仕組み、日用生活用品、お金、寝起きできる空間と毛布などの寝具、収容人数に見合うトイレ、お風呂、洗濯できる機能などが必要になる。つまり、避難場所で生活するためには、家庭が持っている機能を再現しなければならないということになる。

これらのことをどのようにして実現するのかを、具体的に計画として考え始めないと、具体的な震災対策は前に進まない。同時に避難場所が機能するためには、最低徒歩で避難場所に行くことのできる道を確保しなければならない。この仕事は震災直後の大仕事として認識する必要がある。

日本人は、ことが起こってから必死になって対応することが上手だと言われている。アメリカのようにすべての事柄を想定して、対策を講じ、実行に移すということが苦手。
仮定の話は、当然確定しない事実なので、想定そのものが枝分かれする。アメリカでは、この枝分かれしていく課題を把握し、対応すべきプランとして計画が組み立てられることが多いという。用意している選択肢は、プランAがだめならプランBで行くというような少ないものではなく、100以上のプランが存在することもある。ここには考え方の歴然とした違いがある。

防災計画の具体化は、この枝分かれしていく想定に対して、具体的なプランを立てるという側面がある。日本もこういう考え方に慣れていかなければならない。


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雑感

Posted by 東芝 弘明