齊籐孝さんの「読書のチカラ」

本の紹介

今年の3月議会の準備の圧力は強かった。議会の準備に集中して行き、一段落すると別の場所から戻ってきたような感じになり、それまで確認していたことも、数多く忘れているような状態だった。

なのに、この3月議会の準備の間、5〜6冊の本を読んだ。読みたい本を手にして、数ページをまず読んでみる。すると心のなかに本の世界が広がる。この入口をのぞく感じが、本に向かわせる力になる。
本に導かれて本を読み始めるという感じになった。読みたい本があれば、まず読み始めてみるということがいい。

最近は、一冊の本が、自分の姿勢を変えるということが多い。読んだ本が、何らかの形で自分のものの見方、考え方に新しい視点を付け加えてくれたり、認識を発展させてくれたりする。

図書館に行くと、齊籐孝さんの「読書のチカラ」という本があったので借りて来た。本丸ごと1冊読書の効能と読書のすすめになっている。読んでいない本が多いので、そういう意味でもかなり刺激的な本だと感じる。
この人の本が、ぼくのBlogの支えになっている。おそらく、この人のことを生涯忘れることはないだろう。
齊籐さんの文章は優しい。文章に含蓄があるという感じではない。しかし、平易な文章の中に大学教授らしい新しい問題提起や解明がある。毎日文章を書く。原稿用紙を10枚書く力を見に付けるなど、齊籐さんの本から得たものは大きい。

文章を自在に書く力を身につければ、自分の脳を鍛える力になる。人間は、ほとんど潜在意識下で情報を処理している。文章を自在に書く力は、潜在意識下で脳の回転を速める力になると思われる。瞬時に判断し反応する力は、文章を書く力と連動している。
ぼくの場合は、手書きで文章を書かない。ひたすら、パソコンのキーボードで文章を書く。
手書きにこだわる必要はないと考える。キーボードで文章を書く作業は、手書き以上に文章を書くことに専念できる。最近の日本語入力ソフト(インプットメソッド)は、かなり的確に漢字仮名交り文に変換してくれる。もちろん、きちんとチェックしないと誤変換することもあるが(誤変換が多いよねえ、ぼくのBlog)、漢字を知らないことによって、文章を書く作業が中断することは、ほとんどない。
思考の流れがほとんど止まらないところに、キーボード入力の良さがある。

手書きを否定してはいない。手書きで文章を書く作業とパソコンのキーボードで文章を書く作業には、かなり本質的な違いがある。若い頃、自由詩を書いていた時期がある。言葉への感覚を研ぎ澄ませて、詩の言葉を生み出していく作業は、自分の意識の中にある言葉を使って、自分が思い描いたイメージや描きたい対象に迫ってく作業となる。
しかし、書いてみるとこれがものすごく難しい。イメージと言葉とがぴったり重なり合わない。重なり合わない中で、言葉の持つリズムに導かれて、新しい詩が生まれたりする。これもまた面白い。こういう感覚は、キーボード入力では生まれない。紙と万年筆とを持って、心を落ち着かせないと表現できない世界がそこにある。

手書きとキーボード入力は全くの別物だと思っている。作業として、どちが楽かと言えば、断然キーボード入力の方が楽だ。その差は歴然としている。3月議会の一般質問は、原稿を午後4時頃から書き始め、夕食を挟んで11時頃までに書き上げ、もう一度読み返して、若干の修正を加えて仕上げた。文字数を400字で割ってみると原稿用紙で20枚分になった。手書き原稿だとこれだけの時間でとても書くことはできないし、手に掛かる負担も相当なものになるだろう。

まさにキーボード入力は、現代の筆記用具として、かなり優れた道具だと思われる。日本語の漢字仮名交り文変換に磨きをかけてきたジャストシステムには感謝したい。

本は、人生を豊かにしてくれる。豊かな世界が無限に広がっている。自分の中に豊かさを培うために、人は本の虫にならなければならない。情報を毎日一生懸命捕らえている新聞と本とは、本質的に違っている。新聞の情報は豊かだけれど深みに欠けるきらいがある。さらに物事を深くとらえるためには、本を探すことが必要になる。新聞の連載が本になるときに、大幅な加筆訂正が行われることが多いのも、新聞と本との違いを表しているともいえなくない。

人間は、聞き学問だけでは豊かにならない。本を読み、本と格闘して自分で苦労しないと知識や認識は深まらない。講演は、せいぜい学ぶきっかけになる。講演を受けてそこからものを考えはじめ、その人が書いた本を読み、受けた講演の内容をさらに深く把握するというような努力をしないと、学んだことはなかなか身につかない。

本を友だちに。人生の伴侶に。

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Posted by 東芝 弘明