すべては運動の中にある。

雑感

galaxy by thirdwise

今日の「しんぶん赤旗」の14面の科学記事「ダークマター予測より多い 銀河系」によると、銀河系は時計回りに動いており、太陽系の回転スピードは秒速240Kmあるといいます。暗黒物質(ダークマター)は、光では観測できないもので、宇宙全体の質量の多くを占めている物質です。観測できる物質の何倍もの質量があるということですが、暗黒物質はいったいどういう物質なのかはまだ明らかになっていません。
これは、日本の4か所の電波望遠鏡(岩手県、小笠原諸島の父島、鹿児島県、沖縄県)を連携させて観測した結果得られたものです。銀河系の中心から太陽系までの距離は2万6100光年あります。太陽系の回転速度240Km/sは、従来220Km/sだといわれていました。速度は質量に比例するので、回転速度が従来より速いこということは、暗黒物質(ダークマター)も従来考えられていたものより多いということになります。

太陽のまわりを地球などの太陽系の惑星は公転しています。しかし、同時に太陽系自身も高速で動いているということです。この太陽系が渦状腕(銀河系の明るい星や散開星団、散光星雲などによって形成されている帯状の渦)を通過するときに地球の気候に大きな変動があったともいわれています。
銀河系は、時計回りに太陽系と同じく240Km/sで動いていますが、さらに太陽系を含む銀河系全体は、600Km/sの速さで移動しているとようです。地球の自転と公転だけでもものすごいスピードですが、この動きに加えて、太陽系自身が動き、さらに銀河系自身が動いているという状態の中で私たちは生きています。
「すべての物質は運動の中にある」ということを大胆に認めるところから科学的なものの見方、考え方は始まると教えられてきました。地球船宇宙号は、ぼくたちが頭の中でイメージしてきた以上に激しい運動の中に存在しているということです。このような運動の中にありながら、極めて微妙なバランスの上で地球の自然は成り立っているということです。

変わらないものは何もない、動かないものは存在しない、すべての物事は連関と連鎖の中にあります。自然の世界でさえこのようなものです。

昨日、生物学の先生に水辺の生態についてお話を聞く機会がありました。この方は、放射性物質の研究機関にいたことのある方でした。
「金属の時計を腕にまいて研究棟に入ることは許されていませんでした。金属に中性子があたると金属自身が放射性物質になって放射線を出すようになります」
先生はこう語っていました。福島原発事故が、放射性物質を放出し続け、それはさまざまな金属の上にも降り注いでいます。先生の話でいえば、ホコリがたかるようなものではないということです。
すべてのものは、連関と連鎖の中にあり、運動の中にあり、たえず変化の中にあるということです。

お話の中には、生物濃縮の話もありました。ウキペディアにはこう書いています。「生物濃縮(せいぶつのうしゅく)は、ある種の化学物質が生態系での食物連鎖を経て生物体内に濃縮されてゆく現象をいう。生態濃縮、生体濃縮(せいたいのうしゅく)ともいう。」
食物連鎖を通じて、生物濃縮ものすごい濃度になります。
「放射性物質でも生物濃縮は起こりますか」
お話のあとでぼくはこう質問しました。
先生は、言明を避けられましたが、会議が終わったあとさらに尋ねると、「放射性物質も重金属と同じように金属です。体は金属を取り込む性質があります」と言われました。
放射性物質も食物連鎖の中で生物濃縮を引き起こすことは間違いありません。原発事故が続き、放射性物質が放出され続け、食物が汚染されていくことは避けられない問題です。生物濃縮が、実際にどのような形で進行していくのかを考えると恐ろしくなります。
この生物濃縮も、生物を媒介にした自然界の運動の一つです。ここでも、連関と連鎖、運動と変化を確認できます。

ダイナミックな運動の中にあるのは社会も同じです。昨年の3月11日、東日本大震災が発生し、福島原発事故が起こりました。そこから国民の変革を求めるエネルギーが次第に高まってきました。その一方で政治の腐敗が進行してきました。政治は国民の願いに応えていません。今起こっている大きなたたかいは、政治と社会を変える意思を持ち始めています。
戦後の社会は大きく変化してきました。今の変化は、政治のあり方を根本から問い始めています。
政党の賞味期限が切れるのが速くなっています。民主党は、自分で国民の公約を踏み破って、国民を裏切り賞味期限切れになりつつあります。相対的に期待が集まっている自民党は、政治の中身として民主党よりも悪くなっています。期待をしても、民主党以上に国民を裏切る可能性を十分もっています。
維新の会の真骨頂は、小泉元首相も舌を巻くような極端な新自由主義を掲げているところにあります。維新の会に変化を期待される人も数多く存在しますが、小泉改革のように、これらの政策は社会に対し破壊的な作用を引き起こすだけだと思います。この改革を通じて有利になるのは、一部企業だけだと思われます。
自民党と民主党の国会議員が維新の会に流れて、維新の会を担うようになりました。野合政党である姿が見えてきました。賞味期限切れになるスピードは、民主党以上に速いような様相です。

すべては運動の中にあります。政治は変革の時を迎えています。国民生活が政治に変化を求めています。自然も社会も変化こそが基本です。変化のよりよい方向は、自由と民主主義の発展以外にありません。この流れに逆行する勢力が台頭していますが、この勢力は、歴史の針を戦中もしくは戦前に戻そうとしています。安倍さん流にいえば、「美しい国」というものですが、この「改革」の中には、国民のくらしをよくするという視点が入っていません。
歴史は、時には「後戻りの飛躍」を引き起こす可能性をもちながら進んでいます。フランス革命は、王政を打ち倒したにもかかわらずナポレオンを生み出し、自らが皇帝になったナポレオンは、侵略戦争に明け暮れました。それでもフランス革命の精神は死にませんでした。自由と平等と博愛、これは封建制から資本主義への発展を生み出したスローガンであり、フランスのシンボルになっています。

日本社会も、歴史の後戻りを許すのか、それとも自由と民主主義が拡大する方向へと発展するのか、というせめぎ合いの中にあります。
日本社会の発展は、福祉国家の延長線上にあります。社会保障切り捨てではなく、社会保障を発展させる方向に政治のかじを切れば、田舎にも雇用が生まれ、経済発展の基礎も生まれます。農林水産業を支えて発展の土台をつくれば、日本にある農林水産業の分野の豊かな資源活用への展望が開けます。中小零細企業を支え発展させることによって、日本経済の土台を立て直すことができます。この分野が発展すれば、日本経済に好循環が生まれ、展望が広がります。
日本国憲法改正の動きは、歴史を後戻りさせる運動です。日本国憲法を守り、憲法が保障する方向で政治と経済を進めることが、進歩的な改革になります。日本国憲法が描いた日本社会はまだ十分実現していません。憲法をくらしに生かすことは、たたかいなしには実現しません。民主的な社会の変革の中心的な拠り所は日本国憲法が体現しています。
この憲法がたたかいの旗印になるのは、深い理由があります。歴代の政権や財界が、日本国憲法改正を切望し、日本国憲法を忌み嫌いながら国づくりをしてきたからです。
日本国憲法は、戦後の民主的な国づくりの旗印でした。教育の民主化はこの国づくりを支えるものでした。文字どおり憲法通りの国をつくってきたなら、日本はもっと違った国になっていたと思います。憲法を守り発展させることは、社会進歩に直結しています。日本国憲法は未完の大器です。憲法にもとづく国づくりこそ、戦後の原点に立ち返ることこそが、社会を進歩させる意義をもちます。
日本国憲法は、決して古くなっていません。古くなって制度疲労を起こしているのは、拳法に背を向けてきた政治と憲法を歪めてきた社会制度の数々です。それは、新自由主義的な改革が進めば進むほど、日本社会全体の経済が壊れ、国民のくらしが破壊されてきたことで証明されています。

「憲法は古くなった」という勢力は、新しい装いの下で明治憲法的な憲法を復活させようとしています。その証拠は、自民党の「憲法改正案」に見事に示されています。「改革」という言葉の裏に、歴史を逆戻りさせる計画が潜んでいます。
「日本維新の会」の維新という言葉には、改革という意味が込められています。しかし、それは明治維新が実現した社会体制への「改革」でもあります。「維新」という言葉にも明治憲法への憧れがあります。戦前の社会体制を「美しい国」だといった安倍さんと橋下さんの「維新」は同じことを求めています。

たたかいこそが、政治を変える舞台監督の役割を果たします。日本共産党は、日本国憲法を守って新しい国をつくるという目標を掲げています。日本国憲法を守るためには、民主的な改革が必要です。この改革のためには、アメリカと財界による国民の支配をやめさせて、国民主権を深く確かに実現する必要があります。
日本国憲法に「主権は国民に存する」ことを書き込ませたのは日本共産党でした。日本共産党は、戦前の時代から侵略戦争に反対したただ1つの政党として活動してきました。主権在民と侵略戦争反対という目標は、命がけの目標でした。激しい弾圧の中で、社会党の前身となった勢力は、弾圧に屈して戦争に協力しました。
社会全体が戦争一色に染め上げられ、正義のたたかいだと言われつづけた中にあって、侵略戦争の本質を見抜き、主権在民を掲げることに社会の進歩があることを見抜いた力は、簡単に実現したものではありません。日本共産党の歴史は、ぶれない方針を掲げるまでいくつかの紆余曲折をへて確立されたものでした。社会の矛盾を曇りなく見つめ、日本社会発展の道筋を確立すること自体にものすごい努力が必要でした。
戦後の原点になった主権在民と恒久平和を実現するために、多くの命が犠牲になりました。日本共産党は、平和と民主主義を体現してきた日本で最も古い歴史をもつ政党です。時代の進歩の方向を真っ直ぐ見つめ、不屈にたたかってきた政党です。戦後、多くの人が日本共産党に入りました。自由と民主主義、平和の問題で節を曲げずにたたかった政党の存在は、心ある人々の大きな希望だったのだと思います。

人間の歴史は、自由を拡大し民主主義を社会の隅々に血液のように行き渡らせることによって発展してきました。自由と民主主義の発展こそが、社会進歩のバロメーターです。女性の社会参加と子育てを両立させることも、社会を発展させる極めて重要な課題です。社会の中で女性の地位がどこまで向上したかという視点は、その社会がどれだけ民主的な社会、自由な社会になっているかをはかる物差しです。日本共産党が、政党の中で女性議員の比率が一番高いのは、女性の社会進歩を願って運動している現れです。
憲法を守る政党を伸ばすことがものすごく大事になっています。日本共産党が伸びれば、民主主義的な改革を求める国民の力が強まります。脱原発のたたかいも、国民主権を貫き、国民の意思を政治に反映させるたたかいです。最近、日本共産党は、原発に依存することなしに日本のエネルギーをまかなうことができる展望を明らかにした上で、原発即時ゼロを掲げた提言を発表しました。ここには、複雑な事態を読み解いて主権在民と侵略戦争反対の旗を掲げ続けた政党としての、歴史と伝統が生きています。
たたかいの担い手の一員として日本共産党を伸ばしていただきたいと、強く思います。


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雑感生物濃縮,銀河系

Posted by 東芝 弘明