学校ってなんだろう。

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さて、今日から一般質問準備開始。
木曜日が質問なので、追い込みだ。
今日、読み終えた苅谷剛彦さんの「学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)」について、簡単な感想を書いておきたい。
この本は、10年ほど前、中学生新聞に連載されたものに、大幅に加筆されて本になったものだ。文庫本になって、第3版になった時点でようやく読んだので、かなり時間が立っている。この時間の経過が、学校現場に何をもたらしたのかは、苅谷さん自身の文庫版への「あとがき」が明らかにしている。
文庫版への解説は、小山内美江子さんがおこなっている。
このお2人の文章から読むと理解が深まるかも知れない。
中学生を対象に書いているので、読みやすい文章になっているが、内容は、かなり深い問題提起になっている。
「すべてを疑え」という言葉が、思い起こされ、常識であること、当然の前提として踏まえられていることが、改めて考えられ、深い問いを発している。
テストとは何か、校則とは何か、制服とは何か、教科書とは何か、苅谷さんが書いていることをいっしょに考えるなかで、学校の見えなかった側面がリアルに立ち上ってくる。
根本的に物事を考えるというのは、もう一度どうしてこうなっているのだろうと考えるなかで見えてくる。教科書の問題では、外国の教育との比較もおこなわれている。日本のように教科書が全国一律に定められている国もあれば、総でない国もある。豊かな情報があふれているなかで、教科書には何が載っているのかという問いも面白い。
日本の教育制度は、明治以降に始まった。明治の小学校令が発布されたのが1886年。これが日本における義務教育の始まりだった。今年は、小学校令発布から121年目にあたる。
近代教育からまだわずか120年程度しか経っていないのが、今の学校制度だ。短い歴史のなかでつちかわれてきた学校の姿は、歴史的に形成されてきた学校の変遷をみることによって浮き彫りになってくる。
人間は、変化量でしか物事を認識できない。歴史的な変遷を知ることは、時間軸のなかで変化を見ること、国際的な比較を試みるのは、国による教育制度の違いを把握することになる。そこから立ち上ってくる学校の姿は、前提としてとらえていた学校を変化しているものとしてとらえ直す契機になるだろう。
苅谷さんは、本の冒頭で、歴史的に変化を把握すること、外国との比較によって違いを把握することによって、考えてみようという呼びかけをおこないながら、比較をしている。こういうところから、物事を把握していく方法を学び取ることも大事だろう。
この本を真ん中において、学校の先生方や生徒が自由に議論をすれば、それだけで新しいものが学校運営のなかに生まれてくるのではないだろうか。
この本では、簡単に答えは提示していないが、この本を読む前の自分とこの本を読んだあとの自分の視点が、変わっていることを感じさせてくれる。
おもしろい本だ。
学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)/苅谷 剛彦

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Posted by 東芝 弘明