橋本でシンポジウム

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午後6時から橋本市教育文化会館で「和歌山の将来を語る」in橋本というリレーシンポジウムが開催されたので、5時に役場集合で参加した。
会の最初にあいさつしたのは、仁坂知事だった。長期総合計画を作成したので概要を説明したいという話だった。
記念講演をおこなったのは、和歌山大学の小田章学長だった。
20分の講演のあと、パネルディスカッションに移った。
仁坂知事は、立て板に水のごとくよくしゃべる人だった。
小田学長と仁坂知事のやり取りが長かったので、8時に終わる予定が8時10分頃までパネルディスカッションが続き、そのあと質疑応答となった。
ぼくは、真っ先に手を挙げて質問をおこなった。
せっかく参加したのだから、会場ではできる限り質問することにしている。認識を深めるためには、積極的に質問をおこなって、相手から答えを引き出すに限る。
県の長期総合計画は、20年から29年までの10年間の総合計画であり、この10年間で県民の所得を270万円から400万円(1.48倍)にするというのが、すべての計画を成功させたときの成果だというものだった。
わが家の場合、3人だから1200万円。これが所得だから収入ベースだと1500万円を超える。
本当にこの総合計画が実現すれば、わが家の金銭的な悩みはすべて解決する。
ぼくは、この「野心的な計画」に対して、現状を踏まえた実現しうる展望でなければ、それは夢にしか過ぎないといい、和歌山県の現状認識はどうなっているのかを質問し、所得を1.48倍に伸ばす計画の具体的な見通しを尋ねてみた。
「現状認識は、話せば非常に長くなるので、長期総合計画の本文を読んでいただきたい」
これが仁坂知事の回答だった。
所得1.48倍計画は、長期総合計画がすべて実現すれば、達成できるといい、国全体の経済成長が2%だから、和歌山県はこれを年間1%上回れば、10年後にこの目標は達成できるというものだった。
しかし、日本の経済成長率は2%でこれから10年間推移していくというのは、あまりににも楽観的すぎるのではないだろうか。現在、日本の市場は縮小しつつある。原因は、相次ぐ増税と賃金の切り下げ、社会保障の給付減と給付分野における一部負担の負担増によって、国民の購買力が低下し、内需が非常に弱くなっているところにある。
外需を主軸に経済運営をおこなっているので、政府は、大企業に対する減税と社会保障負担の縮小を推進しようとしている。これは、自公政権の至上命題にさえなっている。
この路線は税収の縮小を必然的に引き起こすので、税収を確保するためにも、国民の側には、増税と社会保障分野の負担増、給付減を実行せざるをえなくなる。
これは、まさに負のスパイラルを引き起こす。このような政策をとっていると、年2%の経済成長を実現するのはむつかしいだろう。
市場というものは、相対的なもので大きくもなれば小さくもなる。企業に対する減税の中止と応分の負担を求めれば、短期的には大企業の収益は下がる。労働者を安定的に雇用する方針にかじを切れば、この分野でも大企業は大きな収益減となる。しかし、この方向への路線転換は、国内市場の拡大を生み出し、経済循環を強く大きなものにしていく。外需中心から内需中心に切り替えて、日本経済の再生を実現すれば、経済成長も実現できるだろう。
和歌山県の活性化を実現するためにも、内需重視の経済運営にかじを切ることが問われている。
こういう現実への認識抜きに、国の経済成長率は2%。そこに1%上乗せして和歌山県では3%を実現したいというように、夢を語ってくれるのはいいが、現状及び現実との切り結びを十分視野に入れた計画でないと、それは夢でしかないという感をぬぐえなかった。
ぼくたちが考えてきたのは、国のとんでもない地域破壊の政策の中で、どのようにすれば、地域経済を再生していけるのかということだった。このことを真剣に考えると、バラ色の発展計画は描けなくなる。
地に足のついた展望ということにこだわらざるをえないのは、現状がきびしいからにほかならない。
なにはともあれ、和歌山県は、「野心的な」総合計画を掲げて新しい一歩をふみだしたということだろう。県の長期総合計画を一つの武器にすればいいのだと思う。
計画を実現するために県に充実を求めなければならないことはたくさん出てくるだろう。計画を具体的に実現するには、「こういうことを実施すべきだ」というような観点で建設的な提案をすることが大切になる。ただし、ぼくらの側からおこなう建設的提案は、実行可能な地についたもので、現状をよくふまえた具体的展望でなければならないだろう。
そういう観点で、この計画をとらえていけば、住みよい和歌山県をつくる上で、この総合計画は役に立つかも知れない。
しかし、よくしゃべる人だった。仁坂さんという人物は。
これが、今日の一番の驚きだったのかも知れない。


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Posted by 東芝 弘明