民生委員の地位利用って?

雑感

午前中、対話をし、午後演説会に参加し、夕方から夜まで、また対話をした。その中で民生委員になった方がいいかなという質問も受けた。民生委員は選挙運動ができないという話もあったので、改めて調べてみた。問題は地位利用だけだった。選挙運動の中で地位利用を行うことは、公務員の場合禁止されている。たとえば、首長が、雇用関係にある公務員に対して投票依頼を行うことは地位利用に当たる。民生委員の場合は、民生委員法があり、第16条の規定によって以下の通り規制されている。

第十六条 民生委員は、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。
2 前項の規定に違反した民生委員は、第11条及び第12条の規定に従い解嘱せられるものとする。

政治活動の禁止をうたっていることと、選挙活動を禁止していることとは違うので、この規定が選挙活動を規制しているのかどうかは、さらに調べてみないと分からない。政治活動と選挙活動で言えば、政治活動の方がはるかに幅が広い。日常活動において政治活動を禁止しているので、選挙活動ももちろん禁止されるということだろうか。政治活動と選挙活動の違いは、また今度調べたい。この違いについては今日のところはここまで。
民生委員の場合、地位が利用できるのは担当地域になる。担当地域以外での政治活動は規制されないのは間違いない。
逐条解説にはこう書いている。

しかしながら、この規定は民生委員が民生委員の職務を離れて、一個人として政党に加入し、 または政治的活動を行うことまでを禁止したものではない。
従って、自らの担当区域外での政治活動については、職務上の地位を利用したものでないことは 明白であるため、問題はないと解されるが、担当区域内での政治活動については、職務上の地位を利用したか否かの判定が非常に困難であることから、当該区域内における政治的活動はできる 限り避けるべきである。

自分の担当地域で政治活動を行うと、当然誤解が生じるので、なかなか判断が難しくなる。直接地位を利用していない場合でも、判別が難しいので「当該地域内における政治活動はできる限り避けるべきである」という判然としない書き方になる。

民生委員が、担当地域以外で政治活動をしようが、選挙活動をしようが何の問題もない。このことを明確にする必要があるだろう。民生委員になったら政治活動や選挙活動が一切できないということではない。自治体の公務員の選挙活動で言えば、自分の働いている地方自治体以外の区域で政治活動をしても選挙活動をしても何の問題もないことも明らか。公務員の中で選挙活動が一切禁止されているのは、実は極めて限定的。職種が制限されている。公務員は一切選挙活動ができないというのは、違うと言うことだ。
ただし、かつらぎ町の職員が住民に対し、選挙の支持を働きかけたときに、公務員の地位を利用して選挙運動を行うことは禁止されている。職務上、地位の利用を感じない関係にある住民に対し、投票依頼をしても、それは地位利用には当たらないということだ。公務員である上司が、同じ公務員の部下に対し特定の候補者の支持を依頼し、断れないと感じたり、威圧的に感じた場合は地位利用になる。

首長は、一般の公務員とは区別され、政治活動の自由は保障されているが、地位利用だけは禁止されている。補助金を支給している団体とか、契約関係にある会社とかに対して、首長という地位を利用して、選挙の支持を依頼するのは問題がある。役場の周りにある各種団体に対して、自らが候補者になった選挙で支持を依頼するのは、地位利用という側面から問題がないのかどうか。吟味が必要だろう。問題を生じないようにするためには、各団体の中に任意の自主的な後援会(当然加盟の自由を保障することが前提)をつくればいい。各種団体の名前のまま首長の推薦を決定するのは、かなりグレーだろう。首長から推薦依頼などが出て、推薦を決定したりすれば、かなりの角度で地位利用が疑われることになる。

自治区などの推薦というのは、本来はあり得ないだろう。地域にはさまざまな政党の支持者がいる。それにもかかわらず自治区役員だけの賛成で推薦を決め、それによって自治区が選挙活動を行い、区民にも支持を訴えるとなると問題が生じる。自治区役員会による推薦で、役員だけの運動を行う場合と、区民を巻き込む場合は意味が違ってくる。公務員の地位利用の罪は重いので、こういうことも考えることが必要ではないだろうか。


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雑感

Posted by 東芝 弘明