提案説明は行政の姿勢をはかるリトマス試験紙

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議会が始まった。
初日は町長の所信表明あいさつと議案の提案説明。町長の所信表明演説が、今年から縦書きから横書きに変わった。演説内容は、詳細に検討できるよう初日の当日、文書が配布される。
近隣の市議会などの話を聞くと、初日の議会は、長くても半日で終了するようだ。
かつらぎ町は、午後7時過ぎまで提案説明がおこなわれた。一つ一つの議案についてていねいに提案理由と提案説明がおこなわれる。近隣の市議会では、ほとんどこのようなことは行われない。
かつらぎ町は、本会議主義という議会運営の仕方をしている。かつらぎ町の本会議主義は、請願・陳情以外のすべての議案を本会議で説明、質疑、討論、採決をおこなうというものだ。
市議会では、委員会主義がとられているところが多い。本会議主義と委員会主義、どちらも長短ある。問題なのは、いずれの形式をとるにしても、開かれた議会運営がおこなわれ、住民が見て分かりやすいものになっているかどうかだろう。
かつらぎ町の議会における提案説明が、住民の目から見て分かりやすいものになっているかどうか。──これを結論的に言ってしまえば、そうなっていないといえるだろう。多くの提案説明は、住民が聞いても分かるようには、はなっていない。条例案の提案説明というのは、条例の変更部分について、字句の修正という形で提出される。そこには法律の変更、制度変更、問題点の把握の仕方、制度変更の考え方などが横たわる。これを詳細に報告すると、時間がいくらあってもたらなくなる。
この難しい問題を、どのように簡潔に説明できるか。これが課長の腕の見せ所だろう。かつらぎ町の場合、ほとんどの提案説明は、読み上げておしまいというものだ。しかし、最近、非常に簡単に何が変わるのかを補足して提案説明を行う傾向が生まれている。こういう努力は歓迎したい。
これをていねいに行うと午後7時までかかってしまった、のだ。
市議会の初日の日程が、半日程度でおしまいになるというのは、本会議に対し、まともに議案の提案説明をおこなっていないということを意味する。
最近、聞いた話で驚いたのは、橋本市の事例だ。
委員会主義をとっているので、議案が付託されるが、本会議での提案説明は市長のあいさつでおしまい、本会議での議案質疑のあと、付託された委員会には市長が出席しないというのだ。
このやり方に対する是非を問う立場にぼくはない。しかし、ぼくは次のようなことを考えてしまう。
議員の仕事の中心は、行政のチェックにある。したがって、予算の審議と条例案や事件決議案件などの審議が、議員の仕事の中心になる。議会が存在しているのも、住民の生活に密着している予算や条例案を可決しないと事務を執行できないからだ。しかし、この部分の審議が形骸化してしまうと議会の役割も形骸化してしまうことになりかねない。
かつらぎ町が、当局の本会議における提案説明を重視しているのは、住民に対して町当局は説明責任を果たす必要があるからだ。この部分を軽視するということは、議会を軽視し、住民を軽視することに直結してしまう。説明責任を果たせない自治体の当局というのは、住民の目から見て失格だといわなければならない。
朝9時過ぎから夜7時まで、一言も発しないで黙って聞き続けるというのは、非常に疲れる。しかし、聞いていると説明のまずさというものも浮き彫りになる。提案説明の改善を。かつらぎ町議会では、くり返しこの問題が議論される。行政は住民に対しどのような責任を負っているのか。提案説明の仕方は、行政の姿勢を図るリトマス試験紙のような役割をもっている。


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Posted by 東芝 弘明